13話 罠に落ちた天使
昼飯の用意をしていると、悲鳴が聞こえた。
畑のほうだ。落とし穴にかかったのだろう。
時々何かが罠にかかる。
何もしなくても捕まえられるのはありがたい。今では落ちたウサギを2羽飼っている。
増えてくれるといいのだが、まだそんな気配は無い。当たり前か。
しかし不思議だ。悲鳴?この世界にも人が居るのか?それとも、似たような泣き声を出す動物がいるのだろうか?
この世界に来て二月ほどになるが、どちらにもまだ出会っていない。
いってみれば分かるか。
向かってみると、女の子が落ちていた。
・・・全裸で。
太ももに枝が刺さっている。罠の底に仕掛けた罠だ。
大型なら怪我をさせて弱らせれるし、小型なら問題無く生け捕りに出来るからだ。
しかしこれは可愛そうな事をしたな。血を流して気絶している。
土を盛り上げて穴から出して、枝を抜き取る。
血が盛大に出るが無視して水を掛けて洗い、火の法で傷を焼いて止血。
家の中に連れて入り、布団に寝かせてから治癒の札を患部に貼っておく。
痛みも治まるし、これで2,3日で治るだろう。
しかし何故ハダカなんだ?
この世界には服を着るという考えは無いのだろうか?
あまり見入るのも気が引けるし、汚れてはいるようだが体を拭くのも気が引けるので、そのまま布団の中に眠らせた。気が付けば起き出すだろう。
とりあえずはご飯の用意を続けよう。
匂いで起きるかもしれない。
鍋が小さいから二人で食べると少ないか。少し肉も焼いておこう。
*****
「美味しそうな匂い・・・」
彼女は目を覚ましたようだ。迎えに行こう。
「目を覚ましたようだね。大丈夫かい?ごめんな、動物用の罠に落ちちゃったんだ。」
「え・・・罠・・・てなんですか?落ちた穴はあなたが掘ったんですか?あと・・・ここは?」
まだおぼろげの様で、ぼんやりしているようだ。
「ご飯、食べるかい?」