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陰陽師の憂い  作者: 高木 圭
三章 発見
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32話 洋の東西

ミレイ親子だけではなく、村に受け入れられた。

きっかけは鍋だった。


ミリヤさんには生食は重いと思い、調理する道具として鍋を用意したのだが、それが村人にもうけた。

調味料という物もなかったからそのままの味しか楽しめなかったのが、塩や胡椒で味を付ける事が良かったようだ。岩塩の在り処と胡椒を乾燥させて使うことを伝えると、凄く喜んでくれた。

それをきっかけにして、会えば軽く会話をするようになった。


そして驚いたのがミレイだ。


教えたのは江戸末期に起こった裏世界での西洋との技術交流で取り入れた西洋魔術の基礎のようなものだが、これを簡単に覚えてしまった。


西洋魔術で先ず思い浮かべるのは魔方陣だが、これは上級魔術でこちらには伝わっていない。

宗教や歴史背景、言語形態やらと絡むものが多すぎて、さわり程度の研究でも把握は大まかに出来てはいるのだが扱えないのだ。

扱おうとすれば出来はしたのだろうが、そうすると陰陽師としての技術を扱えなくなるし、両立や折衷ではどちらも駄目になるという事が分かったため、素直に独自技術を扱うことに決まった。

ちなみに、こちらの技術に基礎の修練はあっても基礎の術はないので、修練方法や概念を伝えている最中に(さじ)を投げられたらしい。


西洋の技術は西洋で扱えばいい。代わりにこちらの技術はこちらで扱う。


お互いの技術は取り入れられないことが分かったため、技術の秘匿など必要がないことが分かった事から関係は良好になっている。

世情交換や手伝いなどが普通にある。


話がそれた。


基礎としての技術は、意識を4元素に重ねて扱うというものだ。

これは教わったものから概念のみを取り入れ、扱えるようにしたものだ。

この世界に来て、頻繁に使っている風で物を切ったり土を動かしたりしているのがこれだ。


それをミレイは簡単に扱えるようになったのだ。

扱えるだけでまだまだ未熟で、風で切るのではなく風を起こす事しか出来ないし、土は石などの塊は動かせないし、火は枯葉に火は点くが薪に直接火を起こす事はできないし、水は手が湿る程度だ。


しかし、これは本来6歳頃から2年程かけてやっと扱えるようになるものだ。

大人に成れば成るほど覚えるのは難しくなる。

それなのに、おそらく17~8歳に成っているであろうミレイが3日でできるようになったのだ。


しかしそれで、この世界の人はチカラを扱う才能があるのだろうと他の人にも教えてみたが、なかなか扱えない。

ミレイ以外に扱えたのは、比較的髪色が薄いガズという少年だけだった。


色が濃いと体力に優れ、薄いとチカラに優れているのだろうか?

最近体調が良くなってきたミリヤさんが扱えるようならそうなのだろう。

今度教えてみようと考えている。


しかしチカラを教えるためにチカラを披露した為、どうやら恐れとか敬いとかの感情を持たれてしまったようだ。

やっと気軽に話せるようになってきたと思っていたら、また微妙に距離が離れた感じ。

ミレイの事があって安心していただけにちょっと怖い。

知らないことを教えてくれる便利な奴から、普通ではできないことができる特別な人になってしまった。


まぁ、誰も扱えないチカラではないことが分かっているだけでもよしとするべきだろう。



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