26話 やっぱり、やじり欲しいよね
「じゃ、弓矢使ってみようか。」
森に入ってミレイに言う。まずどんな感じなのか見ておきたい。
「はい。じゃ、あそこの木を狙いますね。」
左足を前にして、右手に矢をつがえて引き絞る。
はずれ。
「矢をあるだけ全部やっちゃって。」
当たらない。癖も決まっていないようで、てんでバラバラに飛んでいく。
「腕の問題じゃなくて、道具の問題かな。撃つ前にも見たけど、やっぱり飛び方が一定じゃないもん。」
矢が曲がっていたりするんだよね。羽も無し。
これでは難しいだろう。
「そうですか?でも、みんなはこれで狩ってますよ?」
「その方がすごいよ・・・じゃぁまず、僕の矢を使ってみて?」
「鳥の羽が付いてますね。あったほうがいいんですか?」
「その確認の為にも撃ってみて。さっきと同じ感覚でね。」
「はい・・・えい!」
狙った木には当たったが、刺さらない。まぁ鏃つけてないからね。
「当たったね~。おめでとう。」
「はい、ちゃんと当たりました! でも、刺さらないです・・・」
「まぁそれはいいよ。大した問題じゃないから。 弓が弱いんだしね。力が付けば強い弓も引けるようになるから問題無いよ。 それに、木に刺さらなくても獲物に刺さればいいんだし。」
「そうですね・・・」
「あー疑ってるね?でも、多分僕が撃っても木には刺さらないよ?でも、うさぎは取れたもん。だーいじょうぶだって!」
「え?ケイさんでも刺さらないんですか?」
「うん。試してみようか?」
自分の持つ弓で撃つ。
木に当たって先が潰れる。
ちょっとびっくり。こんな風になるとは思わなかった。
「確かに刺さりはしませんでしたね・・・でも先が潰れるって、どんな力なんですか!?」
「僕も驚いたよ。いつもは小さいのを狙ってるんで、外れても地面に刺さるだけだから。でもまぁ、刺さらないのは分かったでしょ?」
「そうですね。木に刺さらないのは当然なんですね。ちょっと安心しました。」
「後は矢の改良だね。矢をまっすぐに削るだけでも結構いけると思うけど、羽なんて落ちてる物を拾ってつけちゃおう。 んーで、力を付けるためにいっぱいごはん食べようね。」
「はい。いっぱい食べたいです。」
「じゃ、いっぱい取ろう?お肉はまだ取れなくても、食べれるのいっぱいあるからさ。」
木の実を集める。
鍋ができたら根菜なんかも食べれることを教えてあげよう。