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エンジェルタイム〜恋天使伝説〜  作者: トーヤ


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1/5

出会い~胡桃~

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

「おや、まぁ。どうしたんだい?そんなに悲しそうな顔をして」


突然かけられた声に、小川(おがわ)胡桃(くるみ)は顔を上げた。


確かに今の今まで、人の気配などまるで無かった、はずの胡桃の前に一人のおばあさんが立っていた。


「おばあさん誰?いつからそこに居たの?」


おばあさんはにっこり笑うと、胡桃の隣に腰掛けた。

ここは、胡桃の家から歩いて5分くらいの所にある、公園の噴水横にある錆びれたベンチである。

2月という真冬では噴水もただの飾りでしかないのだが…。


「お嬢さん、名前は何と言うんだい?」


少し太めで丸眼鏡をかけた、"これぞおばあちゃん"という感じのおばあさんは、胡桃の問いには答えずにゆったりとした口調で聞いてきた。

胡桃は、変なおばあさんだなぁ、と思いながらも何となく会話は続いていく。


「あたし胡桃。小川胡桃。木の実のクルミだよ」

「そう、胡桃ちゃんて言うのかい、かわいいねぇ、高校生かい?」


胡桃はひとつ頷いた。

胡桃は現在高校2年生の17歳だ。


「さて、胡桃ちゃんは何がそんなに悲しいんだい?」


優しく問いかけられ胡桃は、気がつくとなぜか今まで誰にも話したことのない自分の心の中を、ポツリポツリと話し出していた。

それはまるで、催眠術に、若しくは魔法にでもかかったみたいに…。


「あのね、あれはね……」



もう、1年半くらい前になるかな、あたし転校生でね。

しかも人見知りで全然友達とか出来なくて、いつも独りぼっちだった。


そんなある日、あたし英語の教科書忘れちゃって、だけど貸してくれるような友達とかもいなくて、どうしようってオロオロしてるうちに涙目になっちゃってね。


もう限界って思ったときに突然、ホントに突然、目の前に教科書が現れて、驚いて顔を上げたらクラスの男の子だったの。


その男の子なんにも言わずにあたしの手に教科書握らせて教室から出て行っちゃったの。


クラスの誰もあたしの様子なんか気にしてないし、気にも止めてないのに、その男の子だけ気にしてくれた。


その男の子が戻ってきた時、手には教科書が握られてた。

あたしの手の中の教科書が彼の物だと気づいた時、胸の中が温かくなったの。

すごく嬉しかったの。


その男の子ね、保科君って言って、あんまり目立つタイプじゃないけど、何にでも一生懸命な人、それにとても、キレイな字を書く人。


あたし授業終了後、目一杯の勇気を抱えてお礼を伝えに行った。


「ありがとう」


その一言しか言えなくて、もしかしたらその一言もちゃんと伝わってなかったかも知れない。


その日から自然と保科君を目で探して、気がつくと保科君のこと考えてた。


テレたように笑う顔がかわいいとか、眼鏡を人差し指で上げる仕草とか、少しずつ気づくことが増えていって、それが嬉しいって思ったときに気がついたんだ。


保科君が好きなんだって。


だけど、話しかけることも出来ないし、告白なんて問題外、ただ見つめているだけで十分だったの。


なのに2年になるとクラスは端と端に別れ、体育が合同なワケでも、文系のあたしと理系の保科君では、選択教科で同じ授業を受けるワケでもなくて…。


ただ、廊下でみかける偶然を待っているだけだった。

休み時間は保科君の居そうな場所に行き、姿を探していた。


そんなある日、廊下で彼が女の子と話してるのを偶然見てしまったの。


とても胸が痛くて、耐えられなかった。

彼が他の女の子と楽しそうにしているのがイヤだった。


だけど、自分は話しかける勇気も、告白する勇気もないのに…。

嫉妬するのは一人前。

独占欲だけは強いなんて、ものすごくサイテーだと思ったの。


それなら告白してしまえって、もうすぐバレンタインだからって、そう思ったの。


だけど、バレンタインデーが日に日に近づいてきて、いよいよ明日って時になったら気持ちが萎えてくるの。


本当にチョコ渡せるの?

好きだって言えるの?

断られたら?

おまえ誰って言われたら?

おまえなんか嫌いって言われたら?


考え出したら止まらないの。


だけど頭の中で、もう一人のあたしが言うの、本当にこのままでいいの?

1回も勇気の出せないままでいいの?って……。


好きだけど、好きだから、怖い…。

どうしたらいいのか分からない。


だけどね、とりあえずチョコは作ったんだ。

渡せなかったら自分で食べればいいやって…。

けど何となく気が滅入ってきちゃって散歩に出てきたんだ。


そしたら、おばあさんがいた



「あたしどうしたらいいのかな?どうしたら…」


ずっと聞いてくれていたおばあさんは、胡桃の目を見てこう言った。


「胡桃ちゃんはどうしたいんだい?」

「あたし?」


胡桃が少し首を傾げると、


「そう、胡桃ちゃん。胡桃ちゃんが怖いって言った気持ち、おばあさんにも分かるよ。昔、とっても昔におばあさんも経験した怖さだもの。だけど、それはね自分で乗り越えなくちゃいけない怖さなんだよ」

「自分で?」


おばあさんはひとつ頷いて笑った。


「そうだ、おばあさんのとっておきの話、聞いてみないかい?いい気分転換になると思うよ?どうだい?」

「とっておき?」


おばあさんはそうだよ、と頷いて、とっておきのとっておきだよ、と笑顔をくれた。


胡桃はおばあさんの笑顔につられて頷いて見せると、おばあさんは嬉しそうに口を開いた。

毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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