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陰陽師の憂い  作者: 高木 圭
三章 発見
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43話 交渉してみた

「いやぁ、すまなんだな。あまりの美味(うま)さに取り乱しちまったぃ。」


そうとう美味しかったらしく暫く騒いでいたが、やっと落ち着いてくれた。

話を聞いてみると、この人達には名前が無いらしい。

二人だけで生活をしているので名前など要らなかったそうだ。


そして今までお互い以外では同じ種族の人にあったことは無いそうだ。

それどころか、この二人には親も居なくて、元々は一人だったのが別れたんだそうだ。

自分でもよく分からない時から居て、ある時もの凄く眠たくなったから眠って、目が覚めたら二人に別れていたそうだ。


確かにそれなら名前など無いだろう。

付けてあげても良かったのだが、見た目が同じで名前をつけても区別できそうも無かったのでやめておいた。


しかしまぁ・・・細胞分裂? どう見ても単細胞では無さそうなのだが・・・

なかなか特異な体をしていらっしゃる。


そしてこちらにとって重要な事。

部屋や入り口をふさいでいた金属は、土を食べた後の二人の食べカスらしい。


歯に詰まるわけでも尻から出てくるわけでもなく、出そうと思う時に体から(にじ)み出すそうだ。

普段は手から出して、入り口の塊に擦り付けるようにしているとの事。

それだけでも十分不思議だが、極めつけは彼らは自分で出した金属を割りと簡単に形を変えられるそうだ。

指で(つま)んでウニウニと。

なんとも不思議ながら便利である。


部屋の壁に付けているのは、地下に住むのが落ち着くが虫が出てくるのが鬱陶しいから入れない様にする為だそうだ。


地下が好きで土を食べるのにミミズや幼虫は嫌なんだ。

なんか不思議な気がする。

口に入れた土に入っていたらどうするんだろう?


入り口にある塊は最近の遊びで、大きくしてみようと出した物を二人ともあそこに擦りつけているんだそうだ。

だから、もはや二人にもどうにも出来ない状態になっている。

自分の出した物でないと(いじ)る事はできないんだってさ。

見た目そっくりで元は一つの体だったとしても、今は違う別個の人だという事だろう。


今度出した金属で何かを作ってもらう約束をした。

報酬は意識を通した土で。


見事なギブアンドテイク?


あんな塊じゃ、持っていく事も加工する事も出来そうにない。折角二人の成果なんだしね。

新たに用意してもらって作ってもらう。

やっぱり刃物かな?黒曜石でも切れるけど、すぐ欠けちゃうんだよね。


今すぐ材料が出てくるわけでは無いみたいなので、今度来た時に作ってもらう事にした。

見本にナイフを持ってこよう。


そんなやりとりをして、その日はお互い眠りについた。


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