30話 そよ風に落ち着く
「遅くなってごめんなさーい。」
家の中に入ると、ミリヤさんは寝ていた。
実はかなり具合悪いのかな?前に見たときは意外と元気そうに思ったんだが。
でも、凄く痩せてるから体力無いんだろうね。
「お母さん寝ちゃってるね。どうする?起こした方がいいかな?」
一応聞いてみる。
「いえ、休んでいるところを起こすのもどうかと思いますから、このまま寝ててもらいましょう。」
まぁそうだよね。
「じゃ、お母さんの分は取って置いて、先に少し食べちゃおうか。そして夕ご飯の準備してよう。ミレイの知らない事ばかりだと思うから、時間かかると思うしね。」
「そうですね。夕ご飯お母さんが気持ちよく食べれるんですよね?支度がんばります。」
中にお母さんの分を取り置いて外に出る。
食べるなら外のほうがいい。中は暗いんだもん。
寝てる人の傍でごそごそしないほうがいいしね。
桶で食べ物を持っていって川原で食べる。後で水を汲んで持っていこう。
「風が気持ちいいですね。」
そよ風に髪を撫でられ目を細めているミレイ。
「そうだね。川原でそよ風を感じながらのんびりご飯食べるのも気持ちいいね。これからも時々こんな風に外でご飯食べようね。」
「はい。調子がよければお母さんも一緒に外で食べましょう。ところで、夕飯の準備って、どんなことするんですか?」
「先ずは普通に食べられるものを採ってくるんだよ。ミレイが知らないものばかりだと思うから、しっかり覚えてね?」
「知らない食べ物ですか?やっぱり森の奥にあるんでしょうか・・・」
「あー、ごめん。言い方が悪かったね。食べられるって知らないだけで、見た事はあるものばかりだよ。
大体が葉っぱや根っこなんだ。葉っぱや根っこを食べた事って、ある?」
「いえ、流石にそれは無いですよ。そんなの誰も食べませんよ?」
「まぁ、そうだと思うよ。そのままじゃ食べられないからね。でも、そのままじゃなければおいしいんだよ?怪我した時に家で食べたの、おいしかったでしょ?」
「はい、おいしかったです。あれが葉っぱや根っこだったんですか?」
「そうだよ。もちろんそれだけじゃないけどね。じゃ、採りに行こうか?」
「はい。なんだかワクワクします。」
調味料は塩に唐辛子に採りたての胡椒。気に入ってくれるといいな。