縁
爆熱の閃光が収まると上半分が吹き飛んで、ムカデのような節足が横に伸びたキャタピラが配線や基盤をむき出してこちらへ突撃してくる。三分の一は機能停止したようだが、自爆ではこんなものか
「マシンってやっぱり」(機械のことだったのよね?)
中程のくぼみやしかけは……なにかを掘るための仕掛けか?
魔術の熱で炙りながらも問題ないように耐えて進む。マシン、ギュヌマリウスと遅れて出てきたひどく眩しいエネルギーを持った魔術を飛ばして破壊を試みるが、無反応。
「避けろ、全員! なんとか」
フリッツは身動き取れるか? シャノンは状況を理解できるか? そんなことを考えたら私に避けるという選択肢はなかった。
あいにく、この上半分がなくなった筒の内部機構はキャタピラと節足で動く仕組みであることを理解できているのだから私の異能力の対象にたりえる。
「それらは、地面を削り、動けなくなる」
私がそれを意識してつぶやくと、それらはマシンたちはキャラピラと節足が進まずに地面を削り立ち往生して身勝手に穴にハマって動けなくなる。言葉にすることは必須ではないけど、安定して制御できるから口にしてしまう。
「あん? あぁ、魔法か」
ギュヌマリウスの薄い反応。私達の世界と違って異能力は魔法と呼ばれてそこまで忌避される世界ではないようではあったけど、本当に現象としか認識していないんだな。この世界の人達は、
「私の能力で足を空回りさせるようにしました。永遠には続きません。どうします?」
「そうだな。どれくらい保てる?」
「どんなに少なくとも十分は」
「なら、アンドロマリー様から預かっているこの剣を使って一つずつ破壊する。できなかった場合を考えて急いで、班を2つに分ける。マシンから逃げれそうなメンバーをつれてイヴェリーは後退してくれ、検問の兄さんは俺たちが仕留めそこねたときを考えて隠れていてくれ、戦力にならなくても情報を上に上げるのがお前らの仕事だ!」
「へ、はい!」
検問をしていただけの兵士はいきなり命のやり取りに巻き込まれて恐れて入るが、任務に忠実だ。少し下がったところで、逃げれる姿勢で待機する。
「ギュヌマリウス、僕も戦う」「ぐー、うー」
シャノンをつれてフリッツが頭を抑えながら戦闘班に残って出てくる。
「そんな顔色で出られても困る! 戻れ!」
「大丈夫、フリッツはマシンへの有効打を持っているわ。不調に関してもしもの際は私がケアするわ」
「あん? そんなの」
マノンが主張しているとなにか吹き出すような轟音が鳴り響き、残った10名ほど全員の視線がそちらへ向く。
「なにが」
私の能力は、因縁に介入してまだ成立していない縁を書き換えることで因果への繋がりを断つ能力だ。故に、相手がなにができて、なにをしようとしていて、ないが起きているのかを理解しない限り使用が困難な、『まだ起きていない現象の結果を書き換える』能力。故に、これを予想していなかったために、防げなかったのだ。
ジェット噴射をしながら上方向へまっすぐ飛翔するマシンなど。
「は?」
理解できなかった。一瞬逃げたのかと思った。その勘違いが、私の能力では命取りとなる。
ジェット噴射してと飛び立ったた8両の半壊した筒は私達へ軌道を変えて突撃してきた。
反応できなかった。当たらないと念じれば、異能力がそれは当たらないということにするのに、使えなかったのだ。
◆
水鋸が届きそうにない距離まで飛翔された。突撃を開始したので体中から氷と闇、あと僅かな水の魔力を生成してそれを受け止めることにした。
僕が魔術でそれらを突撃してくるそれらを闇を混ぜることで簡単には壊せない氷、これを隙間だらけの格子のような網目状に展開した立体で受け止める。あまりの衝撃に立体全体が居白に押し戻されるが地面への接地面を広く作ったおかげで少し沈んだ程度だ。
「捕まえた」
飛翔してきた塊すら網目に覆う。
「喰らえ!」
ギュヌマリウスがなんか知らない魔術、魔剣をつかった技だ。いいな、羨ましいなって思った頃には魔剣から放射された電撃が対象に収束し、固まりとその周辺の闇の氷と蒸発させるついでと一緒に、目的のマシンを融解させてしまっている。
「あぶねぇな、感電するかもしたよ」
「乾いた氷でジャングルジムを作ったくせによく言うよ」
「溶けたら氷も感電しちゃうよ? いや、大丈夫だったんだけど」
「ならいいだろう」
全滅。そうだろう。なんとか、なったか
真横から噴気音が聞こえた。
すぐ迫るその塊、まずい。油断した。マノンは反応して僕の足と背中を抱えて避ける体制をとって動いているがだめだ。ユーリが動けて
「あー、えん」
金属の塊は突如出現したその白い結晶に触れた瞬間、蒸発して消えた。
「え……。すん」
言語化不可能な声で白い結晶の発生源たるシャノンの手元から生えたその結晶は吸い込まれるようにシャノンの肌を通じてその身の中に消える。
すごい、熱を感じる。たぶん、かなり抑えているんだろうけど、一瞬の熱波で身体中から汗が吹き出る。
「ありがとう、たすかったわ」
「あぁ! あぁ、そうだ。ありがとう。っだな!」
言わなくてはならないことに気づくとユーリと僕はシャノンに言葉が通じない故かボディランゲージ代わりに二人して頭をなでてほめる。
「よくやったー、金属を昇華させる……え、温度かな? いやーよくやった」
とりあえず、乱暴でも感情的に撫でる僕。
「ありがとう」
しみじみと、僕が見出した髪を整えるようになでるユーリと対象的ななでかたにシャノンは困惑しているようだ。
「―――――――――――――――――――――――――――」
いきなり、シャノンが照れたような顔でなにか複雑な言語を発話したが、僕らは顔を見合わせて、内容が分からずどうすればいいのか良いか分からず撫でる手もとまり、シャノンに離れられる。
「――――――」
まったくわからない内容ではあるが、表情から悪感情は読み取れない振る舞いで歩いてくるくると回って僕らの後ろの位置に回ってなにかを言う。
「――――」
なにを言っているんだろう。
◆
ほかのマシンに闇の魔力で動力が動くことがないように保険をかけつつ分解のために、近寄って動力らしき魔力を込められた宝石を見つけ、取り外す。
「ユニーカに渡されたこれ、早速やくだったよ」
陶器のような光沢をもったそのナイフは錬気で硬さを少し調節するだけで、マシンの身体をパンを削るようにあっさりと切り分ける。
「たぶん、これだよな。ギュヌマリウス?」
「あぁ、この宝石の状態は……一般的には風や雷に類する儀式魔術に使うタイプの贄だな」
「これだけ、分解したら、いくらなんでもね」
大量に切り分けられたマシンだったかけらを見て、残り2つの作業も取り掛かろうと中腰から立ち上がると、だれかきた。
すごく大きい魔力と、落ち着いてる魔力……抑えてる? 感じの二人組、隠れる気は無いみたい。
「これは……お前らが?」
「我々が討伐しました!」
敬礼してから近寄り、説明を開始するギュヌマリウスの先には、クラーラとカルラ呼ばれた預言者の子飼いとか言われていた姉妹がいた。
「あぁ、よくやった。……被害も少なく、苦労をかけた。あとでアニミズム教導会から正式に感謝を送るだろう。だよね? カルラ」
「まぁそうでしょうね、時間はかかるでしょうが、姉さんが言ったとおりにするのは、そういう決まりになっていますので」
カルラが僕によってきて、いくつか質問する。
「この断面はどうやって?」
「この短剣で」
「……その短剣は銘がないだけの魔剣かなにか?」
「いや、そんなことはない。僕が作った」
「へぇ、使っているところを見せてくれる?」
「あ、はい」
そう言って、何度か解体したものと同じ上半分が吹き飛んだ金属の塊から贄まで最短ルートで分解し、あとは大雑把に切り分ける。それを二度ほど繰り返して「これでいいですか?」と、腕を広げて作業の終わりをアピールする。
「これ、さっきいきなり動き出してきたから、分解して動かないようにしているんです」
「あぁ、そうか、だから、そんな執拗にね。いや、つかっていっるとこ、みせてくれてありがとう」
で、切り離した魔力がこもった宝石を2つ手にとって彼女に渡す。
「で、これが、なんか本体なんですかね? 贄っていうか、これが食事?」
「さぁ、な」
言ってはならないなようなのか、そっけなく言って離れ、ギュヌマリウスになにか話すと、また戻ってきた。
「その剣の製法を聞きたい。あいつから聞いた次の休憩予定の街にきたとき、資金を用意するから、国営銀行の支店に入ってくれ」
「えっと?」
「まとまった金には時間がかかる。だからまずは手付金として契約を結ばせてくれ、頼む」
頭を上げてくる彼女に反射的に肩を抑えて下げなようにするが力負けして下げられてしまう。ギュヌマリウス横にいた彼女の姉のクラーラは驚いた顔をしてこっちをみている。
「うわ! 頭を上げてください。わかりましたよ。詳しくはそこの街の銀行の支店、ヴァロヴィング王国の国営銀行の支店ですね? そこで話しますから」
「あぁ、とりあえず、私はいくつか仕事が終わったらまっすぐそこへ向かう。場合によっては使いを出す可能性もあるが、その際はすまない」
「はい」
よくわからない。が、これの製法を知りたいらしい、たぶん、仕組みを理解したら評価額下がるだろうなって思いつつもとりあえず、約束に応じることにした。




