【ABBA】
今回から、カオルパートが始まりました。
今日は、2025年3月22日、 三上が病院に運び込まれてから
一ヶ月半と言う日数が経過していたのだ、
しかしまだ退院の目途は立って無かったのだ、
そろそろ、病院生活を終わらせたいと考えていた三上だったが、
三上の状態を危惧した久遠と、枝窪の二人により阻止されていたのだ、
勿論、主治医の中村先生も、まだ早過ぎると言うだけで
具体的な事は何も話は受けて無いと言う状態だったのだ。
三上の周りは今だこんな感じだったのだが、三上の知らない所では
こんな事が始まっていた...
中国が日本併合を宣言するまで、
まだ10ヶ月以上の月日が残っていたのだが、
日本国内では独裁党の息の掛かった者達による
日本内部への侵攻が活発に行われていたのだ、
✖〇党放置会に所属する議員連盟による政治的腐敗の横行しかり、
警察組織、自衛隊、マスコミ、官僚組織への関与もしかり、
経団連、経済同友会、日本商工会議所等、
日本における主要な経済団体に対しての内部工作しかり、
あらゆるスパイ活動を活発にさせていた、
そんな中、日本の影に潜む組織【ABBA】
この組織の一部創設者達は自分達の事を影の日本政府だと自称、
現在この【ABBA】は32名と言う人員を投入した中規模作戦、
近年では最大級と成る戦闘作戦を始めていたのだ。
人的戦闘工作の総責任者【寺内 大蔵】司令官より、
その作戦の先行班に任命されたのは、
朝比奈カオル、増田敏明、米倉直人 この3名が選出され、
主に戦闘工作活動を目的とし、中国本土から潜入して来た、
独裁党、特殊工作員が最初に潜伏し、
現地の情報を叩き込まれ、実戦行動訓練を行う為に設けられた施設、
それ以外にも、多数の日本人がある実験の為に連れてこられ監禁されていると言う、
神奈川県横浜市にある、横浜赤レンガ倉庫で有名な
倉庫街地下に作られた施設への強襲作戦が開始されたのだ。
「現在3月23日、0時23分39秒、
先行班、前半ミッション開始します。」
「こちら第二班了解しました。」
『今回の作戦は、朝比奈カオル率いる先行班3名が、
倉庫外の見張り&監視カメラを破壊し、内部侵入を果たし、
倉庫内にあるとされる地下への通路を見付け出し、通路を確保
その間、反撃して来るであろう敵を足止めしつつ、
第二班戦闘員12名の応援を待つ、ここまでが作戦の前半だ。
第二班、残りの振り分けは、2台のトレーラーの運転手が
2名、助手席にサブ兼攻撃主2名
作戦基地用トレーラーの後部に通信担当1名、情報整理担当1名、
作戦指揮担当1名、医療班3名が配置、
地下からの通信を拾う為の微弱通信増幅器も用意され事に当たっている。
その他の工作員は倉庫外周に配置され逃げ出した敵兵の殲滅、
または、味方が不利な状況に陥ったおり、撤退時に敵の迎撃、足止め
そう言う役割が設けられている。
武装は主にアサルトライフル、サブマシンガン、拳銃、
ロケットランチャー、手りゅう弾、戦闘用ナイフ、
偵察&戦闘用ドローン各種だ。』
「こちら一ツ星、配置ok、見張りが二人、
入り口付近に立って警戒しているわね。」
〈一ツ星とは、現在組んでる先行部隊内で連絡する時のカオル名、
増田の呼び名が二ツ星、米倉の呼び名が三ツ星だ、
第二班への連絡時は先行班と言えば良いらしい。
因みにこのチーム内では、一ツ星がリーダーだ。〉
「右サイド二ツ星、此方からも確認出来ました、
入り口付近に設けられた監視カメラの数は合計で2台、
入口より左サイドの数は含みません。」
「了解、三ツ星の方はどう?」
「ちょいお待ちを、近くに一般人のカップルがいて
不審に思われてしまっています、オーバー。」
「了解、騒ぎは起こさないで。」
その様な事情が発生した為、直ぐに次の行動が起こせなかったのだが、
カオルは焦る事無く、淡々と隠れ潜んでいた。
最後の通信から1時間が経過した頃、ようやく三ツ星からの
連絡が入ったのだ。(現在時刻は1時28分)
「こちら左サイド三ツ星、此方から確認した監視カメラは合計3台
内1台は、倉庫側では無く、倉庫前、反対側にある鉄塔に取り付けられて居ます。」
「一つ星、了解しました、これより入り口付近の警備をクリアする為、
扉付近へ向かいます、最後確認、二ツ星及び三ツ星は、
サプレッサー付きスナイパーライフルを準備し、一つ星の援護、
一ツ星建物内潜入後、各自援護潜入、分かってると思うけど
混乱時は各自、自己判断で最適な行動を取る事。」
「了解。」
「了解しました。」
「ではスタート。」
倉庫前に居る2人の警備達に近付いて行く朝比奈カオル、
夜中の倉庫街、電灯の明かりが当たって無い様な場所は真っ暗だ、
その場を注視して無いと、誰が近付いて来ても通常の者なら
殆ど気付く事は無いだろう、カオルは、そう言う場所を選び、
音を立てず素早く通り抜け、警備に接近していた、
最初の一人目を獲物を狙う肉食獣の様に狙いすますと、
腰に装備させていた愛用の戦闘用ナイフ(クリスリーブ)を抜き右手に装備した、
ゴアァァ! ゲホッ ゲホッ.....
そのナイフを一人目の首に突き刺すと、一気に引き裂いたのだ、
大量の血液を吹き出しながら、ゴボゴホ言い、カオルの方へ倒れ掛かる、
その相手をカオルは支えながらゆっくりと地面に倒して行く、
その間、急に倒れ込んだ同僚の異変に気付いた警備が、
動き始めた、 するとそれをスコープで見、狙っていた米倉が、
スプレッサー付きスナイパーライフルを使い射殺、
続いて増田も監視カメラに向け発砲を開始、二人は5台の監視カメラを次々に破壊したのだ、
増田と米倉の二人は、破壊し終わると直ぐにスナイパーライフルを終い、
カオルの後に続き倉庫へと向かったのだ。
先行するカオルは、扉のロックを外す為の機器を取り付けた、
6秒程で扉が開くと、カオルは中へと侵入、地下への侵入口を見付ける為に、
中へと入って行ったのだ。 (現在時刻は1時36分)
「先行班倉庫内部への潜入開始します。」
「こちら二班、了解しました。」
丁度カオルが倉庫への侵入を果たした頃、
防犯カメラが次々に破壊された事を知った、
横浜倉庫街秘密基地に居た、独裁党幹部【司懿仲達】特別監察官の耳にも、
『日本支部最高指導者【呂 攻】の補佐兼監視人として
不手際を起こし失脚した陳龍敬の代わりに独裁党より派遣されて来た人物。』
ほぼ同時刻に横浜倉庫街秘密基地司令官「王凱」と共に侵入者の事が伝わって来ていた。
「司令、判明している敵の数は、現在1名、監視カメラが破壊されるまでに
掛かった時間から、その他にも数名の存在が予想されます。」
「分かった、【ABBA】がこの地下基地を狙って来るとは、
よっぽど追い詰められたと言う事でしょうか? 特別監察官。
「いや、陳が犯したミスが原因だろう、
奴等の真の狙いは、丸菱薬品が開発した遺伝子強化剤と、
ここにある治験データだと私は思うね。」
「何ですと!
そんな重要な秘密事項を外部に漏らしてしまっていたのですか!」
「そうだ、だから陳は本国に呼び戻されたのだよ、
私は奴の尻拭いの為、この地へ派遣されたのさ。」
非常に冷淡な口調で、そう述べた
「・・・」
王凱は、言葉を出せなかった。
「この地下基地を襲うのに、数名で来る事は無い、
少なくとも20~50は来てると思って対処するべきだよ王凱、
私は敦森を使い、奴等の邪魔をさせよう、
君は素早く奴等を殲滅してくれたまえ、手こずる様ならあれの使用許可も許そう。」
「分かりました、特別監察官。」
朝比奈カオルは、倉庫の中に居た敵と戦って居た、ここまでに確認出来た敵の数は
6名、内一人は射殺している、しかし5名もの職業軍人に攻められ
今は物陰に追い込まれ、身動きの取れない状態に成っていた。
ババババババババッ ババババ゛バババババッ!
弾丸が無数に発射されていた
「くっ手強いじゃないの! 今までの敵とは違うわね。」
カオルは、そろそろ入って来るだろう二人の仲間を待って居た、
来た瞬間に必ずチャンスが訪れる筈だと、ヤマをはったのだ、
すると案の定、二人が倉庫内へ侵入を果たすと、即反応し敵は二手に別れたのだ、
カオルはその時を待って居た、すかさず動いた者を攻撃、銃弾をヒットさせる!
銃口を移動させ続けざまに次のターゲットをも撃ち抜いたのだ!!
そこへ駆けつけた増田と米倉の両名も、負けずにアサルトライフルで攻撃、
敵の数を一気に減らす事に成功したのだ、
残りの敵は2名に成り、先程とは反対の立場に成ったカオルは、
ガンガン攻撃する攻勢を掛け残りの敵を殲滅してみせたのだ、
その行為を身近で分かち合った二人は、
カオルの凄まじい攻勢にタジタジしていた。(1時48分)
「流石だな隊長は。」
「あれは恐っとろしい女子じゃ。」
そんな感想を述べていた。
倉庫内の敵撃破に成功したカオル達は地下へ降りる通路を探す為、
三方に別れ隈なく探し始める事と成った。
「こちら二ツ星、発見しました!」
増田が二人に連絡を入れ、先行班3名が揃うと
第二班に連絡を入れたのだ。
「こちら先行班、地下侵入口発見、
これより地下スロープを下って行きます。」
「了解だ、第二班も侵入開始します。」
倉庫内地下へ降りる為に作られていた隠しスロープの広さは、
かなり広く、4tトラックがそのまま通行出来る程の広さと高さで作られていた、
そのスロープを約30m下りて行くと、折り返しが設けられていて、
今度は反対方向へ進む下へ向かうスロープに成っていた、
そのスロープを進むと、突き当りにとても大きな、
むき出しのエレベーターが姿を現したのだ、
このむき出しのエレベーターも4tトラックを
そのまま積み込める広さに作られていたのだ、
たぶん地下に作った施設に多くの物資を運びやすくする為のものだろう。
「こちら先行班、倉庫内東に地下へ降りるスロープ及び
むき出しの巨大エレベーターを発見、只今より下へ向かいます。」
(1時54分)
「了解。」
途中、幾つか監視カメラを見付け、破壊しながら進んでいたのだが、
もうバレてる敵の基地に、たった3名で
これだけ広いむき出しのエレベーターを使い
乗り込むと言う行為は、とてもお馬鹿な行為だと言える、
それはこのエレベーターに乗っている3人全員が、そう思っていた事でもある、
それでは何故、そんな愚かな行為に走ったのかと言うと、
第2班12名が一緒に乗り込み下りたとしよう、
敵がエレベーターの前で待ち伏せしていた場合、
壁も無いむき出しのエレベーター内では、隠れる場も逃げ場も無い状態で
一気に殲滅させられてしまう危険がとても高く、
先ずはどんな様子なのかと言う情報だけでも2班へ送る事が
先行班の任務だったからだと言えるだろう。
更にその先も考えるカオルは、
欲を言えば先行班だけで乗り込んだ場合でも、
少ない先行班だけで敵を上手くかく乱出来た間に、
第二班を下ろすと言う作戦がヒット出来れば大成功だと考え、
カオルが独断で決めてしまったと言うのがこの作戦の決行理由だった。
「カオルさん、これはかなりやばいですよね。」
「・・・」
「だって、エレベーターが下に着いた途端、ハチの巣にされそうなんですが。」
「大丈夫よ、神様にでも祈ってなさい、
着いたと同時に、これをお見舞いしてあげるわ。」
カオルはそう言うと、体に装着したケースから、
ソフトボール大の拡散微粒子爆弾を取り出してみせたのだ。
「これを使用すると微粒子拡散後、最大で半径10m四方に煙状の微粒子が広がり
微粒子内で銃を使用すると熱爆発を起こし、使った者の周りは木っ端微塵よ!
「それは知ってます。」
「知ってるなら、スコープは下げて置きなさい、
目に微粒子が入ると大変な事に成るわ、
それとナイトモードは切って措くのよ。」
慌てて二人がヘルメットに付けていたスコープを下げる。
「了解。」
「2個ある微粒子が利いてる間が勝負に成るわ、
それまでに相手の数をどれだけ減らせるかが重要なの、
それと良い場所の確保ね。」
「隊長、それって行き当たりばったりと言うんじゃ無いんですか。」
「ふふふ、仕方無いじゃない、
この先どんな構造に成ってるのか分かって無いんだから、
とにかく素早い状況判断で各自、即対応するのよ、死なない様にね♥」
「うはっ、この状態で死ぬなって、
奇跡を起こせとおっしゃられてるんですよね。」
そんな事を口走ってたのだが、降りて行く速度が急激に遅く成り始めた、
「二人供、到着するよ!」
米倉が、第2班に到着地点のおおよその高さを報告。
「先行班より、エレベーター到着地点までの高さ、推定91m」
「こちら第二班、了解しました。」
(1時56分)
この間、第二班12名の【ABBA】戦闘工作員達は、
倉庫内スロープを降り、巨大なエレベーターホールの前まで来ていた、
現在は使用中なので、巨大な穴の前で下を見る者達が居ると言う状況だ。
直ぐに先行班より情報が得られると、下までのおおよその高さが分り、
資材持ち担当が持つ荷物から、6㎜ワイヤーが使用され、
2丁掛けを2カ所作り始めていたのだ、91m下まで降りる用意が成されていた。
倉庫内第二班12名が、下へ降りる為の段取りを始めた頃、
倉庫外に配置された第二班達は、敦森衆議院議員からの
圧力を受けた横浜県警本部長の指示を受け、
多数のパトカーが次々と集まって来てた事で、身動きが取れない状況に追い込まれていた。
外で待機させていた撤退用トレーラー1台は、
県警が近付いて来るとの情報を受けると
都内方面への一時撤収が命じられた、
もう一台は、この作戦の前線基地に使用されていた為、そのままの場所に待機中。
その間、【ABBA】本部に居る【寺内 大蔵】司令官は、
同じく、裏で【ABBA】構成員の顔を持つ議員達を使い、
県警に撤退するよう要請していた。
当然、県警本部内では、大変な事態に成っていた、
✖〇党放置会の敦森議員からは、武装グループに対し直ちに善処せよとの命が、
一方、同じ✖〇党正論会からは、直ちに撤収せよとの圧力が掛かって来て居たのだ、
横浜県警本部長は、中立な立場の人物だったのだが、
先に動いた敦森側からの武装グループへ対処せよと言う命に逆らえず、
県警を動かす事に成っていた、 既に現場に到着した部下から
武装グループと思われる不審な者達が現場に居るとの報告が成されて来ていて
これを確認せずに撤退させた場合の、責任の事等を考えて県警の撤収はさせず、
絶対に手を出さず、見守るだけにしておく命を部下に指示していたのだ。
地上は、そんな状態だったのだが、そんな事を知るよしも無い
朝比奈カオル、増田敏明 米倉直人達、先行班三名は、
人生最大の危険を冒し、案の定、待ち伏せていた敵部隊との
交戦が始まった所だった。
バンバンバンバンバンバンバンバ バンバンバンバンバンバン
バンバンバンバンバンバン バンバンバンバンバンバンバン
壁も何も無い丸裸のエレベーターに乗るカオル達を
目視出来た敵部隊は、エレベーターが到着する前から攻撃して来たのだ、
下まで後3m程度だったが、到着間近の減速するスピードで動く
エレベーターはとても遅くいらいらする時間と成っていた、
そんな中、カオルは予定通り微粒子爆弾を
防御を固めた陣地へ思い切り投げ入れた!!
破裂し、色んな微粒子で作られた爆弾が炸裂すると、
その周りにキラキラとした微粒子が拡散したのだ、
するとその中に入った兵士が銃を撃つ順に爆発が起こり始めた、
慌てた兵士達が、早口で何かを叫んでいる。
朝比奈カオルは次の行動に移っていた、エレベーターを飛び降り、
微粒子が拡散した中に自ら飛び込むと、戦闘用ナイフ(クリスリーブ)を使用し、
微粒子内に居る敵の喉をかき切り始めた、流れる様な動きで敵を倒し始めたのだ。
「やるぅ!」 米倉は思わずそう口に出す。
そんなカオルの行動に遅れる事無く増田が動いた、
それを察知すると米倉も遅れじと続く...
エレベーターホールの上では、ようやく下へ降りる段取りが終了し
4本のワイヤーが91m下まで垂れ下がっていた、
工作員12名による、特殊卸下が始まったのだ、
ハーネスとカラビナを使用し、降りて行く工作員達、
自分の順が来るのを待つ者達は、皆緊張していたのだ、
それもその筈、昔から闇の工作活動をしている
【ABBA】の工作員達とは言え、
近年では、こんなド派手な工作活動を経験した事が無い者達が大半だったのだ。
全体的に、トラブルが頻発している状況だったが、
カオル達先行班は、何も知らず、ただ目の前の敵を倒す事に
命を賭けている、
カオルは、僅かな時間で、4名もの兵士の喉を切り裂き、
増田は、アサルトライフルの先に装着させた銃剣を使い、2名の兵士を刺殺、米倉は短刀を使用し1名を片づける事に成功していたのだが、一発目の拡散微粒子爆弾の効果が薄れ、
はっきりと敵に此方の位置を捕捉され始めてしまい、
2発目の爆弾を使う間も与えられず攻撃を受け、米倉が銃弾を浴び倒れてしまった!
二人は、倒れた米倉を助ける余裕も無く、必死に応戦する、
それでもカオルは何とか二発目の拡散微粒子爆弾を多くの敵が居る地点に
放り投げる事に成功したのだ、拡散する微粒子が再び周囲を覆って行く...
そんな中、やっと第二班最初の者達が下りて来たのだ、
無事下りる事に成功した工作員達は、戦線に加わり、加勢して来た、
敵がこちらを攻撃出来ない状態で、無事に降りて来た味方の援護が
益々増え始めると次第に、
【ABBA】工作員達の方が有利な状況に成って来た、
更に下りて来た工作員がロケットランチャーまで使用した事で、
防御シールドを使う敵兵をも吹っ飛ばす事に成功すると、
圧倒し始める事に成り、このエリアを制圧する事に成功したのだ。
その攻防を指令室で基地司令官「王凱」と共にカメラに映る状況を
見ていた【司懿仲達】特別監察官は、
「司令官、このままでは次の防衛線も破られるんじゃないのかね?」
「それは無いと思います、敵の数は今の所15名足らず、
それに対し、こちらはまだ送り込める兵士に余裕があります。」
「ふむ、しかし、折角本国から送り込み教育した工作員達を
無駄に殺させるのも、後後、本国からの評価に悪い影響を及ぼしかねん、
王凱、君程度の者には影響せんと思うが、
私の評価に影響が出るのは困るんだよ、分って貰えないかね。」
そう言われた王凱は、冷や汗を掻き始めると、
「承知いたしました、あれを使い、この問題を素早くお収め致しましょう。」
そう言うと、司令部の通信兵に指示を出し、
地下基地内で、実験中の日本人兵士を使う様、研究者達に通達を出したのだ。
『実験中の日本人とは、丸菱薬品重慶支部で開発された遺伝子強化剤を投与された日本兵の事だ、
その日本兵とは、×○党放置会議員連盟の息のかかった、柴田防衛事務次官の命により、
事情も知らされないまま、遺伝子操作実験の被験者をさせられている
自衛隊陸軍から派遣された優秀な自衛隊隊員達の事である。」
既に意識は書き換えられ洗脳が施されているが、実験段階の為、
敵と味方の判別が出来ない状態での使用になる。
「直ちに第二防御エリアに居る者達を第三エリアへ下がらせるんだ。」
「はい直ちに指令。」
「研究員達には、実験兵を第二防御エリアへ移動させ、解き放てと命じさせるのだ。」
「了解。」
「王凱、実験兵達の実践データ収集もぬかり無いのだな?」
「勿論、ぬかり有りません、特別監察官。」
「うむ、では どうなるのか見てみようではないか。」
「はい。」
この地下基地の者達が言う、第一防御エリアを無事に攻略した
【ABBA】工作員達は、次のエリアへと進み始めている、
しかし、朝比奈カオル率いる先行班は、先程負傷した米倉の容体を確認していたのだ、
すると、米倉は、防弾ベストの上から2発、肩に1発、
計3発の弾を受け気を失った状態だったのだ、
防弾ベストに開いた穴を詳しく見ると、ライフル弾だった為、貫通し
体にめり込んでいるらしく、血液が流れ出ている事が分かった、
肩だけならまだましだと思っていたカオルだったが、かなり酷い状態の
米倉の状態を確認して、増田に米倉を背負わせ撤退する様にと指示を出した。
増田は断腸な面持ちだったが、米倉の状態がかなり悪い事を知り
カオルの指示に従い米倉を担ぐと、エレベーターへ戻り上へと戻って行ったのだ。
カオルは二人を見送ると、先行する第2部隊の後を追い始めた、
後半ミッションにも参加するつもりだったのだ。
(現在2時9分)
読んでくれた方、ありがとう。