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桜を追いかけて  作者: sakura


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7/9

第7話

はじめまして。


この物語は、桜を追いかけて日本を旅する青年の話です。


仕事に疲れ、少し立ち止まってしまった主人公カナタが、軽キャンピングカー「あお」で桜前線を追いかけながら日本を北へ旅していきます。


満開の桜だけではなく、散り始めた桜、葉桜、そして桜のない道もあります。

旅の中で出会う人や景色、そして小さな思い出が、少しずつカナタの心を前に進ませていきます。


ゆっくりとした旅の物語ですが、よかったらカナタと一緒に春の日本を旅してみてください。

第7話 朝の海

沖縄で迎える最初の朝。

カナタはまだ暗いうちに目を覚ました。

「あお」の中は静かだった。

窓の外から、かすかに波の音が聞こえる。

ざぁ……

ざぁ……

ゆっくりした波の音。

カナタは体を起こす。

時計を見る。

まだ朝の五時前だった。

外はうっすらと暗い。

カナタはドアを開けて外に出る。

空気がやわらかい。

福島の朝とはまるで違う。

少し湿った、暖かい空気だった。

目の前には海が広がっている。

カナタはゆっくり砂浜へ歩く。

人はいない。

車の音もない。

ただ波の音だけ。

ざぁ……

ざぁ……

水平線が少しずつ明るくなっていく。

空の色が変わる。

濃い青。

それがゆっくり、薄くなっていく。

そのとき。

海の向こうから光が出てきた。

朝日だった。

ゆっくりと、太陽が昇る。

海の上に光が広がる。

波が金色に輝く。

カナタは思わずつぶやいた。

「……すごいな」

ただの朝。

でも、今まで見た朝とは違う気がした。

急いで仕事に向かう朝ではない。

時間に追われる朝でもない。

ただ、ここにいるだけの朝。

カナタはポケットからスマホを取り出す。

カメラを開く。

少しだけ迷う。

でも、録画ボタンを押した。

波の音。

朝日。

静かな海。

カナタは何も話さない。

ただ、景色を撮る。

数分後。

録画を止める。

「……まあいいか」

誰かに見せるつもりもない。

ただ、なんとなく撮っただけだった。

カナタはもう一度海を見る。

朝日が少し高くなっていた。

新しい一日が始まる。

桜を追いかける旅の。

その最初の朝だった。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この物語では、日本のいろいろな場所を旅しながら、桜と人の小さな物語を書いていきたいと思っています。


桜は満開の時間がとても短く、同じ場所でも少しの時間で景色が変わってしまいます。

その変わっていく景色も含めて、旅の時間なのだと思います。


満開の桜だけではなく、散った桜や葉桜、そして桜のない日もある旅になりますが、ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。


もしよろしければ、ブックマークや感想などいただけるととても励みになります。


これからもカナタの桜の旅は続いていきますので、よかったらまた次の話でお会いできたら嬉しいです。

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