表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法のプロトフェイズ  作者: えんぴつくん
10/15

[ep.7.5]枯れない花

私の名前はミリア・アステル。


小さい頃、大怪我をしたことがある。そのとき通りがかった冒険者の人に魔法で治してもらった。……あの温かさが、ずっと心に残ってる。


それ以来、私の夢は決まった。

たくさんの人を魔法で助けたい。笑顔にしたい。痛みを消してあげたい。


その夢を叶えるために、私は回復魔術の修行を重ねた。誰かに教えてもらい、何度も練習し……もっと上手くなりたくて、エストレーラ学院を目指した。


そして——試験当日。

私は、ちょっと不思議な子を見かけた。


小柄で、私よりずっと幼く見えた。でも、話してみると驚いた。大人っぽい話し方で、落ち着いていて……何だか、ただ者じゃないって感じた。


その子の名前は、カエデ・メテオール。


試験では一度離れたけど、発表でその子が“上位合格”だと知って驚いた。あんなに小さいのに、剣技も魔法も一流だった。才能って、こういう人のことを言うんだと思った。


「そばにいれば、何か学べるかも」

そう思って、私はカエデを野外課題に誘った。


実際、カエデの動きは他の誰よりも洗練されていた。魔物三体の討伐も順調に終わった。……はずだった。


あれが現れるまでは。


魔人。存在しないはずの……伝説の敵。


カエデは迷わず剣を抜いて、立ち向かった。

私たちは動けなかった。見ていることしかできなかった。


そのときの自分を、私は一生許せない。

小さな女の子が命を賭けて戦っているのに、私は、ただ見ていただけ。


カエデなら、きっと勝てる。戦って、勝つ方法を持っている。そう信じたかった。


だけど、魔人が……魔法を構えた瞬間。


“これは、ダメだ”

“カエデが死ぬ”


……考えるより先に、身体が動いていた。


私の出せる、最大限のバリアを全身に張って——

その前に立った。


痛かった。熱かった。

でも、それよりも……


カエデが、無事でいてくれるかどうか、それだけが気がかりだった。


──かえでちゃんの声が聞こえた気がした。


「なんで庇ったの?」って。


なんでだろうね。

……きっと、守りたかったんだと思う。

でも、もう分かんないや。


ただ、最後に言わせて。


かえでちゃんのこと——

私は、ずっと尊敬してたよ。


大好きだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ