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畜生とすることを認めた畜生

 (無謀だ)

1つ、我々の開拓を禁じる。

「我々が楽園に踏み入れたとき、我々が地獄から逃れたとき、死に直面するだろう」

 異能力者のそこそこの部隊の後ろに隠れる重火器をもった部隊を消し炭すら残らない熱で蒸発させて、異能力者たちの呼吸を含めた全ての動きを禁じて、せめて意識を失ってから心臓病が、偶然にも発生する運命を決定してしまえば、永遠の眠りにつく。

2つ、我々の繁栄を禁じる。

 「これから3万年以内に、我々がホモ・サピエンスと呼ぶ種の絶滅が確約された」

 そこにあることを数秒と少し前の過去から知っていたカメラに向かって備え付けのマイクが音を拾うようにハキハキとした声で話す。

3つ、世界の根絶を禁じる。

 「我々は原子力を使用するたびに、楽園より派兵されたケルビムにより焦土とされる」

 あらかじめ決定していた未来の通り、既に発射済みの核弾頭は誤作動により、発射当事国の首都を自らの手で腐敗の炎へ沈める。

(見込がない、なにもかも無意味だった。我々はこれから100年以内に1000億人以上の人々を抹殺する。私はこの未来を異世界に召喚されてしまったせいでどうでもいいと思えなくなってしまった)

4つ、文明の後退を命じる。

 「よって、17億人の死を要求する」

 それで、我々は滅ぼす未来にたどりつかなくなる。

5つ、絶滅を命じる。

 「よって、一ヶ月以内に68億人の死を要求する」

 これで、数千年以内の我々の絶滅が確定する。それで私は我々が存在してしまったという許し難い罪を許せいるようになる。そうなれば、私の人生にも価値があったと言えるようになるだろう。

6つ、神は言わねばならない。

 「罰を受けた時に、新たなる神との契約の終了を約束する」


 ――――――この努力が……、罰が、新約が、 

(もう無駄な足掻きだ。諦めて憎しみを飲み込んで罪人に殺されるのを見殺しにできなからと言って、見境なく全てを殺すのか?)

 そう思えたなら私はこれから起こる全部、呑み込めただろうか?

 結果的に32人のフェイズ5相当の異能力者の想いと力をを私が受け継いだことで、余裕で勝てた。

 こんなにも、容易く。

 私の努力は無駄にならなかった。自決した32人の死は無駄にはならないと、絶対の自信がなければ、私はこんなことはしなかったと言えただろうか?

 いいや、これまでのその全ての絶望がそれを否定する。

 私は、容易くなかったとしても世界に爪痕を残そうとしただろう。

「過去の私に告ぐ。佐藤ユウリは無理と思ったその全てをやりきってしまったぞ……?」

 この想いが過去の私に繋がったなら私は、『こんな努力』はしなかっただろう。

 そう思えるほど、私は私に甘いから、私は決して未来を諦めないし、過去の私の努力を肯定する。足掻くことも必要な通過儀礼なのかな。


 ケルビムの降臨に巻き込まれて穴凹に消滅した地形と、そこへ海水が滝のように流れ込み、海の流れで地形が更に崩れて廃墟と化し、そこにいたはずの全ての人々はみな眠って死に絶えることに決定した。

 これに抵抗できるのは、いまとなっては僅かばかりの能力者か、

 地平線のその向こうよりずっと奥の方で、光とキノコ雲が立ち上る。衝撃波が空の雲を編み込んで波紋型となる。

 そうして、またまん丸の光のドームのてっぺんが見えると、ぼつぼつとキノコ雲が空を埋めて、真っ暗になっていく。

 徐々に空は暗くなる。まだだ、まだ、始まったばかりだ。

 結果だけ言うならば、私は世界を滅ぼすことにした。ダメだな。

 ただ世界を守りたかっただけなのにこの世界がこのままじゃ、他の世界をいったいどれだけ滅ぼすか……まるで検討がつかないから、大切なものを守るためなら、私は憎んでいたものを殺せる。

 そういう、甘っちょろいところがあるんだ。私の中に、だがら願う。二つに一つ、白か黒を、

 どちらにもなれないのだから、私の手で全て黒く染め上げるしかない。だからまず、最初にターゲットの横浜と関係のない東京まで全て消し去るために、最初にケルビムを発射したのが東京なのだ。

 さようなら、弟と妹達、私のわがままで……苦しまずに死んでいてくれることを願わずにはいられない。

 次にパインキャップ、そして直ぐそばの西にたくさん。残りの細かいターゲットは東のケルビムの子機端末に任せよう。


 歩いて、やっと生きた人間を見た。アスファルトの上で彼は銃を構える。

「お前がやったのか? 異世界まで行って」

「やっときたか、アレクシウス……強者の守護者、弱者の裏切り者。正義の味方、貴様に一矢報いることができるなら、死んでもいいと思っていた人生だが、もう今の私はそんなことじゃ満足できそうにないね」

「質問に答えろ」

「異世界は関係ないね。異世界に引き寄せられていた我々の世界の異能力者によってこの手段を分けてもらったんだ。異世界の災厄はケルビムが役割を終えてからこの世界を汚すようにしているつもりだよ」

 彼の銃が破損して彼の目に暴発してしまう。異能力者にそんなものかすり傷にもならないが、痛いと感じることはできる。顔をしかめて、銃を捨ててファイティングポーズをとる。

「……お前を殺せば、事態は収まるのか?」

「まぁ、そうなるね。一応、空のあれは私のフェイズ4能力ということになるからね」

 拳が私の顔の横を通りず切る。

「おやおや? せっかちだね」

 何度当てようとしても、彼の拳は外れてしまう。

「余裕かましてんじゃ」爆裂的な冷気に引き寄せなられる感覚に襲われる。

 彼の背面から追従する真空と絶対零度の爆弾がアレクシウスの蹴りが逃げるともに私に襲いかかる。「ねぇよ!」

 ぬるい。崩れたビルのガラスが冷気でひしゃげていくというのに私を傷つけるには、手緩い。異能力で引き起こされた物理的な現象に頼った攻撃じゃ、私の能力はどうしようもない。

「急がなくて良いのかな? 急がなくては私により人類は抹殺されるだろう。現状で、地球上の人口は15%も消えたぞ? 本気で殺す気があるなら手を抜くな」

 異能力で現象を引き起こしながら異能力の力の根源、魔力をぶつけないと私を寒いと思わせることも叶わなさそうだ。

「貴様、自分がなにをしているのかわかっているのか!?」

「わかっているさ。世界を守るために人類を抹殺しなくてはできれば……」

 冷たい渦が彼の拳を囲って私に当たる。さすがにやばいと思ったから、力を込めて片手でいなして距離を一定に保ちながら、彼の腹にかかと辺りを叩き込む。

「ゲェッ、が」

 追撃もする意味もない。距離を取らせてやろう。こいつとは話もしたい。

「急げよ。私を殺さなきゃ、人類の8割以上が抹殺されちゃうぞ?」

「人類を滅ぼす権利が人間にあるのかよ!」

「滅ぼす? 違うな、これは守るべき大切なものを守るため闘争……間引きさ!」

「間引きだと!? 神様きどりか、この狂った女が!」

 間引きという人間らしい行為を神と評するその発想は少し、残念だ。

「惜しいなぁ。君なら人類を正しく導く権利があったはずなのに、お前のような奴が何人もその権利を放棄して、今では我々の絶滅を契約した私に抗うこともできないのか……残念」

 死んでもいいか。こんなのなら、

 アレクシウスが出した冷気が消滅して、自分の腸の中から氷の剣山が外へ向けて飛び出して来る。

「残念だッ!! 貴様は真面目に力を振るって戦っていならな私は我々の絶滅が必要不可欠とは思わなかっただろう!?」

「ッっ、がはッ――!?」

 吹き出した血と氷まみれの腸へ落とすように頭を後ろから掴んでアスファルトに叩きつける。

「抗えよ。かつて人類最強だった戦士さ。かつて、私達を畜生とすることを認めた畜生よ! 責任を放棄した責任をとって罰を受けて地獄へ落ちろよォ! なァ!?」



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