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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

負けヒロインは主人公と正ヒロインをくっつけたい!!

作者: わか3

 いきなりだが、私は転生者である。急に何を言ってるのかと思ってるでしょうが、少し話を聞いてくださいよ。


 私は前世はしがない社畜社会人でした。休みのない仕事の中でゆういつの癒しが少女漫画だった。少女漫画は日々に彩りのない私にトキメキを与えてくれたありがた〜い存在である。少女漫画特有の、男の子とヒロインがなかなかくっつかない展開にヤキモキしていたが、くっついた瞬間の達成感は何にも変えられないあの感じが癖になっていた。

 まあ、最終的に過労で私は死んでしまったんですがね。クッソ〜!!あの少女漫画のヒロイン最終的にどうなったか気になってたのに〜!!


 さて前世の話はこれくらいにして今世の話をするとしよう。私が今回生まれた世界はやけに髪の色がカラフルなのだ。そして私の髪の色は青。この時点でおっと〜と思うが少し待って欲しい。


「おはよう葵!」

「おはよう司」 

 

 今元気に挨拶してきた男子は司。私のお隣さんで幼馴染である。

 はい、これで確信しましたね。カラフルな髪色、お隣が幼馴染。そうここは、ラブコメの世界である!!ですが皆さん聞いてくださいよ。私の髪色は青。そして主人公であろう司の幼馴染。何を言いたいかわかるであろう。負けヒロインの法則フルコンボだドン!!!


 そう、私は負けヒロイン。いつか現れる正ヒロインに主人公を奪われるポジションなのである。まぁ私は司のことは恋愛対象としては見てないからいいけど。その司が問題なのである。なんと司、圧倒的鈍感属性なのである!!!


 司は昔から好意を寄せられる女の子に対してその鈍感力を発揮する。中学生の頃だって、「付き合ってください!!」と勇気を出したであろう女の子に対して「いいよ。どこに付き合えばいい?」という奴だ。現実にそんなことを言うやつがまさか存在するとは…


 だからもし正ヒロインが出てきてもこいつが正ヒロインと結ばれるか不安なのである。だから私は司と正ヒロインを結ぶキューピッドになるのだ!名付けて…


 ドキドキ♡鈍感主人公と正ヒロインをくっつけちゃおう大作戦!!


 ふふっ、我ながら中々の名案である。まあ、肝心の正ヒロインが見つかってないんですけどね…。今は6月。今まで正ヒロインが見つかってないということは、遠いクラスなのか、後輩として現れるのか。うーむ。選択肢が多いなぁ。


「おーい。葵?」

「あ、ごめん。なんか言った?」

「いや、そろそろ学校行かないと遅刻するよって」

「マジ!?ほら、速く行こ!!」

「ちょ、速いって。待って待って!!」




「ふーっ。ギリギリセーフ」

 

 教室に入った瞬間にチャイムが鳴った。元社会人だから時間に遅れるのは許されない。この習慣がまだ体に馴染んでいたか。ウッ!社畜時代の辛い記憶が鮮明に蘇ってくる……


「はぁはぁ。葵、急に走りだすんだから。俺との体力の差考えてよ」

「いやーごめん、ついね。てか少しぐらい体力付けなよ」

「葵が体力馬鹿なんだよ」

「そう?あんまり実感ないけどなぁ」


 確かに転生して若い体につい興奮して外でよく走り回ったけど、そんなに体力ついてたかー。まぁ体力があることは悪いことじゃないしね。前世はミジンコ並みの体力で連勤に耐えられるなかったからなぁ。


「ほらお前ら席につけー」


 担任が教室に入ってきて席に座る様促してくる。やべ、つい話こんじゃった。私と司は急いで席に座る。


「今日は転校生を紹介するぞ」


 なんと、転校生!はっ。まさかこの転校生が正ヒロイン!?いやー転校生パターンだったか盲点だったな。


「ほら入ってこい」


 ガラッと教室の扉が開く。教室に入った途端教室の空気が一変した。

 ピンク色の髪に肩まであるツインテール。彼女の周りにはまるで花が舞っている様に錯覚する。


「ほら自己紹介」

「はい。初めまして、転校してきた姫乃です。よろしくお願いします」


 黒板に自分の名前を書きながら自己紹介する彼女はまさしく美少女と言う言葉が似合う女の子だった。周りがザワザワと騒ぐ。大体が可愛いとかそう言う言葉だ。もちろん私自身も彼女のことはすごく可愛いと思ってる。 


「(キターーーーー!!!)」

 

 ヒロインの王道ピンク色の髪にツインテール。名前に姫という字。そして転校生。これは正ヒロインの器!そうだ司!司はどんな反応してる?王道一目惚れパターンかなぁ。それとも、それともぉ。


 とワクワクしながら司の方を見ると


「(寝てるーー!!)」


 え、嘘だろ。この状態で寝るか普通。いや確かに司は朝弱いし、走って学校に来たから疲れ果てて寝ちゃったのか?いやそれでも普通寝るか?この展開は流石に数々のラブコメを履修してきた私でも読めなかったぞ。今私が叩き起こしてやろうか?


「じゃあ姫乃は司の隣な。おい司起きろ。何朝から寝てるんだ」

「うおっすみません。ん?君だれ?」


 馬鹿やろー!!最初の印象最悪じゃねぇか!もう我慢できねぇ


「この子は姫乃ちゃん!今日転校してきたの!司の隣だから色々教えてあげなよね!!」


 我慢できなくて席を立って司に方に行く。ここでほっといたらこの2人がくっつくのが遅くなってしまう。


「はー転校生。よろしく」

「こいつは司。私は葵。何かあったら私か司に言ってね」

「おーい、葵。席に戻れよ」

「あ、ごめんなさい先生。つい」


 ひゃー恥ずかしー!何も考えずに行動しちゃって恥をかいちまったぜ。反省しなくては。




 時は過ぎてお昼休み。私はいつも通り司とお昼ご飯を食べる。だが今回は違う!正ヒロインの姫乃ちゃんと一緒なのだ。司はいつも通り私とだけご飯と食べようとするから私が無理やり姫乃ちゃんを誘ったのだ。


「あの、お昼ご飯誘ってくれてありがとうございます」

「いいのいいの。私達姫乃ちゃんとお昼食べたかったから」

「俺は別に」

「お黙り!司のこれは照れ隠しだから気にしないでね」

「あ、はい。それにしても2人って仲がいいんですね」

「私たちは幼馴染なんだ。昔から一緒だから仲がいいって感じはあんまりしないなぁ」


 私達は赤ちゃんの頃から一緒だったからなぁ。司はこんなに大きくなっちゃって。お母さん嬉しい!っていうかこれ司と私がどんな仲か探ってる?まずいフォローしないと。


「言っとくけど私と司は姫乃ちゃんが思ってる様な仲じゃないからね!」

「何言ってるの葵」

「え!すみません。そう意味で言ったんじゃなくて」

「いいのいいの。私こいつのことなんとも思ってないから」

「………。」

「痛い痛い!!なんでほっぺ引っ張るの!?」


 ひー痛かった。これ腫れないよね?え?大丈夫だよね?司なんか顔怖かったし、なんなんだよ。


「大丈夫、葵ちゃん?」

「多分」

「これ冷たいからほっぺ冷やして」

「ありがと〜姫乃ちゃん。大好き!」

「な、な!?」

「……。」

「もう司、だまってないで少しは話そうよ。そんな顔してないでさ」


 司、凄い顔してる。それどんな感情?もしかして私ばっかり姫乃ちゃんと話して、姫乃ちゃんと話せないから嫉妬した?えーヤダァごめんねぇ司。可愛いところもあるのねぇ。


「フヘヘへへ」

「何気持ち悪い笑い方してるの葵」

「別にぃ」 

「2人、本当に仲がいいんですね……」

「ん?なんか言った姫乃ちゃん」 

「別になんでもないです」




 時は流れて放課後である。いやー時の流れははやいねぇ。

「司、姫乃ちゃん誘って一緒に帰ろー」 

「ごめん。少し姫乃と話したいから先に帰ってて」


 え!もしかしてもう告白イベント!?もしかして司、今日姫乃ちゃんのこと好きになって告白しちゃうのか。ひぇ若いなぁ。そうと決まれば2人を邪魔するのは野暮だな。


「オッケー!じゃあ私先に帰ってるね」

「うん。気をつけて帰ってね」


 

 教室から出て家に帰る……と見せかけて!こっそり告白イベントを見守るのだ!!ぐへへへへまさかこんなに早く告白イベントがくるなんて思ってもみなかった。司は鈍感野郎だから、自分の好きな気持ちに気づくか不安だったが心配いらなかったようだ。




 司の後をこっそりつけて校舎裏にたどり着いた。校舎裏、そうここは告白イベントの定番!司はどんな告白をするのかなぁ。ふへへへへ。


「司くん。こんなところに呼び出してどんな用事?」

「姫乃に話しておきたいことがあって」


 キターーーー!!!ヤバい私の方が緊張してきた。 


「君、葵にあまり近づかないでよ」


 ファっっっっっっ!!!!!????


「どういうことですか?」

「葵が君にばっか構うから俺嫌なんだけど」

「それって司くんは葵ちゃんのことが好きってことですか?」

「そうだけど。俺は葵が幼稚園に入る前からずっと好きなんだ」


 そうなの!?え、え、司って私のことが好きだったんだ…うわ、解釈違いで死にそうなんだけど


「……だって」

「なに?」

「私だって司くんに負けない位葵ちゃんのことが大好きです!!!!!」


 えーーー!!??マジで!?いやいや、まだ恋愛感情という好きではないかもしれないだろ。友愛の好きなのかもしれないだろ。


「それって友達として好きってこと?」

「違います!!私は葵ちゃんのこと恋愛対象として好きなんです!一目惚れなんです!葵ちゃんと付き合って、手を繋いで、キスして、それ以上のことだってしたいです!!」


 姫乃ちゃーーーん!!!言い過ぎ、言い過ぎーー!姫乃ちゃんも私のこと恋愛対象として好きなのか。まずい、これは非常にまずいぞ。私は司と姫乃ちゃんがくっつくところを見たいんだ。私が2人のどっちかとくっつくのは解釈違いすぎて私が死ぬ!!ここはひとまず退散だ。私は何も聞かなかった。そう、そうだ。私は何も知らない、全て忘れよう。


パキッ


「あ、」


私の馬鹿やろーー!!小枝を踏むなんてそんな典型的なことするかぁ??


「葵」

「聞いてたんですか?」

「いやぁ、何も聞いてないよ。2人が私のこと好きなんて何も聞いてないよ」

「聞いてたじゃん」


 私の馬鹿ーー!


「葵ちゃん。聞いてたなら話が早いです」

「え?何が?」

「私と司くん、どっちが好きなんですか?」

「え、」

「確かに葵に直接聞いた方が早い」

「それでどっちが好きなんですか!?」

「え、え」


 圧が、圧が凄い!私は2人のことが好きだけどあくまでそれは友愛で恋愛的な好きじゃない。どっちを答えてもどちらかを傷つけることになる。はぐらかしてどうにかなる問題じゃなそうだなぁ。


「「どっち!?」」


 私これからどうなっちゃうのーー!!??

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