過信の先
日本の利益に成る事を良しとした工作活動を主とし、
その存在を長年隠し続けて来た組織、それが【ABBA】だ。
その規模は、北海道から沖縄まで全国に展開させていて、
主要秘密基地は、仙台基地を主とする東北支部、
大宮基地を主とする関東支部、岡崎基地を主とする中部支部
亀岡基地を主とする関西支部、呉基地を主とする中国支部
久留米基地を主とする九州支部、
これらの基地が主要基地として存在し、
これら格基地では、それぞれ、
300から1000名の人員が常時活動している。
裏組織として活動している為、名簿は存在せず、
組織内でさえ全体人員の正確な数は分からない、
だが、3万を超える人員は存在していると思われていた。
それら以外に小さなアジトも
各都道府県に散りばめられて居て、
3~12名程度の小規模で、一般人と同じ様に働きながら
小さな雑貨ビルの一室や、老マンションの一室等、
目立たぬ所に網の目を張って存在する組織なのだ。
これ等、工作活動を支えている主な者達は、
1960年当時から、日本の未来を煩い、
【ABBA】を作り上げた先行者達が主な支援者に成っている。
その中でも大口の支援者はやはり、大きな富を持つ者達だった、
名だたる上場企業を世界的企業に押し上げ、
何時か来るであろう先を見ていた創業者達、
旧財閥系の中にも日本の未来を愁う者が幾人も居た。
もっとも現在ではその意思を次いだ小孫達に移っていたのだが。
それ以外にも、現在では官僚、議員、自衛隊、警察組織
各種企業、都道府県公務員等々、あらゆる組織内で普通に仕事をしながら
【ABBA】を影ながら支援している者達も存在している。
(2025年3月12日)
その【ABBA】においても近年稀にみる本格的な戦闘工作を
計画していたのだ、場所は横浜市にある横浜赤レンガ街倉庫の一つに
作られたとされる地下秘密基地だ、
その基地では、中国からやって来る特殊工作員達を訓練しているらしく、
日々、その規模が大きく成っていて、このまま放って置くと、
手が付けられない程に成長するとの意見が、
【ABBA】に所属する格専門家達から強い意見として寄せられて居た。
その為、数日前から工作員を使い調査を行っていたのだ、
勿論、潜入等は行わず、外からの調査に限られている、
そして今朝までの調査の内容が今朝送られて来た。
その中に放って措けない内容のものも含まれていたのだ、
『多数の日本人がトラックの荷台に積まれ、倉庫の中へ
運び込まれている』そう言う内容の情報が含まれていたのだ。
その情報を得た【ABBA】戦闘工作の総責任者【寺内大蔵】司令官は、
{寺内太蔵=元内閣総理大臣 寺内正毅の子孫}
直ちに、強襲作戦の作戦会議を開く事を決めたのだ。
こちらは、中華帝国日本支部前線基地として用いられている、
横浜赤レンガ街の倉庫の地下に密かに作られていた秘密基地だ。
監禁室と研究室が一体と成った比較的大きな倉庫部屋に、
基地司令官 王凱と研究者5名が何かを話して居た。
その部屋は、20m×15m 高さ3m 長方形の部屋で、
片側の壁沿いに幾つもの檻が置かれていて、その中に
衣服を剥がされた裸の男女人間が一つの檻に一人づつ入れられている
そして、反対側の壁に3機並ぶ、宇宙映画等で出て来る冷凍保存機の様な、
金属で出来た縦置きの容器に、顔の部分だけガラスか
分からないが、中が見える様、透明な物で作られた物に、
金属製のダクトの様な物が取り付けられ置いてある、
そのダクトの中には幾つものカテーテルが通って居て、
ダクトの空いた部分には、マイナス10℃の空気が流され
その容器の中へ送り込まれていた。
良く見ると、その容器の中にも人が入って居て、
立ったまま眠っている様だ、沢山のチューブが取り付けられ
その中の薬品で眠らされている事は、
この場で作業を行う者なら理解出来ていた、
中に入れられ眠って居る者達は、通常の遺伝子強化剤を注入され、
まだ生きてる人間だ、現段階の遺伝子強化剤を人体に投与した場合の、
生き残る確率は、まだ高く無く半数近くが3日以内に死を迎え、
7日以内に更に半数が死にいたり、10日を超えた者は、9割、その後も
1年は生き残っていると言う、今の所の研究結果だった。
{1年生き残ると言う研究結果は、薬が使用され被験者に成った者の中で
最古者達が最長で1年経っても生きて居るからだ、何時まで生きるかは未知の部分に成る。}
「グルグル うぉぉぉ~~!」
王凱達が居る、研究室の隣にある
処理部屋から、獣の様な雄叫びが鳴り響いて来た、
王凱は、
「あれは?」
丸菱薬品から派遣されて来て居た、研究者の一人が、
「司令官、あれは投与から7日を越え獣人化率80%を達成した被験者であります。」
「ふむ、同じ人間が、あの様な雄叫びをあげるとは。」
そう言いながらも、どんな様子か見に行く王凱。
「うげぇ、ぐえっ!!
何だ、この部屋は一体!!!」
思わず吐き出しそうになった王凱は、余りに酷い
有様に、見るのも汚らわしいと、後ろを振り返り研究者達に問うた。
「王凱様、ここは、遺伝子強化剤に耐える事が出来なかった
者達の死体捨て場に成っております。」
「そうでは無い、何故あの化け物は、その死体を食っておるのだ!」
「はい、死体は直ぐに腐ります、獣化人間は非常に生肉を欲します、
そこで大量に出る死体を有効活用させて頂こうと、
死体の処理を素早く行う事にも貢献しております。」
「何て悍ましい、お前達日本鬼子のやりそうな事だな。」
「これも独裁党への忠誠の証であります。」
基地司令官 王凱は、
研究者達の態度に吐き気を催し、この場を去ったのだ。
(現在3月23日2時35分)
倉庫地下に築かれた地下基地に新たにやって来た
9名の地上第二班の者達は、地下基地内でそう呼ばれる
第一防衛エリアを通り抜け、敵からの襲撃に備え陣を張って居た
第二防衛エリアに居た、地下二班の生き残り5名と合流した所だった、
新たにやって来た工作員達の目に留まったのは、
毛むくじゃらな大男の死体だ、
かなり損傷が激しく、ぐじゅぐじゅに成ってはいたが
残されている体の大きさから、かなりの化け物だと言う事は
容易に想像が付いたのだろう、次に目が取られたのは、
壁側に寄せられた、【ABBA】工作員の死体と、
反対側の壁際に運ばれた敵の死体だった、
死んでいる【ABBA】工作員の方に向き手短に黙祷を捧げてから、
新たにやって来たリーダー各の人物が、口を開いた。
「長田、地上に連絡しろ、
地下工作員5名と合流したと。」
「了解、今村隊長。」
今村隊長は、応援を待って居た地下2班と簡素なやり取りをし、
先程遭った情報を仕入れ、一人で先に進んだと言う、
朝比奈カオルの後を準備が済み次第追う様、指示を飛ばした。」
「良し、皆、先程お前達が遭遇した者との
戦闘経験から学び選出した武器を持って来た、
好みの武器を選び、装備を整えるんだ。」
そう言い、一緒に来る時、運んで来た武器を
目の前に並べさせ、地下にいた2班に選ばせ取らせた、
その者達が選んだのは、やはり野生の猛獣をも倒せる
ショットガン
サベージ 212 散弾銃を選ぶ者
一発の威力が高い7.62mm×51NATO弾を連続で撃つ事が出来る、
重い機関銃を選ぶ者
先程、使い所で所持して無かった者が選んだのは、
M16アサルトライフルに装着するタイプの
M203 グレネードランチャーを選ぶ者
ロケットランチャーに比べると比較的軽く、
また何発も撃つ事が可能な回転式弾倉を持つ
MGL-140 擲弾発射器を選ぶ者
そんな、火力の出る武器が散弾や40x46mm擲弾と共に配られた。
用意が整うと、直ぐに出発を始める....
(2時44分)
左手を負傷した朝比奈カオルの元にやって来たのは、
完成間近まで来て居るレベル4まで達した遺伝子強化人間だ、
{レベルは5段階あり、5が現在最高でそれ以後
生き続けれる個体は完成体と呼ばれている}
こいつは今までの者達とは違い、普通の人間の様に、
思考出来るし話も出来る、
しかも思考能力をも強化されているので
人間の中で天才と言える者達が持つIQに匹敵する
IQ200と言う数値にまで上昇している個体だ、
この段階で反応速度は朝比奈を軽く凌駕している、
そんな強化人間が、カオルに向かってやって来た、
だが、奴はアサルトライフルを肩から掛けているにも関わらず、
それを使わず、カオルの銃撃を避けながら、
一気に間を詰めて来たのだ!
詰め寄られたカオルは、片手に持つアサルトライフルの
トリガーを引き、こいつに向け撃ちまくる、
しかし、カオルの動作から次の行動を読まれ、
先程の剣士よりも動きが遅かった筈なのに、
全く攻撃は当たらず、詰め寄られ
強烈なボディブローを叩き込まれてしまった、
カオルはお腹を抱えながら前のめりに足が崩れ、
息も取れない状態に陥り意識を失いかけていた。
カオルは、
何もさせて貰えないまま、一撃で沈められてしまったのだ。
カオルは意識が遠く成り、必死で意識を
取り戻そうとしていたが叶わず気を失ってしまった。
この強化人間が、何故カオルを殺さなかったのか?
それは、カオルを王凱の元へと連れて来る様に
命じられていたからだ、
その為、この強化人間は、カオルを倒すと、抱き抱えようと、
足を降り、持ち上げようとしていたのだ、
すると一発のライフル弾が強化人間の胸元を貫いた!!
やったのは、外から応援に来た9名と合流した
第二班の者達だ、その中の今村隊長と呼ばれる
班のリーダーがスナイパーライフルを用い狙撃したのだ、
撃たれた強化人間は心臓を撃ち抜かれ、
苦しい表情を見せたのだが、カオルを抱えバク宙を決めると、
カオルを抱えたまま超人的な動きで撤退してしまった、
その早業に呆気に取られる第二班の者達だったが直ぐに今村隊長が、
「何をぼやっとしておる、朝比奈を取り戻しに行かんか!」
その怒声にハッとした二班の者達は、急ぎ行動を開始、
敵追撃の為、速足に移動し始める...
合流第二班が移動している場は、第三防衛エリアと呼ばれている箇所だ、
此処には基地司令王凱自らが、中国から送り込まれて来た工作員21名と共に、
強襲して来る【ABBA】工作員を迎え撃つ為に陣取っていたのだ、
そこへ王凱の目的であった朝比奈カオルを抱えた強化人間が戻って来た。
それを見た王凱は、
「おお、やり果せたか!」
急ぎ、強化人間に担がれているカオルを見に近付いたのだ、
近くまで来てしっかりと確認すると。
「良し、直ちにこの女工作員を実験室へと運ぶのだ。」
そう命じた直後、胸から血を流していた、
強化人間は、カオルを腕から落とすとそのまま倒れてしまった。
「何だ、どうした?」 近くの兵士にそう聞くと、
兵士が強化人間を調べる、 すると兵士が答えて来た。
「司令官、こいつ胸を撃たれて死んでます。」
「何だと、そう言えば胸から血を流して居ったな、
まぁ良い、目的の者はここに居る、
良し、ではお前とお前、この女を抱え私と共に一緒に来るんだ。」
「了解であります司令官。」
二名の兵士に、朝比奈カオルを運ばせ、
基地司令官 王凱は、実験室へと戻って行く、
ここに残されたのは、日本に戦闘工作をしにやって来た
19名の兵士達だった。
(2時50分)
朝比奈カオルを取り戻す為、速足で進んで来たのは
合流二班の者達だ、
そこに待ち受ける19名の兵士達が、
第2班を察知すると、直ちに攻撃を開始した。
第三防衛エリアと呼ばれる、防衛する為に作られたエリアだ、
勿論、そこを攻撃する攻撃側は圧倒的に不利な状況での戦いと成る筈だった、
しかし、
今回戦闘を指揮する男は、只者では無かったのだ、
今村隊長と呼ばれるその男は、恐るべき陸戦能力を備えた男なのだ、
元居た、陸上自衛隊時代は、
陸の今村と呼ばれる戦術のエキスパートでもあったのだ、
その今村が指揮する班は、とても素早く的確に連携を取り、
先ずは、一番脅威に成るスナイパーを潰す為に行動、
防御の硬い所に潜む敵狙撃手へ、
MGL-140 擲弾発射器を食らわせ撃破、
飛び出して来る敵には、機関銃の弾を雨アラレの様に撃ちまくり、
敵が優位な状態を跳ね除け、重火力を用い優位に事を成していた。
「手を休めるな、一気にたたみ込むぞ!」
今村隊長の怒声に呼応し、皆の指揮も上がり、
19名居た敵の兵士は、一気に数を減らし、
瞬く間に10名を割っている、
対する此方、今村班は、負傷者2名を出してはいたが、
来た時と同じ14名のまま攻撃を続行出来ていた。
第3防衛エリアでは、第2班が優勢に戦ってはいたが、
先に連れて行かれた朝比奈カオルは、遺伝子強化剤を投与する実験室に
連れて来られ、衣服を全て剥ぎ取られ、
実験用ベッドに縛られ寝かされていた、
その様子を丸菱薬品より派遣された研究者達と一緒に、
基地司令官 王凱は見ている。
「おい、その女工作員は、左腕を負傷しておるぞ、
そのまま遺伝子強化剤を投与して大丈夫なのか?
【司懿】特別監察官よりの命で、
こ奴を強化人間へとの仰せなのだ。死なれたらこの俺が困る。」
王凱は、心配げにそう述べる、だが
研究者達は、淡々と、左腕に負った刀傷を治療している、
他の研究者の一人が、「司令官、そうは仰りますが、
今迄行った実験の被験者達の結果から、この女が生き残る確率は、
精々25%程度と思っていただくしか・・・
今回使用する強化剤は、最新Version α3.1を注入いたします、
強化剤を注入した後は、運に任せるしかありませぬ。」
「分かった、所でα3.1と言うのは、どんな効果が期待出来るのだ?」
「はい、基本的に全能力upに成ります、全ての身体的能力が向上され
未知の能力の開花もあり得るかもしれません。」
「未知の能力とは?」
「それは判りません、人間に備わってる能力でも発動して無い、
未知の部分が沢山あり、脳の能力がupされると
それが開花する可能性もあると言う事です、ですがあくまでも、
かものお話なので期待はしないで下さい。」
分った【司懿】特別監察官には、
私からそう伝えて措こう、余り期待させても後が怖い。」
そんな事を話していると、今、話に出てた
【司懿】特別監察官が、この実験室まで
やって来たのだ、目的の獲物を確保したと言う
情報が耳に届いた為、どんな様子か実際に見に来たのだろう、
それだけ特別監察官の気を引いた事柄だったのだ。
研究者達が治療し終わった朝比奈カオルを
実験カプセルと呼ばれる、縦型の容器に連れて行き
カオルを立たせたまま入れ上から吊り下げられた腰ベルトを装着させ
何本ものカテーテルを体に刺しドアを閉めたのだ、
カプセルの中に、マイナス10℃の空気が送られ、
どんどん冷やして行く、同時にカテーテルからは、
遺伝子を変化させる溶液が流し込まれ始めたのだ。
朝比奈カオルは、意識の無いまま
普通の人間では無い存在へと変えられ様としていた。
朝比奈カオルの実験が始まった頃、
第三防衛エリアが破られそうに成ってると言う
連絡が、基地司令官王凱の元に届いて来た、
第三防衛エリアが破られる事を想定して無かった為
王凱は慌てて、残りの戦闘員を第三防衛エリアへ
向かわせる指示をしたのだ、
その様子を見て居た【司懿】特別監察官は、
「司令官、取りあえず今は
指令室へ戻るべきだろう。」
「分かりました、ここは研究者達に任せ
私達は、指令室へ。」
そう言い、二人は指令室へと戻って行ったのだ。
その頃、第三防衛エリアでは、先程までは
今村隊長率いる第二班のメンバー達の方が圧倒していたのだが、
地下基地の戦闘員を此処に集結させて来た為か、
敵人員が増え始め、中々前に進めない状態に成って来て居たのだ、
その為、今村隊長は、疲れも見え始めた味方工作員達の様子を見て
ここで決断、一旦後方へ下がる様、皆に指示を出したのだ。
これ以上相手の人員が増え過ぎると、一気に此方が崩れかねない
との判断からだ、決断すると素早く後方に下がり始め、
第二防衛エリアまで、陣地を下げたのだ。
今村隊長は更に、地上の前線基地として使用中のトレーラーに居る
通信担当者にこう指示を送った。
「こちら地下2班 只今敵の大部隊と交戦し、
一旦戦線を後退、敵の数は解って居るだけで20名弱
此方の被害は5名が軽い負傷、後方戦闘には支障は無いでしょう、
大至急応援部隊を入れて下さい、
ここがこの地下基地攻略の勝負の分かれ目に成ります。」
そう言い、応援を寄越せと催促したのだ、
それをそのまま聞いた、【ABBA】
本部に居る戦闘工作の総責任者【寺内大蔵】は
横浜赤レンガ街に新たに到着した工作員達を、直ちに今村隊長達の居る地下へ
応援に行く様、指示を出したのだ、全員が揃えば今地下に居る
メンバーより多い、21名の人員が駆けつける事に成るだろうと、
今村達に連絡が届けられた。
その連絡を受け、今村隊長達、14名の工作員は、
敵を迎え撃つ為に陣を張り身構える事に成ったのだ、
「全員が揃うと21名の応援がやって来る、
我々は、彼等が来るまで、ここで防衛しながら
時間を稼ぐ事に成る、皆、死んではならんぞ。」
「了解ですぜ隊長。」
「応援が来てくれるなら何とでも成るさ。」
撤退した割に指揮は下がってはいなかったのだ、
第三防衛エリアにはもう、30名もの兵士が集まって来て居た、
一早く撤退した敵を追うか、ここで様子を見るか? と言う
判断を司令部に仰ぎ、その返事が来るのを待っている所だ、
すると、司令官から連絡が齎されたのだ、
「撤退した敵を殲滅する為、全兵力を投入し、事に当たれと言う内容だったのだ。」
この指示を、先程寄せ集めたばかりの即席集団の隊長に
指名された罪恩徳と言う男は、飛んでも無い
勘違いをしてしまったのだ、 敵を殲滅しろとの命だった為、
この場に集まった全兵力30名の者達を全て第三防衛エリアから
第二防衛エリア方面へと向かわせる指示を出し、
自らも第二防衛エリア方面へと向かったのだ。
(3時19分)
第二防衛エリアで待ち構えていた今村班のメンバー達は、
小しだが休憩も取り防衛の段取りを仕上げ待ち伏せていた。
{今村班=第2班}
そこにのこのこと敵がやって来た、
今村のまだ撃つなもっと引き付けてからだ!
そう言う指示を受け、敵が攻撃を開始するまで待ち、
ギリギリまで待つ、
バババババババッ
ダダダダダダッ
敵からの攻撃が始まった。
「良し、此方も反撃だ。」
その指示の元、今村班は第二防衛エリアでの攻防が始まった。
先程とは、全く逆の立場での戦いに成って居た、
今度は、少ない防壁とは言え、取りあえず
身を守りながら攻撃が出来ると言う優位な状態を得ていた、
第三防衛エリアから来る通路には、
最初に倒した第二防衛エリアで倒した敵工作員の死体を
邪魔に成る様に置いてあり、敵は此方に攻めて来るには、
悪い足元に注意しながら此方に来るしか無かったのだ、
そんな状態の場だったが、急に招集され集まった兵士達だった為か、
隊長に任命された罪恩徳の指示を聞かずに
勝手な行動を取る者達が続出、数で有利だと知ってた事で、
戦闘が荒く成っていたのだ、罪恩徳は、
足場の悪い場を通って、敵を攻撃する者達に
「戻れ、戻れ!」と叫んで居た。
そんな状況を指令室に戻って来たばかりの
基地指令官王凱と【司懿】特別監察官は
監視カメラで捉えられている映像をディスプレイで見る事に...
「何をやっておるのだ、あ奴等は?
何故第3防衛エリアから離れ戦っておる!」
王凱は、信じられないと言う思いで、
画面を見ている。
暫く様子を伺っていた、
【司懿】特別監察官が。
「どうやらこの基地は手放す事に成りそうだね、
先程捉えた実験体と共に、私は脱出する事にする、
後、研究者達も連れて行く、そうだな君は、
ここに残り最後まで抵抗してくれたまえ、
一緒に来ても良いのだが、そうなると
【呂 攻】同志にどの様な目に遭わされるか?
その判断は君がしたまえ。」
そう言われ、王凱は自分の死がこんな
突然決まってしまった事に目眩を起こしたのだが。
「私は、基地司令官として地下基地に残ります、
どうぞ特別監察官は脱出を、
道案内兼ボディガードに司令部の者を何名かお付けいたします、
おいお前達!
お前達は特別監察官を護衛、研究者達と共に実験体を連れ
日本支部最高指導者【呂攻】同志の元へお連れしろ。」
「ふむ、そうだなその方が良い。」
覚悟を決め、使命を全うする方へと向かった王凱の言葉に納得し。
【司懿】特別監察官は、そう言うと、
司令部に居る人員3名と共に司令部を離れまた実験室へとやって来た、
研究者達に指示を出し朝比奈カオルを運び出す準備をさせたのだ。
「お前達、今からこの地下基地を出立する、
そこでその実験体も連れて行く、絶対に死なせる事は成らん
死ねばお前達の運命も同じだと思って措くのだ。」
そんな不条理な事を言い付けたのだ。
しかしこれは、最善を尽くさせる為、
研究者達に、はっぱを掛けたに過ぎない、
それでも、自分の命に係わる事に成ってしまったと
思った研究者達は、慌てて事を急がせた。
準備が整うと、
予め造られ隠されていた脱出経路を使い、
地下に作られた、船着き場に置いてある
緊急脱出用の小型潜水艦に研究者達が、
実験体と成った朝比奈カオルを丁寧に運び込むと、
【司懿】特別監察官も乗艦し、残りの者達も後に続き乗り込で行った、
準備が整った小型潜水艦は潜水を始め地下基地を静かに去ったのだ。
最後まで読まれありがとうございます。