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陰陽師の憂い  作者: 高木 圭
三章 発見
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70話 やっちゃった

元の世界では人との関わりを持とうとしなかったケイ。


小さな頃は学校に行っていて周りに人は居た。

しかし修行に関する事を話すことは禁じられていた。

修行の関係で遊びに行く事も出来ずテレビも見ない。そうなればクラスの人と話す事も無い。

中学を出てからは2年もの間山に篭っていた所為で学校という人との繋がりも無くなった。

仕事を始めると関わってくるのは師匠と顧客。

顧客に関わりを持ち続けたいと思えるような者など居るはずも無く、その周りにも居なかった。

自由な時間もありはしたが、わざわざ自分から知らない相手に関わりを持ちたいと思う事もなかった。世界に馴染めなかった。

話す相手は精々が仕事でのやり取りと食堂での注文くらい。


力が無いという理由で周りからは目を向けられなかったミレイ。


周りに村人は居たが、非力な親子二人だけでの生活を送っていた。

まともに戦うこともできず、食べ物が手に入らないこともよくある事だった。

村では15にもなれば普通は結婚をして子を成していく。

年下の者すらみな結婚していくのに、自分は声を掛けられることも無く声を掛けても返事は拒絶。

この先結婚する事は出来ない。それどころか誰かとまともに会話すら出来ない状態に居た。

家族二人だけで生きていく事が、母と過ごす事だけが生きることだった。

今食べることだけが全てだった。


そんな二人が出会った。


虚構を纏わず偽らず、素直に目を合わせ心のまま振舞うミレイ。

自分を助け、周りを助け、知らない事を数多く教えてくれるケイ。


二人はお互いを必要とし、求めた。


人としての関わり。

家族以外で初めての安らぎ。


引かれあい、求め合い、仲を深め、馴染んでいく二人。

過ごしてきた生活の違いによる戸惑いなどもありはしたが、些細なことだった。


唯一障害と言える物はケイの事情だけ。

障害の内容が分からない事での不安。内容によっては引き離される事になるという恐れ。


しかし、ミレイの行動によりケイはその事情を跳ね除ける決心をする。

どのような事になろうともミレイと一緒にあり続けよう。


ミレイは離れたくない、誰にも渡したくないという心に従いケイを掴む。

ケイはミレイの求めに応じ、その手を引き寄せ、体を抱きしめ、心を掴み、守っていくと誓う。


お互いにのみ意識を向け、時だけが静かに過ぎていく。






















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