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陰陽師の憂い  作者: 高木 圭
三章 発見
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58話 面倒だよね

翌朝の目覚めは気持ちよかった。

焚き火のおかげで暖かい空気に包まれての目覚め。最近は随分冷え込んできていたのでとてもありがたかった。

まずは川に行って顔を洗う。今まで水は手で拭うしかなかったのだが、もしかしたらタオルが出来るかもしれないと思うとうきうきしてくる。


その為にも何本かケナフを収穫。持ち帰って試してみよう。

まず根と先を切り落としてから半分に割る。その上で乾燥。自然乾燥のほうが良いだろうから焚き火からは離しておく。

完全には今すぐ出来るわけではないが、試すくらいはできるだろう。

乾かしている間にご飯を採って来ますかね。


森の中を歩くと、柿を見つけた。

そういえば元の世界でもここでも、あまり食べた記憶が無い。

3個もいで川で洗って齧ってみる。皮はこっそりナイフでむいた。

皮はそこらにポイ捨て。森の肥料になってくれるだろう。

カリッという音が心地いい。こんな音を出せる食べ物、他には何があるかな?


戻って繊維の取り出し。ちょっと大変ではあるが、出来た。

これなら自分だけではなくて他の人にも出来るだろう。より大変ではあると思うが。


これをよって糸にしてみる。ちょっと粗いかな。

しかし出来た。繊維を継いで行く事で長さも問題ない。

糸ができた。この世界で初めて出来た糸だ。これがこの世界の生活を変えてくれる!


これをお年寄り4人に話してやってもらおうと思っていたのだが・・・

こんな訳も分からないものを誰もやってはくれなかった。


それもそうだね。

別に無くても困っていないだろうし、話してもどれだけ良いものかは想像でしかない。

出来上がった現物を見なければ分からないだろう。


残念には思うが、ここで作ってもらうのは諦めてケナフと柿を収穫してミレイの村を目指す事にした。

一応火炎様にも挨拶しておこうと思ったのだが、未だ寝てる。絶対何かおかしい。

挨拶代わりに火炎様に意識を通しておいた。炎をイメージしたのではなくて水をイメージしたのはご愛嬌。火というと荒々しいイメージがあるので、穏やかな方がいいなという自分の勝手の為だ。

これで炎であっても雨を嫌がる事が無くなるだろうしね。


今まで人に見つからないようにこっそりカバンを持ってきてくれていた式神に、ケナフも持ってもらう。

長さは4m程あるが器用にバランスを取って運んでくれた。便利だねぇ。


そういえば・・・ノームさん達が言っていたな。暫く眠っていて、目覚めたら二人になっていたって。

もしかしたら火炎様もそうなのかもしれない。


毎日焚き火に囲まれて、言ってしまえば毎日たっぷりの栄養をもらっているのだ。

蓄えられた栄養が体に満ちたので、分裂する為に眠りについているのかもしれない。

だとすると・・・最後の挨拶はまずかったかな?


そうでもないか。

放っておいたとしても分かれたんだろうし、分かれたとしても別に困ることがあるわけでも無いだろう。

自分以外に同属が居るっていうのは嬉しいと感じることだと思う。一人と感じているのは寂しい。

もしかしたら、火炎様にしろミーシャにしろ、村の人の手伝いをするのは孤独が寂しかったからなのではないだろうか。

誰かを手伝う事で、役に立つ事で孤独の寂しさを埋めていたのかもしれない。


そうなると、ミーシャにもっと意識をあげれば良かったな。

二人になれば嬉しいだろ。


そうすると、二人ともミーシャなのかな?

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