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ビー玉 。  作者: 葛籠
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第1話

「健志のアホ!!」


日曜日。

いつものように、晩ご飯を食べ終わり、

いつものように、ソファーに寝転がり、

いつものように、テレビを見ていたら、

いつもと違う遥の怒鳴り声が、後ろから聞こえた。

後ろを振り向くと、携帯が俺の頭をめがけて飛んでくる。

見事に俺に命中。

役目を果した携帯が、床に転がる。


「痛!!何すんだよ!!」


頭を擦りながら、遥に文句を言った。

遥は、同棲している俺の恋人だ。

俺と同じ年の25歳。

小柄で、笑顔のかわいい自慢の恋人。



朝から機嫌が悪いと思っていたが、まさか携帯が飛んでくるなんて。

いったい何が原因なんだ?


「俺が、いったい何したんだよ?」


台所から遥が近づいてくる。

足音までもが、「私は怒ってます。」と主張しているように聞こえた。

俺の横に立つと、遥は怒った顔で携帯を指差した。


「この、メールの雅美って誰なん!?それに、今日は何の日か分かってるん?」

「はぁ〜?雅美って会社の同僚だけど。」


そう言えばさっき、メールが来たみたいだったな。

勝手にメール見たのか?

メールを見た事に文句を言おうとしたが、遥の異様な迫力に何も言えなかった。

それに、「今日は何の日かわかってるん?」遥の質問。

怒っている原因は、雅美からのメールと今日は何の日だったか?

この2つにあるようだ。

俺は、携帯に手を伸ばしながら、今日は何の日だったか考えた。

今日は、12月10日だろ。

クリスマスにしては、まだ早い。遥の誕生日でもない。

まさか、ごみの日って分けないだろ。

考えても、何の日だったか思い出せない。


「今日、何の日だった?」


遥に、恐る恐る聞いてみた。まだ、怒った顔をしていた。

それにしても、携帯が命中した頭が痛い。

「痛いな〜。」思わず口に出してしまった。

これがまずかった。

遥の怒鳴り声が、上から降ってきた。


「痛い?私の心の方が痛いわ!!もう良い!!健志なんかもう知らん!!」


遥は、コートを手にすると勢いよくドアを閉めて出て行った。

俺は、部屋で呆然としていた。

まったく何なんだよ。

雅美の奴いったい何を書いてきたんだ?

頭を擦りながら、メールを見てみた。


『昨日はありがとう。健志君って優しいね。好きになっても良い?  雅美』


…マジ!?

昨日、雅美が仕事で大失敗をした。

あまりにも落ち込んでたから、会社の仲間達と飲みに誘って慰めてやったんだよな。

そしたら、雅美の奴酔っ払って大変で俺が介抱してやった。

神に誓うけど雅美とは、何もなかった。

可愛いかなって思うことはあるけど。

でも、まさかこんなメールを送ってくるなんて。

遥も怒るわけだ。

付き合って1年ぐらい経つけど、あんなに怒った遥は始めて見た。

1年…頭に何かが引っかかった。

カレンダーを見てみる。

12月10日に、ピンクのハートマークで印がしてあった。

携帯が命中した頭が痛んだ。

思い出せって、サインを送っているようだった。

「あっ!」

何の日か思い出し、思わず口に出した。


「俺らが出会った日だ。」


ハートマークを見ながら、遥と出会った日の事を思い出した。























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