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桜を追いかけて  作者: sakura


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第1話 帰り道、一本の桜

はじめまして。


この物語は、仕事に疲れてしまった一人の青年が、

軽キャンピングカーで日本の桜を追いかける旅の話です。


満開の桜だけではなく、

散り始めた桜、葉桜、そして桜のない道も出てきます。


旅の中で出会う景色や人の言葉が、

少しだけ誰かの心を軽くできたらいいなと思いながら書いています。


静かな旅の物語ですが、

よかったらカナタと一緒に、日本の春を旅してみてください。


雪は、もうほとんど残っていなかった。

道路の端に、灰色になった雪のかたまりが少しだけ残っている。

冬が終わりかけている夕方だった。

カナタは仕事帰りの道を歩いていた。

作業服のまま、ポケットに手を入れて歩く。

工場の仕事は今日も同じだった。

機械の音。

油の匂い。

同じ作業の繰り返し。

高校を卒業してから、もう五年になる。

最初は「とりあえず」だった。

働きながら、何か見つかるかもしれない。

そう思っていた。

でも、気づけば五年。

何も変わっていない。

カナタは小さく息を吐く。

白い息が空気に溶けた。

そのときだった。

カナタは、ふと足を止める。

道の向こうに、一本の木があった。

桜だった。

まだ咲いてはいない。

でも枝の先には、小さなつぼみが並んでいる。

カナタはその桜を見上げる。

忙しくなってから、桜をちゃんと見たのは久しぶりだった。

風が吹く。

枝が静かに揺れる。

カナタはぽつりと言った。

「……綺麗だな」

まだ咲いていないのに。

でも、なぜかそう思った。

カナタはしばらく桜を見上げていた。

何も考えない時間。

久しぶりだった。

そのとき、ふと思う。

もし。

もし仕事を辞めたらどうなるだろう。

お金のこと。

将来のこと。

不安はある。

でも。

今のまま続けることを考えると、

胸の奥が少し重くなる。

カナタはスマホを取り出す。

なんとなく検索する。

「桜 開花」

画面にいくつもの写真が並ぶ。

沖縄。

鹿児島。

京都。

長野。

福島。

桜は南から北へ咲く。

沖縄から始まり、

九州、本州、東北、そして北海道へ。

春が、日本を旅している。

カナタはその画面を見ながら思う。

だったら。

自分も旅してみればいいんじゃないか。

桜と一緒に。

南から北へ。

ただ、それだけの旅。

カナタは小さく笑う。

「……桜を追いかけてみるか」

理由はない。

意味もない。

でも。

それでもいい気がした。

カナタはもう一度桜を見上げる。

枝の先のつぼみが、静かに揺れていた。

春は、もうすぐそこまで来ている。

そしてこのとき、カナタはまだ知らない。

この小さな思いつきが、

青い軽キャンピングカー「あお」と一緒に

日本を旅する物語の始まりになることを。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この物語は、桜を追いかけて旅をするカナタの物語ですが、

満開の桜だけではなく、散った桜や葉桜、桜のない道も描いていきます。


桜の季節はとても短く、

同じ場所でも、昨日と今日で景色が変わってしまいます。


でも、その変わっていく景色も含めて、

旅の時間なのだと思います。


この物語では、日本のいろいろな場所を旅しながら、

そこで出会う景色や人の思い出を少しずつ描いていく予定です。


もしよかったら、

これからもカナタと一緒に桜の旅を続けていただけたら嬉しいです。


次の町にも、きっとどこかで桜が咲いています。

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