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桜を追いかけて  作者: sakura


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4/12

第4話

はじめまして。


この物語は、桜を追いかけて日本を旅する青年の話です。


仕事に疲れ、少し立ち止まってしまった主人公カナタが、軽キャンピングカー「あお」で桜前線を追いかけながら日本を北へ旅していきます。


満開の桜だけではなく、散り始めた桜、葉桜、そして桜のない道もあります。

旅の中で出会う人や景色、そして小さな思い出が、少しずつカナタの心を前に進ませていきます。


ゆっくりとした旅の物語ですが、よかったらカナタと一緒に春の日本を旅してみてください。

第4話 出発の朝

出発の日の朝。

カナタは少し早く目を覚ました。

部屋の中は静かだった。

五年間住んだ小さなアパート。

特別な思い出があるわけではない。

でも、ここで過ごした時間は確かにあった。

カナタは台所でコーヒーを入れる。

湯気がゆっくり上がる。

窓の外を見ると、空はよく晴れていた。

まだ少し寒い。

でも、どこか春の気配がある空だった。

カナタは部屋を見渡す。

家具はほとんどない。

必要なものはもう車に積んである。

服。

カメラ。

ノート。

そして少しのお金。

それだけだった。

大きな旅ではない。

ただ、桜を追いかけて

日本を北へ走るだけ。

カナタは最後にコーヒーを飲み干す。

「……行くか」

小さくつぶやく。

玄関のドアを開ける。

冷たい空気が入ってくる。

階段を降りると、駐車場に青い車が停まっていた。

軽自動車。

でも今は、旅の車だ。

カナタは車に近づく。

ボンネットを軽く叩く。

「あお」

小さく声をかける。

「今日から旅だ」

運転席に座る。

エンジンをかける。

軽い音が響く。

ハンドルを握る。

カナタは少しだけ深呼吸した。

不安はある。

でも。

それでも、行きたいと思った。

桜を追いかけて。

カナタはゆっくりアクセルを踏む。

「あお」は静かに走り出した。

アパートの前の道。

見慣れた町。

五年間暮らした場所。

その景色が、ゆっくり後ろへ流れていく。

カナタはバックミラーを見る。

町が少しずつ遠くなる。

カナタは小さく笑った。

「さて……どこから行くかな」

最初の目的地は決めている。

沖縄。

日本で一番早く桜が咲く場所。

桜前線の始まり。

カナタはアクセルを踏む。

青い軽キャンピングカー「あお」は

ゆっくりと旅の道へ入っていった。

その旅が

何年も続くことになるとは

このときのカナタは

まだ知らなかった。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この物語では、日本のいろいろな場所を旅しながら、桜と人の小さな物語を書いていきたいと思っています。


桜は満開の時間がとても短く、同じ場所でも少しの時間で景色が変わってしまいます。

その変わっていく景色も含めて、旅の時間なのだと思います。


満開の桜だけではなく、散った桜や葉桜、そして桜のない日もある旅になりますが、ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。


もしよろしければ、ブックマークや感想などいただけるととても励みになります。


これからもカナタの桜の旅は続いていきますので、よかったらまた次の話でお会いできたら嬉しいです。

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