20話 お母さん・・・元気ですね?
家の前に着き、ミレイを降ろす。
「お母さん、ただいま。」
そういって草を掻き分けて中に入っていくミレイ。
中に入りたいのだが・・・呼ばれるまで入れないよな。
「ミレイ!おかえり。遅かったじゃないか、心配したんだよ? どうしたんだぃ?大丈夫なのかぃ
?怪我でもしたのかぃ?」
「ごめんなさい。怪我しちゃったりして、いろいろあって遅くなっちゃった。でも、はい、これ。ごはんいっぱいあるんだよ。毛皮ももらっちゃったし、いっぱいもらっちゃったの。」
「毛皮をもらったのかぃ?誰にだぃ?とうとうおまえにも・・・って、その毛皮かぃ!?
なんかえらい人から毛皮をもらえたみたいだねぇ・・・でも、風の悪魔を倒せるようなの、村に居たかぃねぇ?」
「ごめんね、おかあさん。この毛皮、結婚の証じゃないの。そういう事、知らない人なんだって。村の人じゃないんだよ。あ、今入り口にいるんだ!ごめんお母さん、今入ってもらうね!」
あ、存在を思い出してもらえた。このまま忘れられてたらどうしようかと思った・・・
「ケイさん、ごめんなさい。中に入って?お母さんに紹介するから。」
「んー、紹介の前に、まずお母さんに服着てもらって?着てもらったら声掛けて。入るから。」
「そうだった。裸は駄目なんだっけ。わかった。着てもらったら声かけるね。」
そういって中に入っていくミレイ。着方は分かるよね?
「どうぞ入って。」
「おじゃましまーす。」
中は暗い。まぁ屋根が草なんだから、火は熾せないもんね。これでよく見えるな・・・
「お母さん、こちらがケイさん。怪我した私を治してくれたの。ケイさん、これが私のお母さんです。」
「どうもはじめまして。ケイといいます。」
「娘がお世話になったようで。母のミリヤです。」
「いえいえすみません。私が仕掛けた罠にかかってしまって、怪我までさせてしまって申し訳ありませんでした。」
「あら、そうなんですか?罠というものがどんなものかわかりませんが・・・?あなたがミレイを怪我させたんですか?何したんですか?」
「穴を掘った所に落ちてしまったんです。」
「穴に落ちたんですか?・・・ミレイ、ちゃんと周りは見なさいょ・・・」
「だって、木の実を見つけたんだもん!穴なんて見えなかったんだもん・・・」
「あ~、罠って言うのはですね、それなんですよ。真ん中に木の実を置いておいて、周りに穴を掘っておいて、穴って分からないように草を被せておくんです。そうすると、木の実を食べようと近づいた動物が穴に気付かず落ちるんです。自分で取らなくてもご飯が勝手に取れるんですよ。」
「ごはんが勝手に取れるんですか?それでミレイが怪我したんですか?よくわかりませんが・・・」
「あ、ごはんいっぱい取ってきてあるんで、食べてください。」
「そうだ、お母さん食べよ?久しぶりにいっぱいあるんだよ!」
「そうだね。食べようか。ケイさんも一緒にどうぞ。」
「そういえば、赤い木の実でしたね。誰かに聞いてきましょうか。」
「そうだ!赤い木の実で力が付くんだって!どれの事か、聞いてくるね!」
「いや、僕が聞いてくるよ。二人は食べてて?あ、お肉は焼かなくてもそのまま食べれるから。」
さて、村の人と交流してきますか。