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陰陽師の憂い  作者: 高木 圭
三章 発見
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67話 計画的ですか?

「本当に気持ち良かったです。ありがとうございます。」


お風呂から上がってきたミレイ。ほんのり赤くなっていていい感じになっている。


「でしょう?よければ今度がんばって村にも作ってみて。あ、温めるのは本来は下から火を焚くんだよ。村に作って、ずっとミレイが温めるのは大変だから火を使って温めるようにしないとね。」


「そうですね。私がいないと入れないっていうのも不便ですしね。」


「作るにあたっては、みんなでいろいろ考えてみてよ。風呂桶なんかは作るのが大変だけど、他にももっといい方法だってあるはずだしね。」


「そうですね。でも、入ったことがあるのは私だけですし・・・他の人にも入ってもらわないとよく分からないかもしれません。みんなにもここで一度入ってもらっても良いですか?」


「うーん。ここに入るのはミレイだけにしたいんだけどな。あんまりこの家の事みんなに話したくないんだ。だめかな?」


「え、私だけ? 私だけ特別なんですか?ありがとうございます。嬉しいです。」


「うん。いろんな事を村の人に伝えていこうとは思ってるけど、まずはミレイに伝えて、それを村のみんなに伝えるようにしていきたいんだ。そうするとミレイばっかりが大変になっちゃうかもしれないけど、それでいいかな?」


「わ、なんかすっごい大切な役を任される感じですね。がんばります。」


「ありがとう、がんばってね。」


今まで何も出来ないとないがしろにされてきたミレイだけど、治癒が出来るようになって今では大切にされている。

自分が直接村に伝えるのではなく間にミレイに入ってもらえると、もっとミレイが大切にされる。


役に立たなかった人でも何かのきっかけで役に立つようになるかもしれないと思ってもらえれば、村の中でないがしろにされる人は出なくなるかもしれない。

ただでさえ少ない人なんだ。そんな所で隔たりなんてできないほうがいい。


それに、この家にはあまり人を入れたくない。

ミレイに会ってから扉を隠しはしたのだが、何かのはずみで(くぐ)ってしまうかも知れないのだ。

他にもこの家の作りも変わっているし、村には無い変わった物がある。


何より人避けの法の事などあまり知られたくない。

法など陰陽師としてのものは伝えるつもりが無い。

陰陽師の技は、ともすると扉を開いてしまうかもしれないものなのだ。


もし誰かが扉を開いて向こうの世界に行ったとしたら、戻ってこれなくなるかもしれない。

向こうからは扉を開けないのだ。こちらから開いた扉はじきに閉まってしまう。

そうなったら帰ってこれるのは最初に開いていた扉だけ。

今こちらの人が向こうに渡ったら生きてはいけないだろうし、この世界の事を向こうの人が知ってしまったらどうなるか分からない。


そんなリスクはいらない。


「じゃ、そろそろ寝ようか。布団一つしか無いから、一緒に寝れば良いよね。」


いつも雑魚寝してるんだから、気にしなくて良いでしょう。



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