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陰陽師の憂い  作者: 高木 圭
終章 発展
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75話 好々爺は爺さん

目覚めてからケイはゆったりと朝を過ごす。

泊まったホテルには朝食が付いていたのでパンとコーヒーを取る。


人の出入りがせわしないが、それを眺めながらゆっくりと食べる。

今日は平日である。誰もが忙しそうに、時間に追われるように慌しくしている。


部屋に戻ってシャワーを浴びてチェックアウト。

これから師であり祖母である一族の総帥に会いに行く。


場所は変哲も無いマンション。郊外の4LDKだ。

総帥はそこに付き人と2人で居る。


何故活動の中心が都会である自分が田舎で生活をして、取り纏めをPCで行い出歩く必要も無い総帥が都会で生活をしているのかは不思議でならない。


10時近くに到着して呼び鈴を鳴らすと、付き人に迎えられ中に入る。

中もどこにでもあるような一般家庭の様相だ。奥の一室を除いて。


「お久しぶりです、総帥。」


「会うのは5年ぶりか?元気そうでなによりじゃ。」


リビングに座る相手に挨拶をする。

すでに80を超えているはずだが背筋は伸び、目には力が篭っている。


「来いと言ったのは来年だったはずじゃが、何かあったのか?」


目には力があるが、威圧するでもなく突然の引退宣言を咎めるでもなく、気楽に話しかけてくる。


「それが気になりまして。来年何かあるんでしょうか?理由も告げず引退したいと言っても叱責も無かったので気になりまして。」


「それが落ち着かんかったか?」


「はい。最初は気ままに居たのですが、時が経つにつれ気になりまして。」


「気ままに何をしておった?」


「見知らぬ所を見て回っておりました。それまで自分の世界を閉じていたので、気持ちが変わると見るものが変わると実感しておりました。」


「ほう、確かに目に生気があるようだしな。5年前ですでに死んだような目をしておったのが今は力が感じられる。」


「そうでしょうね。」


「余程仕事が嫌じゃったようじゃな。」


「はい。やる意義を見出せませんでした。」


「はっきり言いよるの。これが代々続いている家業じゃ。それを否定するか?」


「はい。過去ならばいざ知らず、現代において必要なものとは思えません。」


「なくして良い物でも無いと思うがな。」


「技の継承であれば仕事とせずともできましょう?」


「繋ぐならば仕事とした方が都合がいいでな。使わぬ物は消えて無くなるものじゃ。」


「消えて困ることも無いでしょう。」


「困らぬ事も無いのじゃがな。まぁよい。そんな話をしに来たのでも無かろ?」


これからが本題か。




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