55話 そりゃ無茶だって!
「寒い!」
とにかく急いで火に当たる。まだ火炎様はお休み中らしい。
常に火があるというのも便利なものだ。薪の用意は大変だと思うが、自然に囲まれたここでは大した手間でも無いだろう。
そうでもないか?
これだけの焚き火をするのに、一日に木一本位の量の薪を使っているのでは無いだろうか。
そのうち森が禿げる・・・・
木の無い草原がこれだけ広がっているのも、もしかしたらそれが原因かもしれない。
「水浴びでもしてきた様だな。」
先ほどの人に声をかけられる。
「ええ。久しぶりに水が有ったので思わず。ですが、やっぱり寒いですね。焚き火がありがたいです。」
「そりゃそうだ。まぁ火に当たりながらでいいから、ちっといいかぃ?」
「ええ。なにか?」
「おまえさんが居るんだ。ここ以外にも村があるんだろ?」
「はい。こちらをいった所にはウィンディーネっていうお水様が居る村があって、反対を行くとおそらく僕の居た村があります。」
「ほぅ、ここ以外に二つも村があるのか。今まで一度も出会った事が無かったんだがな。どれくらい離れてる?」
「僕の居た村は分かりませんが、ウィンディーネが居るほうは3日くらいですね。行ってみるんですか?」
「あぁ。このままじゃ、村が無くなっちまうからな。」
「え!何かあったんですか?」
危険から守ってもらえて、水も食料もあって、何故村が無くなるんだろうか?
「いや、お前が心配するような事じゃねんだよ。ただ、この村にゃ女が生まれてきてねんだよ。」
あー、単純にしてどうにもならない問題だ。
子供が生まれてこなければ確かに村はなくなるわな。
「あー・・・じゃ、嫁さんもらいに行くって事ですか。でも、ただ行って嫁に来てくれって言っても無理だと思いますよ?」
「無理か?」
え!大丈夫だと思ってたの!?