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陰陽師の憂い  作者: 高木 圭
三章 発見
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64話 これは役に立つ

「じゃ、目を閉じて~。」


家の中に入る為、ミレイには目を閉じてもらう。


「ジンはそのままついて来て。もしはぐれちゃったらここで待ってて。すぐ迎えに来るから。」


この人避けの法は、その範囲に向ける意識を逸らす効果があるものだ。

だから真っ直ぐ敷地に入ろうとしても、真っ直ぐ進んでいると認識しながら脇に進んでいくことになる。

目には映ってはいる筈なのだが、その範囲にあるものを脳が理解しないのでそこに”ある”物があると認識できない。


つまり、目を開けてついてこようとしても中には入れないので目を瞑って手を引かれないと入れない。

おそらくはジンもそうなのだが、それを確認する為に一度試してみる。


「ま、入ってこれないよね。」


もしかしたら、大気を司っていたら大気と繋がっていて、すでに中にあるものと繋がっていれば入れるかもしれないと思って試してみたのだが、やはり入れないようだ。

中の物を取ってきて貰うというお使いは頼めないわけだ。


改めてジンにも中に入ってもらい、ミレイには家の中で一休みしてもらう。

その間にお風呂を沸かしてしまおう。


「ジンはついて来て。ちょっとやってもらいたいことがあるんだ。」


半分地面に埋まっているドラム缶状の風呂桶のある場所まで来てもらう。


「ありゃ、中の水抜き忘れてたのか。洗うのが大変だな。ごめん、ジンにやってもらう事、もう暫く先になるから向こうでミレイと休んでて。」


「いや、何をするのかここで見ているよ。それとも何か手伝える事あるかい?」


「この中を綺麗に洗おうと思うんだけど、できる?」


「・・・どうすればいいのか分からないや。大人しく見ているよ。」


下の方についている栓を抜いて水を一度捨てる。その間に綺麗な水を汲んできて、ブラシで風呂桶をブラッシング。

ブラシは動物の毛を使って作った。猪の毛は硬くていい。

洗剤は無し。時々ブラシを水で(すす)ぎながらブラシで擦るだけ。


洗剤無しはちょっと抵抗があったのだが、ここの世界で洗剤という化学製品を使う事には抵抗があったので、洗剤無しの生活に慣れることにしたのだ。

慣れてしまえば気にならなくなるものだ。


何度か中を水で濯いで、土をチカラを使って圧縮する形で栓をして終わり。

後はひたすら中に水を溜めて暖めて完成。

水を張る作業と暖める作業はジンにも手伝ってもらった。


今まで暖めるのは下から火を焚いていたのだが、これをジンに頼んだ。

先ほど意識に織り交ぜたチカラを取り込んでいてくれれば火を使わずにちゃんと暖められるはずだ。

やり方わかるかな?


「この水を温めればいいんだね、わかった。やってみよう。」


どうするのかと見ていると、中にとぷんと入って直に湯気が立った。

これは早い。


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