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1 10歳なのに男爵家当主になりました?

「男爵様がお亡くなりになりました!」


伝令が来たと思ったらいきなり大声で訃報を伝えてきた


・・・マジ?





ボクの名前はソード=カッパーフィールド


今父親の訃報を聞かされた10歳の子供だよ




カッパーフィールド家は男爵家だ


領地は国境に接している


おかげで隣国からの侵略が数年ごとにあるから開発や開墾なんて夢物語


だって嫌がらせのように敵が攻めてきて荒らすんだ


残った畑を耕して生きていくので精一杯


いや今現在、隣国から侵略されているからまさに崖っぷちだね


・・・今、男爵家当主である父の訃報が届いたから、崖から落ちているかもしれないね






「えっと、ボク子供だから当主になれないってことでいいんだよね?」


とりあえず執事に聞いてみた




貴族を止めて平民になれば戦わなくてもいいんだよね?


うんと言ってくれ


それだけが頼みだった





「残念ですが、坊ちゃんは生まれた時点で貴族として登録されています」


執事の返事は残酷だった


まあ世の中こんなもの?





「え?でもそんなこと聞いた覚えがないんだけど?」


本当に心当たりがないのでそう言った


人はそれを悪あがきと言う





「坊ちゃんが13歳の成人になったら旦那様はお伝えするつもりでした」


執事が厳かに言った





どうやら地獄へ一直線の道しかないようだ


思わず天を仰いだね





でも執事はボクが感傷に浸るのを許してくれなかった


「さあ出陣です」


そう言って鎧を着けてくる






貴族というのは早い話王様の代理人


敵が攻めてきたとしても殺しちゃったら犯罪者


でも王様の代理人がいて指示したことにしちゃえば本物の戦争になるので英雄


そう言うことらしい







そんな訳で10歳のボクは戦場に連れていかれることになった(涙)







子供を戦争に送り出すなんて最低だよね、だとか思っていても事態はズンズン進んでいく


まあ大人用の鎧が重すぎて動けないから執事ともう一人に両腕を取られて宙ぶらりんで戦場に運ばれただけなんだけどね(苦笑)





国境のすぐ内側の村にたどり着くと結構酷く荒らされていた





男は殺して


女は犯して


金目の物と食料は奪うのが戦争だ




美学も優雅さも何もない


ただ暴力が振われるだけ





襲われてた村の地面には死体や血の跡だらけ


火を放たれて燃えている家もある


悲惨って言葉を形にするとこうなる、って見本だったね



絵本では戦争を綺麗に書かれていたけど全然嘘だったね






敵はというと村にはいなかった


こんな小さな村に大勢の人間が野営できないから


ちょっと離れたところにあるもう少し大きな村に集まっているそうだ


誰だって屋根のある所で寝たいから当然だよね




こちらはボクを含めて10人


相手は100人は超えているらしい


ひょっとしたら500人?


1000人?


どっちにしても詰んでいる




だけど戦わないとうという選択肢はないらしい


という訳で小高い丘の上に布陣した





執事曰く


「こちらは少数なので条件の良い場所を取るのは歴史を知っていれば誰にでも判ることです」


すかした顔で言われました




逃げるのが最善だというのが歴史上の常識だと思うのはボクだけらしい






待つこと1日、敵がようやく攻めてきた





いや攻めてこなくても全然構わないんだよ?


むしろ無視して貰った方が大歓迎


うちを無視して他の領地に攻め込んでくれたら喜んじゃいますけど?





大体、神様への願いは敵わないものだ


今回もそれが証明された




300人くらいが小高い丘の上にいるたった10人に襲い掛かってきた


・・・大人げないよね




まあ1日時間があったので木やら竹やらでバリケードを築いていたからなんとか守ることができた


執事、パないな





バリケードの隙間から槍を刺して敵兵を殺していくこと数時間?


体感的にはそれくらいたってから ~本当はほんのわずかな時間だよ~ 敵の主力が現れた




「「ファイアーボール!」」


二人の魔法使いが火の玉をバリケードに向けて放ってきた






そうこの世界には魔法がある


そして魔法が使えると貴族になれる


貴族が戦争代理人と言われるのはこういう理由だ





燃えるバリケード


勢い付く敵勢


押される味方




その時執事が合図してきた


「若、今です!」




その声が聞こえると同時に地面に手を付いた





・・・鎧が重すぎて一緒に転んでしまったのはお約束


10歳の子供に大人の鎧は重すぎるんだよ





地面に転がりながらも必死になって手を地面に付ける


そして魔法発動のキーワードを叫ぶ


「アースランス!」





地面から槍が出てきた


そして敵の魔法使いの股間を直撃した





一番鎧の防御が少ない所を狙えって執事が言うんだよ


待ち時間が1日あったのできちんと練習もさせられた




魔法使いは二人いたけど近い順に順番に串刺しにできた





大人の鎧を着てブカブカになった子供


10人と少ない敵


侮るだけ侮って貰って隙だらけになった魔法使いを殺りましょう


執事の言う通りの展開になった





啞然としている敵兵 ~非魔法使い~ も同様に串刺しにしていくと、敵兵は逃げていった


そりゃそうだもの


魔法使い相手に普通の人間が敵う訳がない


逃げるの一択だろうね




ここまでは執事の思惑通りだった




・・・一体なんでこんな辺鄙な男爵家で執事をしているのか、と言いたい


絶対にこんな貧乏男爵家に居ていい存在ではないと子供心にも思う







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