71話 和んでます
「やっぱり雪がふるんだなぁ。」
ここは山の中のケイの家。今ではミレイと二人で住んでいる。
その為にもう人避けの法はなくしてしまった。一々手を引かないと入れないのでは不便で仕方ない。
ミリヤさんも連れてこようかというのもあったのだが、新婚の邪魔をしたくないと断られた。
もともと結婚した者は新たに家を作って出るという事が習慣としてあったので、確かに親が居たのでは不都合もあるので二人でここに移ってきた。
それでも2・3日に一度は村に顔を出していたのだが、雪が降ってはさすがに顔を出しに行くのはつらくなる。
(そろそろ向こうではクリスマスか・・・)
12月も暮れようとしている。
この世界にはそんな暦など無いのだが、ケイとしては習慣として無くせ無いので人に告げることは無いがそのまま使っている。
最近のケイとミレイは、布を作る事を仕事としている。
旅はしていない。
二度回ってから、ミレイも連れて各村に回ってミレイを妻として紹介して、それ以降は他の人にまかせている。
村の交流は大体がウィンディーネの居たサウス村と火炎様の居るイースト村の人がミリヤさんの居るノース村に知りたい事を聞きに来て、ノース村からはノーム達が居るウェスに金属をもらいに行く。
村の名前は最初に着いた村を北と決めて自分が分かりやすいように勝手に付けてしまった。
これについては誰も反対意見など無く、そのまま定着した。
火炎様は二度目に行った時に分かれていたので、火炎様に了承をもらい一人小さい方にノース村に来てもらった。
やはりケナフを育てるには暖かくないと難しいだろうと思ったからだ。
今は冬で種をまく時期になっても居ないが、育てて布作りを進めたい。
ミーシャは今家の近くの池に住んでいる。
サウス村には居る必要がなくなったので、ジンの近くに移ってきたのだ。
今では二人でよく遊びに出かけている。
穏やかな日々が続いていた。
「ミレイさ、今度僕の生まれた所に一緒に行ってみない?」
「え?ケイはここで生まれたんじゃないの?」
「ここじゃないんだ。ミレイが知らないところで、ミレイにはすっごく不思議なところかな。」
「そういえば、私ケイの事あまり知らないのかもしれない。ケイの親ってどうしてるの?」
「多分生きてるよ。どこかにはね。」
「あはは、多分って何よ。知らないの?」
「うん。小さい頃に会った記憶はあるんだけどね。ずっと会ってないし、今どこに居るのかも知らない。誰かに聞けば分かるとも思うんだけど、居ない事に慣れちゃってるから気にしてなかったや。」
「ケイの両親でしょ?言わないし会ってないから死んじゃってると思ってた。」
「もしかしたら死んじゃってるかもしれないけどね。行った時にでも聞いてみようかな。」
「行くならもう少し待ってね。がんばってこのタオルを作っちゃうから。それからでもいいでしょ?」
「そうだね。そうしようか。」