出会い
3部分目!
「それじゃー、返してもらってもいいかな」
男の言葉には女に対する警戒が伺えた。その証拠に先ほどまでの丁寧口調を改め、半ば挑発めいた口調に転じた。
「…なんのことだ」
女は男の発言に疑問を呈した。
「それは君が一番よく分かってるんじゃないかな」
僕がそう言い終わるのと同時に待ちかねた人が現れた。
「鵺様!、、大変お待たせ、、致しました!、、」
息を切らしながらやってきたその男の胸には「支部長:ハスダ」と印字されていた。
「先程はうちのバカ息子が大変なご無礼を働きました。何分、入ったばかりでして、鵺様のことをお伝えすることを失念しておりました。」
「いやいや、いいですから、そういうの。息子さんはただ規則を守ろうとしただけなんですし」
鵺と呼ばれたその男は支部長ハスダと親しげに言葉を交わした。
「支部長と知り合いだというのは本当だったようだな」
女はそう言った。
「うん、そうだけど、嘘だと思ってたの?」
「貴様のような腰に蛇を携えた変態の言う事なんぞ誰だって嘘だと思うだろ」
「ハハッ、僕が変態なら君は盗人だけどね」
鵺と呼ばれた男は何気ない口調でそういった。
ギルド中の空気がざわついた。
―「え、盗人なのあいつ」―「怖~」―「言い掛かりじゃないのか」―
「...」
面倒なことになったと、女は内心思った。
「話しが逸れてしまった」
鵺はそう言って、本題に入った。
「それで、結局返してくれるの?僕の指輪」
「知らんなそんなもの」
「ふむ…」
鵺は一考した。
「君の盗んだ指輪は僕にとって大切なものでね、盗難防止用の魔法をかけてあるんだ」
「僕には君の体が光って見えるのだけれど気のせいかな?」
鵺は優しげな微笑を浮かべながら頭を傾けそういった。
「...ッチ」
女は舌打ちをした後、着ている衣服の内ポケットから特殊な形状、リングを一周するように掘られた溝にもう一つの一回り小さいリングが埋め込まれているような、そんな変わった形の指輪を取り出した。
「あ、やっぱ持ってるんだ」
「何?」
女は明らかにキレていた。
「いやーだって僕、盗賊系の魔法持ってないから、勘違いだったら気まずいな~と思ってたんだけど、持ってて良かったよ」
女の眉間には血管が浮き上がっていた。
「貴様だましたな!」
やはりこの男はホラ吹きだと女は確信した。
「イヤー、チョロくてタスカッタワー」
鵺は何処かカタコトでそう言った
「貴様ァ!」
少女が僕にナイフを向け突撃してきた。その動きは自身の体の小ささを利用した低姿勢での突撃。
曲がりなりにも自分の戦闘スタイルを持っているところを見ると完全な素人ではないようだが―
「プッシャーッッ!!」
「詰めが甘いな」
「ッグ…!」
女は自身の顔面に液体状の何かが飛んできた事を察知し、急いで顔を覆った。
「ガタッ」
しかし、時すでに遅く、女は膝をついた。
「ど、く…」
鵺は自身の衣服の中に蛇を潜らせ、自身の腕に蛇を巻き付かせることによって、毒の照準を合わせ、それを女に放射させていた。
「毒の威力は術で抑えてあるけどその分、持続時間に振ってある」
「どうかな、僕としてはその指輪さえ返してくれればこれをわたすこともやぶさかではないのだけど」
鵺はなにかの液体が入った小瓶を振ってみせた
「げ、げどくざぃ、よこせ…」
「同時にだ」
鵺は瓶の上部をくの字型に持ち、反対の手で受け皿をつくった。
女も同様の形をつくり、お互いにジリジリと求めるものに手を近づける。
そうして両者望むものに手をかけたその瞬間―
「大変だぁ!」
ある冒険者がもの凄い形相でギルドに入ってきた。
そして、冒険者は言った。
「魔神だ」
ギルド中の空気が一変する。
4部分目も頑張ります。




