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桜を追いかけて  作者: sakura


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第5話

はじめまして。


この物語は、桜を追いかけて日本を旅する青年の話です。


仕事に疲れ、少し立ち止まってしまった主人公カナタが、軽キャンピングカー「あお」で桜前線を追いかけながら日本を北へ旅していきます。


満開の桜だけではなく、散り始めた桜、葉桜、そして桜のない道もあります。

旅の中で出会う人や景色、そして小さな思い出が、少しずつカナタの心を前に進ませていきます。


ゆっくりとした旅の物語ですが、よかったらカナタと一緒に春の日本を旅してみてください。

第5話 フェリー

港は広かった。

大きな船が何隻も並んでいる。

カナタは「あお」をゆっくりと進めた。

フェリー乗り場。

船の影が大きく地面に落ちている。

こんな大きな船に車で乗るのは初めてだった。

少し緊張する。

係員が手を上げる。

「そのまま前へどうぞ」

カナタはゆっくり車を進める。

鉄のスロープを登る。

船の中へ入ると、少し油の匂いがした。

広い空間。

トラックや車が並んでいる。

「ここで停めてください」

係員が指さす。

カナタは「あお」をそこに停めた。

エンジンを止める。

しばらく静かになる。

カナタは車から降りる。

船の中は少しひんやりしていた。

カナタは階段を上がり、デッキへ出る。

海風が強い。

空は広く、青かった。

港のクレーンが遠くに見える。

しばらくすると、船がゆっくり動き始めた。

港が少しずつ遠ざかる。

町の景色が小さくなっていく。

カナタは手すりにもたれる。

海を見る。

どこまでも広い。

波がきらきら光っている。

カナタはスマホを取り出す。

カメラを開く。

なんとなく動画を撮る。

海。

空。

船の音。

特別なことは何もない。

でも、今のこの時間を残しておきたかった。

カナタは録画を止める。

「……旅してるな」

小さくつぶやく。

桜を追いかける旅。

沖縄から始まる。

カナタは海を見ながら思う。

この旅がどこまで続くのか。

まだ分からない。

でも。

それでもいい。

フェリーはゆっくり南へ進んでいく。

沖縄へ。

桜前線の始まりの場所へ。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この物語では、日本のいろいろな場所を旅しながら、桜と人の小さな物語を書いていきたいと思っています。


桜は満開の時間がとても短く、同じ場所でも少しの時間で景色が変わってしまいます。

その変わっていく景色も含めて、旅の時間なのだと思います。


満開の桜だけではなく、散った桜や葉桜、そして桜のない日もある旅になりますが、ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。


もしよろしければ、ブックマークや感想などいただけるととても励みになります。


これからもカナタの桜の旅は続いていきますので、よかったらまた次の話でお会いできたら嬉しいです。

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