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私との婚約を破棄…ですか?

掲載日:2022/08/17


「今日も美味しいわ」


食堂でブイヤベースを堪能していると、ベティを連れたアラン様がこちらへやって来た。



「すまないが、少し時間をもらえないだろうか」

「構いませんが」


学園でも腕を組んでエスコートなさるなんて相変わらず仲の良いことだわ。


「君との婚約を破棄させてもらえないだろうか」

「…私との婚約を破棄、ですか?」

「もちろん私の有責だ。学園で彼女に会って、すぐに惹かれてしまった。彼女も同じ気持ちだと言ってくれた。君が了承してくれれば両親にも説明する。

きちんと賠償はするし、我が家で出来る限り新たな婚約者についても協力させてもらう。」


だからどうかこの通りだと頭を下げられて、困惑してしまう。


「お姉様ごめんなさい。」


ベティにまで頭を下げられてますます困惑してしまう。


「アラン様、あなたの婚約者は私ではありませんよ。」

そもそもどうしたらこんな風に勘違いできるのだろうか?

「ベティもどうしたの?貴女アラン様との婚約あんなに喜んでたじゃない。忘れたわけじゃないわよね」




そう、アラン様と私の可愛い妹ベティは婚約者である。

毎日ブイヤベースを食べながら、イチャつく2人を眺めるのがお気に入りのお昼の過ごし方だというのに。


学園が終わったあと我が家で話し合いましょう、と言って教室へ向かったけれど、案の定午後の授業は頭に入らなかった。





「どうして私と婚約してるなんて誤解を?」


アラン様が恥ずかしげに話すにはこうだった。

婚約が急に決まり、ろくに話を聞いていなかった。

顔合わせの日の朝、アラン様は眼鏡を落としてしまい、しょうがなく古い眼鏡を着けていた。そのため婚約者の顔が朧げにしか見えなかった。

婚約者からエリーと呼んで欲しいと言われたので、エレノア嬢が婚約者だと思っていた。


確かにエリーは私エレノアの愛称であると考えるのは自然である、が

「書類や手紙など気付くときはいくらでもあったのでは…?」


面目ないとすっかりしょげてらっしゃる。そうだ、この人眼鏡のくせに脳筋だったわ。


矛先を変えようとさっきから笑いを堪えている妹を睨む。


「貴女わかっててやったんでしょ。説明してちょうだい。」

「だってアラン様いつまで経っても気付いて下さらないんですもの。手紙と会った時とで同じ話をしても、姉妹は考えが似るんですねって。」


「愛称は?」妹の名前はエリザベス、仲の良い友人も家族も皆ベティと呼んでいたはずだ。

「夫になる人には特別な名前で呼んで欲しかったんです。」

お姉様の愛称はノラだから構わないかと思って、と悪びれずに言う。


「婚約破棄してまで結婚したいと思ってもらえてよかったわね。」



叱る役目はお母様にでも任せようと思って、見つめ合い始めた2人を置いて部屋を出た。

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