7 自称婚約者が来ました
「このたび婚約者になりましたソフィア=コープスです、よろしくお願いいたします」
領地に帰ったら豪華な馬車が留まっていた
そしてなんか人が降りてきたな~、と思ったらそんなことを言われた
「え?」
思わずマジレスしてしまったのは仕方がないだろう
でも
「待たせた上に、無礼だろう!」
お付きの騎士に怒られた
・・・自称婚約者様が出来た上、小姑のような騎士まで付いてきたんだけどどうしたらいいんだろう?
いえね、王様に男爵を示す短剣を返して平民になったんだよ
王都からテクテク歩いて自分の家に帰ってきたら自称婚約者がいた
なんで家の前に豪華な馬車が留まっているんだと思ったら
「遅い!」
って怒られた
いや貧乏な男爵家に馬なんている訳ないじゃん?
食べるもの、着るものにだって困っているんだもの
王様に呼ばれたらテクテク歩いてお城まで行って、逆に歩いて帰ってくるよ?
お金がないから途中で狩をして食料を確保したりする
当然、森の中や林の中、つまり街道を外れての移動となる
森には動物や果物や香草なんかがたくさんあるからね
馬車で移動している人間とすれ違うはずもない
逆に馬車で歩くよりも早く着くのは当たり前
それなのに遅いと文句を言いやがりましたよ
ムッとしたら執事が動いた
文句を言っている騎士様を杖で叩きのめしたんだ
・・・鎧を着けていないから腹を杖の先端をで突いてゲロ吐かせてた
「暴漢がいましたので対処しました」
平然と言う執事
50過ぎて、髪に白いものが混じっていて、杖をついているのにこの行動
「私も歳をとりましたな」
とか普段言っているのはどこに行った?と言いたい
そこでようやく馬車からお嬢様が出てきた
そして
「国王陛下の命により嫁ぐことになりました」
と挨拶をしてきた
カーテーシーってやつ?
スカートを持ち上げて頭を下げるやつをしていたね
こんな辺境ではそんな礼儀をする人間はいない
はっきり言って浮いていた
話を聞いてみると
男爵が短剣を突き返した
でも辺境なので誰も後継者に名乗りを上げない
だったらそのまま男爵にお願いしよう
でも怒ってね?
だったら宰相様が後ろ盾になりましょう
これで辺境の貴族は感謝して涙することでしょう
ちょうど妾に産ませた三女がいる
妾が平民なので中央の貴族に嫁ぐのは難しい
ちょうどよくね?
だったようです
いえきちんとした上品な言葉で言われましたよ?
でも内容は娘を差し出してなんとかしようとするクズでした
まあそんな景品娘についてくる騎士も当然クズ
自分達だけ馬車を使いながらいきなり「遅い!」って怒ってきやがりましたね
まあ男爵家の執事にやられてましたけどね
・・・なんで執事、男爵家で働いているんだろう?
辺境の男爵家にもったいないくらいの逸材じゃね?