80話 早く逢いたい
昨日の精神的ダメージを回復させ、朝食を取り車を走らせる。
その心は軽い。
これで心置きなくミレイと暮らせる。
子供が生まれてくるのを楽しみに待っていられる。
今は早くミレイに会いたい。会って抱きしめたい。
お土産としてタオルと布団、それに食料を用意した。
手作りでタオルは作っているが、おそらくいくら作っても足らないだろう。
食料はこちらの世界を知ってもらうきっかけ作りの為だ。
妊娠している今、いきなりこちらの世界を教えるのはいい事ではない。
色々な文明の利器を持ち込むのは、おかしな物を見るのに慣れていてもおかしすぎる。
少しずつ慣れてもらおうと考えたのが食料と、それを入れている容器だ。
食料としてビニールに入った米と瓶詰めの調味料。
まずこれらを見て味わってもらおう。
ミリヤさんには内緒にしてもらわないといけないのが心苦しいが。
・・・ミリヤさんだけならいいのか?
自分の叔母だ。身内だ。直系と言える血筋になるのだから。
ミリヤさんも一緒に住めば・・・だめか。
村に治療が出来る人が居なくなってしまう。
やはりミリヤさんには知らせる事は無理が出てくるか。
そうなると何処まで話そうか・・・
ミリヤさんの父親については話したほうがいいのだろうけれども、今更、自分が父の浮気で出来た子だと知らされるのもどうなのだろう。
・・・そういえば祖父はどうしているのだろう?
葬式に出た記憶が無いから生きているのだろうが、どこに居るのかどうしているのかは聞いていなかった。
・・・もしかしたら未だに罰を受けているのかもしれない。
あの人ならやりかねないと思ってしまう。
未だに浮気の事を怒ってる様だしなぁ。
家に着いたらメールで聞くだけ聞いてみよう。
”子に罪は無いのだから”で気を治めてくれる事を祈ろう。
家に着くと日が暮れていた。
すぐに会いたいが、この時間では遅くなりすぎるか。
荷物を降ろしてメールしておこう。
”ミリヤさんに父親の事を話しても大丈夫でしょうか?”
文章にして思った。
これ、神経逆撫でしてる。