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陰陽師の憂い  作者: 高木 圭
三章 発見
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39話 届かない手

どれくらい呆然としていたのだろうか。

時間の感覚が無くなっていた。

太陽はまだ真上にはきていない。それほど長い間立ち尽くしていたわけでは無いようだ。


もう少し近くで見てみようと前に進もうとして、前が崖とまでは言わないがかなり急な下り坂になっている事に気がついた。

まだショックが抜けていないようだ。あと3歩も歩いていたら、下まで転がり落ちていただろう。

間違いなく大怪我をしていただろうし、最悪死んでいたかもしれない。


一息深呼吸して、気を取り戻す。

ここを降りるのはかなり危険だし、降りたら登ってはこられないだろう。

周りを見渡してみる。

この急斜面はかなりの長さ続いているようだ。なだらかになっている所は見当たらない。

この急斜面のおかげであの恐竜のようなものは村の方には来れないのだろう。


先ずは降りれそうな所を探そう。

右も左も分からないのだ。適当に先ほどの川の下流側に向かって崖にそって歩く。


足場はしっかりした土だ。

硬い岩場ならば分かるのだが、何故こんな急斜面ができあがったのだろうか。

地殻変動で隆起したのなら崩れているだろう。

かなり不思議な地形に思える。


お昼を挟んで歩き続けたのだが、どこまでも続いている。

下には草原だけでなく、時には森林、時には池などがあった。遠くには山もある。

動物が狩りをしている様子も見られた。


しかし、大自然の営みの中に人は居ないようだ。

家や火などの人が生活している痕跡は見られない。

もちろん人の姿も。


日暮れ近くに池を見つけたので、今日は諦めて夕飯と寝床の用意に取り掛かる。

先ずは待機させてある式神に荷物を持ってくるように伝える。

今まで持ってこさせることを忘れていたのだ。


下からは見えない位まで下がって薪に火を起こす。

食べ物に火は要らないが、随分涼しくなってきているので暖をとるためだ。


火を見ていると落ち着く。


村で生活していたのが嘘の様だ。

ここはどんな世界なのだろう。


未だにうまく働いていない頭でつらつらと考えていると荷物が届いた。

夕飯にはミレイからもらった分の残りを食べて満足したが、追加で荷物からプリンを取り出して食べる。

疲れたときなどには甘味がいいと持ってきておいたものだ。

疲労のためというよりは気分転換の為に食べたくなった。


石器時代にプリンを食べるのもなかなか不思議な感じが味わえるとは思っていたが、さらに恐竜が居るところで食べると思うと妙に笑えてきた。


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