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ビー玉 。  作者: 葛籠
3/6

第3話

遥と次の日、いや日付が変わっていたので、

今日、デートの約束をした。

待ち合わせは、2人が出会った公園。

待ち合わせの時間より30分も早く着き、

ジャングルジムの周りを、ぐるぐる歩く。

ふと気付くと、子供が俺をジッと見ていた。

「変な、お兄さんがいる」(おじさんと思っていない事を願う。)

と思っているんだろうか。

なんだか恥ずかしくなって、その場を離れた。

待ち合わせの時間が近づき、

本当に、来てくれるか心配で時計を何度も確認した。

遥の姿を見たときには、心からホッとした。

遥が、俺の姿に気付き手を振りながら近づいてくる。


「待った?」

「全然。」


待ち合わせより、30分も早く来ていたなんか言えない。


「行こうか。」

「うん。」


ジャングルジムから子供が、ジッと見ていた。

「これから、デートなんだぞ!!」

と子供に対して、勝ち誇った気分になった。


遥とたくさん話をした。

仕事の関係で、大阪から出てきて1人暮らし。

年も俺と同じで24才。

趣味は映画。


俺も映画が好きだったので、話が盛り上がる。

あの作品がどうだとか。あの俳優が好きだとか。

同じ映画が好きってだけで、どうしようもなく嬉しくなった。

恋をするって、不思議な事だ。

遥の事を知るたびに、好きになっていく。


デートの帰りに、公園に行った。

2人が出会った公園。

空には、星が輝いていた。

ベンチに座って話をした。


「2人が出会えたのって、凄い偶然だよな。」

「そやね。うちが、彼氏と別れてなかったら来てへんかったやろうし。

 健志君も、酔っ払ってなかったら来てへんかったやろうしな。」


昨日の事を思い出し恥かしくなった。

照れ笑いをした。

そんな俺に気付いた遥が、

笑いながら「やったぞ〜!!」って俺の真似をした。


「辞めろよな。」

「ごめん、ごめん。」


遥は笑っていた。

俺の好きな顔。

告白しようと思った。

もし、ダメだとしても後悔しないと思った。

どうしようもなく遥の事が、好きになっていた。


「俺な。」

「なに?」


遥の顔を見た。

心臓の鼓動が早くなり、手に汗がにじむ。

頑張れと自分に言い聞かす。


「遥の事が好きなんだ。付き合ってくれ。」


遥は、一瞬ビックリした顔をしたが、笑顔になった。


「ええよ。健志君優しいし、うちの事大切にしてくれそうやしな。」


やった。

周りから拍手が、聞こえて来るようだった。

嬉しくて思わず立ち上がった。

遥は、ビックリしたようだったが、

嬉しくてどうしようもなかった。

ジャングルジムの上に行き、思いっきり叫んだ。


「やったぞ〜!!」


遥もジャングルジムに登ってくると、俺の横に座った。

昨日と同じ。

遥と目が合った。

目をそらさずに見つめた。

キスをした。

星達が、祝福してくれているかのように思えた。


付き合って半年し、同棲し始めた。

お互い1人暮らしだったし、遥のそばに居たかったからだ。

遥が、俺の部屋に引越ししてきた時に言っていた。


「うちな、付き合った1年記念に、ペアリングが欲しいねん。」

「良いよ。」

「やった。」


遥は凄く喜んでいた。




その日が12月10日だった。

それなのに忘れていた。

ハートの印を見ると、どんなに楽しみにしていたのかが、

分かる気がする。

しかも、雅美からのメール。

遥が怒るのも無理も無い。

俺は、急いで遥を追いかけた。






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