エピローグ 世界観測結果case1 魂を改変する者達
これにて第一話の終了です。どうでしたでしょうか?たかだか一つの恋を実らせる為に、自分の全てを捧げた愚か者の話しは皆さんのどこに刺さりましたでしょうか?刺さっていただけたら幸いです。
今回の世界について纏める、これは誰かに見せる訳でもない。そもそもの個人観測など報告の対象外である、故にこれは私のみ知っていればいい事だ。けれど一応私が役目を果たした時に、何一つ残せないのでは私が確定させた歴史を証明できても、私自身が居たという証明ができない、故にこれを残す事にした。
今回の観測で私が知りえた事、そして私の特異点(お気に入り)が残した結果についてだ。
始めに、私は何故彼を、彼らを選んだのだろうか?こればかりは偶然に過ぎないと言いたい所だが、彼らが私の領域にもたらした事象を鑑みるに結論は一つ。
これは偶然ではなくこうなる運命だったのだと。私が観測する事も、運河公命が届かない結末に手を伸ばすことも、そして出雲芽生が彼を追うように死した事も、全ては始まる前に決定されていた、正しく運命という言葉そのものだったのであろう。
けれども、運河公命と出雲芽生は私の理解を越えた、自らの魂を改変して見せたのだ。今の自分では届かない結末なのであれば、次かその次か、それとも前か更に前か、その見る事の出来なかった結末を夢見て、彼らは瞳を狂わせた。
魂が肉体に宿る訳ではない、肉体に魂が宿るのだ、故に魂が勇気に満ち溢れている者であれば魂が新たな肉体に宿った時、いわば転生した時、いつまでもその魂の持ち主は勇気ある人になるであろう。
それを運河公命と出雲芽生は改変した、自らを人としての基盤を構成する魂を、ただ相手の為だけ改変した、運河公命は出雲芽生と、隣で歩む事を夢見て、出雲芽生は運河公命との納得の行く結末を夢見て、どちらも一緒に居たいという願いだ。互いを完全に知りえないヒトだからこそ微妙に夢見た景色は違っていた。
隣に居る人生を歩みたいと、納得できる出来る結末は全く意味が違う。運河公命が夢見たのは、言葉通り傍に居たいという事、けれど出雲芽生が夢見たのは自身が望んだ結末だ。これを傲慢と言うかはこれを見た誰かに任せる、けれどこの違いが彼らを永久に近い間、苦しませるのだろう、どちらとも満足できる結末を達成しなければ叶わない、偶然で起きた不完全な改変は、その報われない人生さえも魂に結びつけてしまったのだから。
だから私はここに決意する。
私だけがそれを遂行できるのだ、私は彼らの魂が本懐を遂げるその日まで、いつまでも、その魂を観測しよう。私が傍観者という役割を得たのはきっと彼らを見届けろという、そういう役目だったという事だと、これもきっと運命という奴だ。
最後に観測して理解した事は、恋は本当に人を盲目にするという言葉は事実だった。
ここまで読んで頂きありがとうございました
それと、余談なのですが、この二人の魂の先を書く事がこの話の本題ですが、それ以外にも書きます。毎回バッドエンドを書くのはちょっと心が折れるので…、けどこの二人の魂も必ずハッピーエンドに持っていく予定ではあります。
恋愛を主軸にして書くので、この二人かどうかが分からない場合もあるかもしれません、ですが一先ずこの二つを意識して書くつもりなので、この描写があればこの二人の物語という事が皆さまにも分かるようにここで宣言しておきます。
一つ目は、この二人が魂を改変した際に現れた澱んだ瞳、狂った瞳、こういう目がおかしい描写を入れます。
そして二つ目、これは正直言う必要あるのか?という話ですが、二人は必ずバッドエンディングというか、デッドエンディングを辿ります、二人が望んだ結末に合致するまでの間でずっとです。その代わり、二人の幸せを、誰かに分け与えます。
この話で言うと、立花巴と小山伊織ですね、この二人は恋を成就させ、悲しみながら前へ進むでしょう、つまりは自分達が勝ち取れない幸せは誰かの元へ行きます。デット、バッド、トゥルー、ビターの結末がどうあれ二人は必ず悔いを残して死に、そしてその二人以外の二人以上は幸せになるという方式です。