28話 もう落ち着いた?
家に到着。
獲物は空間転移で運んだ。今は燻製小屋に置いておく。
ミレイは抱っこしてきた。未だに僕にしがみつき、震えている。今まであんな体験は無かったのだろう。
震えが修まるまではこのままでいてやりたいが、飲み物くらいは用意しておきたい。
符術紙とナイフを転移で持ってきて、形を整えて血を付け式神を創りだし、飲み物を用意させる。
落ち着かせようとミレイの背中をさする。
もう大丈夫だから。安心して。
湯が沸いたので火を消し、ハーブを入れる。微かながらすっきりとした香りと少しの苦味のあるもの。おそらくこの世界特有のものだ。
茶葉やコーヒーはまだ見つけていない。
熱くては飲めないだろうから、温くなった頃合を見てミレイに勧める。
「少しは落ち着いた?これ、飲んでみて。」
ぎこちないながらも少しずつ飲んでいる。
飲むことが出来るなら、もう大丈夫だろう。
「ごめん、怖い思いさせちゃったね。」
「いえ・・・それでもケイさんはちゃんと守ってくれましたから。」
そっと微笑むミレイ。強いな。
「もう落ち着いたみたいだね。それじゃ体を綺麗にしようか。血まみれのままじゃ、お母さんが驚くよ。」
「そうね、確かにこれじゃぁ驚かせちゃうね。近くに川ってあるの?」
「川じゃないけどね。体を洗うところを作ってあるんだ。行こう。」
風呂には水は張ってない。沸かす必要もないから貯水池で水浴びでいいだろう。
貯水池は汚れてしまうが・・・まぁ諦めよう。一応流れてるしね。
「ここ。川がちょっと遠いから、作ったんだ。上がったらこれで体を拭いてね。」
タオルを置いておく。
「これを作ったんですかぁ・・・凄い事しますね。」
「服も一緒に洗っちゃってね。」
服を脱ぎだしたので、一声かけて燻製小屋に向かう。この間に皮を剥いで吊るしておこう。
皮を剥ぐのは未だにナイフだ。早く代わりを用意したい。
金属を作れるようになるのが一番いいのだが、黒曜石でもいいから見つけたい。
今のままでは見せられない。
村で肉を捌いてるなら、村の人たちは見つけてるのかな?
今度確認してみよう。