3 お城に呼ばれたね
「まあ、敵に殺されるなんて前代の男爵も不甲斐ない」
「しょせん子供にもできる程度の争いだったんだろう」
陰でコソコソ言ってるんですが、全然隠してないですね
しかし貴族というのは暇なんですかね
わざわざ10歳の子供を貶めて楽しんでますよ
ボクは誰が言っているか判らないですが隣にいる執事は多分しっていることでしょう
知られてはいけない執事に知られたんだから後で震え上がるといいと思う
そして待つこと約1時間
ようやく大広間?謁見の間?に王様が現れた
そう王様だよ
王宮に呼ばれたからね
隣の帝国が攻めてきたでしょ?
なんとか追い返したんだよ
カッパーフィールド家だけでなく、他の領主も含めてね
もちろん中央からも援軍があったよ
・・・大分遅れてだけどね
それでも自分たちの手柄にしたいのだろうね
兵を送った
無事に追い返した
俺たち偉い!
・・・辺境の人間は被害を受けながらも頑張ったんだよ?
それなにのやって当然って顔されてる
自分達だけだ偉いというか、賢いというか、立派だと思っているんだろうね
そんな訳で貴族は全員王宮に集められたという訳だ
爵位の低い者から順番に入る訳だから大広間には最初の方に入ったよ
待つこと1時間
ようやく王様のお出ましだ
そして予想通り中央の貴族が呼ばれて賞賛されている
いや兵を出しただけで自分達何もしていないやん
そう言いたい
逆に辺境で戦った男爵家とかは待っている間に陰口をたたかれた
・・・理不尽だよね
中央の貴族が一通り賞賛された後にようやく辺境の貴族の番が回ってきた
辺境伯から子爵、男爵と順番に呼ばれてようやく
「カッパーフィールド男爵、前へ」
と偉そうにしている人がボクの名前を読み上げた
大広間に入ってから2時間よく待ったものだと自分でも思う
暇すぎるのと立ちっぱなしでもう疲れたよ
愚痴っても仕方がないので前に進んだら
「・・・よく戦ってくれた」
と王様が声を掛けてきた
全然感謝している感じがしなかった
労って貰いたいから戦ったんじゃないけどさ
それはないんじゃないと思ったので言ってやった
「いえいえ、不甲斐ない先代ですみません。子供でも追い返される兵を相手に苦戦して申し訳ございません。」
言ってやったら静寂が訪れたね
<シーン>
静けさが耳に染みたね
でもあえて何も言わないボク
どう決着をつけるのかワクワクドキドキしてきたね
「ふっ、不敬だ!」
誰かが叫んだ
そうすると
「不敬だ!」
「不敬すぎる!」
「不敬だろう!」
と続く声
・・・中央の貴族には主体性というものがないらしい
はて?
なんで?
子供らしく首を傾げてみた
ワザとだけど
だって子供が不思議そうな顔をしていたら大人は声を掛けるじゃん?
王様なら気づいてくれるよね?
いや他の貴族が気付いているって判っているから気付く一択だよねと期待してみた
・・・性格が悪い?
全部執事のせいだよ
だってボクを教育したの執事だもの(笑)
「言いたいことがあるなら言ってみなさい」
王様の慈悲深い声が聞こえてきた
勝ったね
そう思った
駆け引きもそうだけど、これから始まる断罪劇についても、だね