44話 次いってみよー
朝目覚めて、今日からまた旅立ちだ。
彼ら二人は引っ越す意思はないそうだ。この場所を離れたくないらしい。
睡眠時間はやたらと長いらしく、昼前に起きて夕日が沈む前には寝てしまう。
おかげで見送られる事無く気楽に旅だてる。
彼らは・・・ノームの様な者なのだろうか?
金属を扱えることから考えるとドワーフだろうか。
なかなか面白い人たちだった。
二人だけで生活をしてきていたのに良くしゃべる。
あっちの土は癖があって面白い味だとか、味は落ちるが石は歯応えが心地いいとか、獣に出会っても襲われる事が無く、たまには背に乗せてくれるものも居るらしい。
獣達が怪我をしないようにと出した金属をそこらに捨てるのではなく一箇所に纏めたのが入り口にあった塊の始まりらしい。
環境やご近所さんにに配慮出来る人たちだ。
獣と仲がいいなら、獣を食べる自分達とは上手くやっていけないのだろうか?
拒絶されたくなくてまだ告げていない。
告げた方がいいのだろうか?
彼らからしたら、他者を殺して喰らうのは恐ろしい事に思えるだろう。
それとも、獣同士で行われる食物連鎖・摂理と割り切るのだろうか?
これから仲良くしていけたらいいな。
二人の下から離れて3日程歩き続けた。
他にも知らない種族や人などが居ないか期待しながら辺りに目を向けたが、流石にそう居るものではない。
いっそ恐竜から進化したような人でも居てくれたら面白い。
思いつきで思っただけだったが、
「実際に居てもおかしくは無いのではないだろうか?」
と思い至ったら恐ろしくも惜しくもなった。
元が恐竜ならばおそらく相当な強さだろう。
そして、恐竜が進化したなら祖先である恐竜を狩ることに抵抗があるだろう。
あれが本当に恐竜と呼ばれる物かは分からないが、一度食べてみたいし皮などは重宝する物だろう。
それらに手をつけることを諦めなければいけなくなると思うともったいないと感じてしまう。
自分の想像に身勝手さを感じてあきれだした頃、新たな村を発見した。
場所はおそらくミレイの村の丁度反対側辺りだろう。
ミレイに村は家から真っ直ぐ降りた辺り。
そして今感じている印の位置は自分と山の頂の延長線上だと感じる。
真反対の位置にあったのでは、今まで出会う機会など無かったろう。
山の森は普通に入るにはかなり危険だ。
熊や風の悪魔やらに遭う危険を犯してまで奥に入る理由など無いだろうし、裾野を歩いて反対にまで行かなければならない理由も無い。
自分のように興味本位で歩き回るような余裕などあるはずも無いのだから。
では、出会いに行ってこよう。