三条工場での戦い その1
今回の登場人物
【ABBA】工作員
寺内太蔵 総司令
今村隊長 パワードスーツ部隊指揮官
増田班 メンバー 増田隊長 米倉 熊谷茜 西園寺真香
長田班 メンバー 長田隊長 枝窪美沙 荻 七種
(2025年10月1日)
時刻は14時35分を少し過ぎた所だ、三上は新潟大学の
野外集会場で知り合った大学生達と共に、新潟県三条市に来ていた、
目に映るとても大きな工場内へ入る為には、ゲートを潜り抜け、
建物へと接近してから、ドア内へと入らなければ成らない作りに成って居て
とてもじゃ無いが、見つからずに中へ入るなんて出来そうには無かったのだ。
工場は3棟建てられていて、そこまで辿り着く為には、何十にも成ってる
監視エリアを見つからずに抜けなくては成らず、透明人間でも成れなければ
必ず見つかるだろうと、ド素人の里中でさえ分かる程の厳重さに成っていた。
そんな状況を見て里中は三上に、こう言ったのだ。
「三上さん、これでは中へ行くまでに見つかり、警備員達に
取り押さえられてしまいますよ、どうなさる積りですか?」
「ん まぁ、こう言う時は、まず良く見て、警備員の動き等、
一定のパターンが無いか等、抜け穴を探すんだ、みんなで監視を怠るなよ。」
三上のその言葉に、大学生達は、渋々言われる通りにする、
まだ来て10分と経たないと言うのに、もう飽きて来た様で、
集中力の無いものが、周りの者に話しかけたりし始め、
本気モードでやってる者達の足を引っ張る事に成っていく・・
ふ~ 全く、これじゃあ監視に成らんぞ、ここに来れば
一気に何でも解決出来るとでも考えて居たのだろうか?
三上は、そんな風に思ってしまった。
すると、言い出しっぺの里中万里が、関係ない話を始めた者に!
「ちょっと、これは命がけの調査なのよ、もし武装集団にバレて
襲われたらどうする積りなんですか!」
そう窘めると、もう飽きてしまった大学生3名が、
仲間から離れ、何処かへ行ってしまった、
残された者達の中からは。
「無理に引き留めても、足を引っ張るだけだからね。」
「そうそう、元からそれ程、この事に感心が無かった人を
連れて来たのが間違いだったな。」
そんな話が聞こえて来ていた。
残された本気の者達と共に、三上も真剣に成り、
監視活動を継続する事に・・・
それから15分近くじっとしながら監視してると、
突然三上が動き出す。
「いいな、何があってもお前たちは監視するだけだぞ、それと、
危険がせまったと感じたら逃げ出して、警察なり自衛隊成りに助けてもらうんだ。」
里中達はその言葉に頷く、そうして三上は、さっと移動し、
工場の敷地を囲っている高さ3mはあるだろう柵に近づいて行ったのだ。
「うわっ、あの人、外でさえあんな厳重に守られてる所へ本当に行っちゃったよ。」
「凄い大人ですよね、一人で行っちゃうんだから。」
そんな声を出しながら三上の行動を見ていた、
すると!
なんと、三上は3mをゆうに超えるだろう柵を飛び越え
敷地内へ入ってしまったのだ、その人間離れしたジャンブ力を
見てしまった大学生達は。
「噓でしょ、今のなに?」
「分かる訳、無いでしょう、あんなの見た事ないよ。」
「あの人、元オリンピック選手か何かだったのかも?」
遠くから見ていても、まるで漫画に出て来る忍者の如き動きを見せ、
建物内へと接近、そして間もなく工場内の3棟建てられている内の
1棟のドアを開け中へ入って見せた!!
「入った!」
「あの人本当に、入っちゃった。」
「見た? あの人、まるで忍者の様な動きだったよ。」
「何者なんだよ、あんな事普通の人に出来ないぞ!」
監視してるだけの大学生達各々は、三上の人間離れした動きを見て
度肝を抜かれる事と成っていた。
ここは新潟県三条市、三条市は新潟市の南に位置する場にある
人口9万の人達が暮らしている、そこでは丸朝薬品関連の会社が作った
運送会社が作られていた、そのダミー会社が柵網で囲った巨大な敷地に
大きな倉庫を3棟も建て、県民をさらい、無理やり強化人間に変えて居たのだ
3mを超える柵網の上部には有刺鉄線が何十にも張られてる為、
乗り越える為には、有刺鉄線を切らないと乗り越えられなく成っているし、
切ってしまうと、流している微弱な電気が、切断された事を感知して
何処で切られたのかも分かる警報が備えられていた。
この敷地に入る為には道路と繋がってる箇所にある、
警備システムを通過し、許可を得てからしか入れない仕組みと成っていた。
そんな中、三上は高さ3m以上ある柵網をジャンプし、乗り越え、
忍者の如き動きを見せ建物内へと侵入したのだ、
丁度その頃、この外見上倉庫と思われる場の周辺では、
【ABBA】工作員達が、生き残りを懸け、
戦闘工作の総司令【寺内太蔵】が本部から出陣、
三条市に乗り込み強化人間量産化工場を破壊する作戦を
自ら工作員達と共に戦う為にやって来て、配置に付いた所だったのだ。
後方配置に充てられた長田班の者達も、改造toyotaハイラックスに
乗車したまま、工場から120m程離れた、南の見晴らしの良い場所で、
時を待っていた。
「畜生、俺達はこんな後方配置に充てられたっす、
最前列を任された増田班とは、待遇が違い過ぎるっす。」
「ちょっと長田君、長田班は今回創設された班じゃないの、
そんな出来たての班に、重要なポジションを任せる訳無いじゃない。」
ボヤきを入れた長田を窘めたのは枝窪だった。
更に、編入間もない二人の隊員達、荻と七種も、
「隊長、私達の役目は、後方からの支援です、
見ててください、このSUV車に取り付けられてた、
ガトリング砲で、強化人間共を粉みじんにしてやりますよ。」
元、久留米基地の荻、男33才工作員が威勢良く、
やる気を見せると、負けじと、元、呉基地の七種も、
車の中から目星を付けていた建物の屋上を指刺し。
「私は今からあそこへ向かい、
このスナイパーライフルで敵を仕留めて来ます。」
丁寧に専用のマイクロファイバークロスを使い、フキフキしていた、
その様子を見た長田は、この28才の女性工作員の事を
「オタクだ。」と言う
レッテルを張るのにさして時間は掛からなかった。
比較的、後方へ配置された長田班の者達はそんな状況だったが、
最前衛、一番最初の攻撃を命じられた、大宮基地所属の増田班の者達は、
「く~~~♫ 増田ぁ!!
寺内総司令はちゃんと俺達の事を陰ながら評価してくれてたんだぜ!」
こんな事を言って喜びを表現していたのは、
朝比奈班の頃からの相棒、米倉だ。
「米倉さん、先制攻撃の任を任されたからって、
調子に乗って、明後日の方向へ撃ち込んだりしないで下さいよ。」
最初の初撃を任され舞い上がる米倉に、
冷水で頭を冷やそうとしたのは、電気工学の知識を持つ為、
電波塔での作戦から班に入ったまま居付いている西園寺真香だ、
彼女は、戦闘工作員では無いので、もう戦闘に参加する義務は無かったが、
あれからずっと班を離れず米倉達と一緒に作戦をしている。
「そうよ、米倉さん、何時もみたいにズッコケないで下さいね
米倉さんの成功に全員の命が掛かってるんですから!」
更に追い打ちを仕掛けて来たのは、実質班の副長に成っていた
増田班の仕切りや熊谷茜だ。
一番最初に攻撃を仕掛けると言う大役の任を授かった増田班は
この様に、緊張間に欠けていたが、寺内総司令の合図を
工場内入口から50m程離れた地点に戦闘車を停車させ、
待ち構えている状態になっている、もう間もなく号令が掛けられる事は、
増田班には既に知らされて居たが、その他の部隊には
各自何時でも戦闘が始められる様にせよと言う程度に留められていた。
そして、寺内の最初の支持が出る、今回、初めて実践投入する重要戦力、
【パワードスーツ】部隊を率いる今村隊長にだ。
「配置に付け。」
その指示と共に、一台の基地トレーラーから
【パワードスーツ】部隊が姿を現す、中腰体制のまま人間の様に二足歩行で
トレーラーから降りて来ると、通常体系に戻り、
今度は各自の足から車輪が出て来た!
「良し、準備出来た者から289号線を南東へ進み工場へと向かう、遅れるな!」
今村隊長の号令と共に、高さ3mはあろうかと言う、黒い金属で出来た
人型ロボットの一団は、足から車輪を出し腰を低くし膝を折り曲げ、
長距離移動体制を取ると、国道に出て南東へと向かい始めたのだ、
この時間は割と空いていて車は流れていたのだが、
それでもそれなりの数の車は走っていた、
そこに得体のしれない黒いロボットの一団が現れ、車と同じスピードで
走っているのを多くの人達が見て、見たことも無いこの光景に、
自分の目を疑い、気を引き締めてからまた見て錯覚ではないと気付いてビックリ!
「なんなんだこいつ等は! 映画の撮影かぁ?」
一段の後ろを走っている車の人等は、
自分の今の位置を自覚し、この偶然得た最高の位置取りに、
我を忘れ興奮しながらその光景を追って見たのだ。
今村第1部隊は、工場へと向かい始めた・・
片足に2個の車輪が付いていて、大きい方の後輪はスケボーの車輪の様に左右斜めに折り曲がり
バランスが取られる仕組みに成っている、前の車輪は小さく後輪は大きい、
大小4つの車輪が重いボディを支え、高速移動を行える使用に成っていた。
「何あれ? 変なのが走ってるよ。」
歩道を歩く人もいたので、国道を走って来る異様な一団を
指差してその様子を隣の者に教えたりと、
物珍しい物を見る事と成っていた。
向かい側を走る車を運転していた一般の者達は、黒いロボットの様な一団が
車と同じ様なスピードで、反対車線を走っていると言う異様な光景を見て、
慌てて、警察に通報したり、スマホ撮影を始めたりと、
今までに見た事が無いモノを見た事に興奮し驚いている。
何事が起きたのか? その姿を見た近隣の住民達も、初めて見る光景に
映画の撮影か何かなのか? 等と思ったりもしていた。
寺内総司令は、この場の司令部となる 移動基地トレーラーの中に居る、
ここでは各隊の持ち場から送られてくる通信を分析し、
常時、適応した指示を送れるシステムが構築されている、
【ABBA】の移動基地用トレーラーは全部で4台だ、
この作戦にはその全てが投入されていて、残りの3台は32機の
【パワードスーツ】部隊の輸送と、
一度に2機分の急速充電設備を備えた車両に改造されているが、
戦闘時に2機分の充電しか出来ないのでは話に成らない、
その事は開発段階から分かって居た事なので、
パワードスーツは取り換え出来る、4つの電池パック使用が取り入れられていた、
このトレーラー内では、その電池パックの取り換えが出来るのだ。
プロテクションアシストスーツ、略して【aスーツ】の充電も可能となっている。
そのトレーラーは、目標物と成る建物から1㎞程離れた場所に
目標建物の周囲を取り巻く形で配置され、現在は包囲が完了し、
最初の行動を、ハイラックスを改造して作った戦闘車両に乗った
4名の工作員(増田班)に寺内総司令からの合図が出された所だった。
その他の多くの工作員達も、皆、それぞれ一般車両を装い、
周囲に配置されている、その数は300を超え、軍隊で言えば、中隊規模を超え
2個中隊に及ぶ戦力と見なされる数だった、更に戦闘車両や
パワードスーツ等の戦闘力を考慮に入れると、大隊規模の戦力はあるのだろう、
その戦力を持って、数千は居るだろう遺伝子強化人間との闘いを始める事となったのだ。
「【攻撃を開始せよ。】」
この号令と共に、戦闘車両の上部から顔を出し、
上半身を見せた増田班のエース米倉が、狙いを定め、
ロケットランチャーを敷地内へ入る為にある警備施設に向け放った!!
問答無用、告知成しからの先制攻撃だったのだ!
今までの行いは何だったのか? と言う程の違いに唖然とする工作員も居たが、
多くの者達は、仲間たちの悲惨な惨状を実体験した事で、
それ程、驚かない者も沢山居たのだ。
今回の戦闘行為は、勝つ事のみ考えられていた為、甘っちょろい事は
全て捨て去られていて、周囲の住民達を逃がす行い等は一切なく、
外に出ている者も多くは無かったが、それなりに居ると言う状況と成っていた、
そんな状況で、行き成りの爆発音が鳴り響き、黒い煙が立ち上がると言う
状況が突然始まったのだ、 更に続けてもう一発、爆発音が轟くと、
外に居た住人達は、音と黒い煙が舞い上がる方向を見ながらも、
その場から離れようと動く者や、逆に見に行こうとする好奇心旺盛な者とに分かれ、
様々な行動を始めていたのだ。
包囲が完了すると、何故周囲の住民達に何も知らせない状況で、
間を置かずに戦闘を始める号令を掛けたのかは、寺内総司令の胸の内の中にだけにあり、
他の者達は色々な思いを抱く事と成っていた、そんな状況の中。
比較的後方の位置に配置されていた長田班の者達は!
「うそっ、まだ住民も避難させていないのに!」
ハイラックスサーフを改造した戦闘車両に長田班と共に乗っていた
枝窪美沙が、こう叫んだのだ、これには長田も驚きの声を挙げる。
「枝窪さん、これって、もうなりふり構わず勝ちに行く作戦なんすね。」
「でも、周囲の住人に知らせず、戦闘を始める何て、
住民にもしもの事があればどう責任を取る積りなのかしら?」
「じゃあおいら達で、今から知らせるっすか?」
「う~~ん 今からじゃあ作戦の足を引っ張るおそれがあるし、
こう成ると、もう住民の自己判断に任せるしか無いわね。」
後方の枝窪達の状況とは違い、先発がミサイルランチャーを2発
放った事を合図に、つい先程到着した今村隊長が、3つの部隊に分けられた1つ、
12機編成の第一部隊を率い倉庫内から出て来るだろう敵を待ち構え、
何時でも攻撃できる体制に入っていたのだ。
勿論パワードスーツ部隊だけではなく、aスーツ部隊も出されている、
その他、一般戦闘工作員は、後衛として配置され、前衛の者達の援護に
配置される、三角形3列の陣形が3つ作られていた、
数の少ない【パワードスーツ】部隊をどうして3部隊に
分割していたかと言うと、戦闘可能時間が短いと言う事が挙げられる、
短い時間制限が課せられる為、全部隊を同時に出す事が出来ず、
戦闘が長引く事を予め想定し、1部隊づつ戦闘に参加させ、
電池が切れるころ合いを見て、10機編成の第二部隊に交代、
電池交換の為、基地兼運搬用トレーラーに戻らせ取り換え作業に充て、
第二部隊の電池が減れば、同じく10機編成の第3部隊が
交代すると言うローテーションが組まれいた。
「【パワードスーツ】部隊のローテーションが旨く機能するかどうかが、
この作戦の成功に大きく関わっている、絶対にミスは許されん、
時間だけはきっちりと見計らっておくように。」
寺内総司令は、指揮基地内に居る、パワードスーツ部隊の時間だけを
図っている工作員に、もう一度だけ念を押したのだ、
その工作員は、寺内に頷くと、また時間を見直す。
先程まで工場から見えない位置に停車していたSUV車が突然勢いよく走り出し、
工場敷地内へ行く入口付近に停車、そのSUV車の上部からは男が上半身を出し立ち上がる、
「なんだ?」
それを見ていた者達が居たのだ、その者達は
新潟大学の学生達で、今はこの工場内に囚われていると思われる
女子大生の親族を助け出す為、この工場を監視している所だったのだ。
車から立ち上がったその男は、何やらミサイルランチャーの様な物を掲げたのだ、
その男は自分たちが監視していた工場出入口にある警備室へ、
そのミサイルをぶっ放すと、大きな爆発が起こり、音と衝撃波は学生達の所へも
放たれて来る事に! 花火等、比べ物に成らない大きな衝撃破を受けた
学生達は、何事が起ったのかと、ド肝を抜かれ、暫くの間、
ただ茫然と事の成生を見守る事と成ったのだ。
その爆発が起こる少し前、中に潜入した三上はだだっ広い倉庫内の
中二階両サイドに設置されたキャットウォークに上り、
斜め上から見下ろす形で、無数に居るが微動だにしないsuper兵士を見る事と成ったのだ。
「なんだこりゃあ、GIジョーの置物かぁ?」
そうだ、軽く1000体は整列して居るのだろう、この兵士の整列は、
全く動かない、それに息をしているのかさえ感じさせなく、
まるで置物の様な状態だったのだ、三上は戦闘中とは異なる異様な
光景を見て、余計に気味が悪いと感じて居たのだ。
置物の様な奴らから目を話し、上場から他に行ける目ぼしい場を
探すと、まだ他の場へ行くことが出来るドアを3か所確認した、
その内の1つに移動する途中、警備に当たっていたsuper兵士を襲い、
まだ遺伝子強化薬を注入される事無く、捕らえられている人は居ないか?
探して居たのだ、次に移動した場でも警備に当てられた兵士以外の、
多くのsuper兵士は、動く事も無く立ったまま整列して居る、
その光景を見た三上は、置物の様な人達に寒気を感じていたのだ。
「なんなんだこいつ等は?、気持ち悪ぃな。」
近くを通る三上に目を開けたまま突っ立ち何の反応も見せず、
振り向きもしないのだ、三上は、自分の手を一体の目の前で
ヒラヒラとさせてみたりとおちょくったりしてみる、
それでも何の反応も見せなかった為、
「こいつはもう人間じゃあ無いな。」
そう、この者達の意識は壊され、ただ指揮する者の言う通り動くだけの
存在になされて居たのだ、どう言うマインドコントロールをしたら
こんな風に成るのか? 三上にはさっぱり分からなかったが、
野口の例もあるし、記憶を元に戻せる方法は必ずあるとは思っていた。
そんな状態で、どんどん奥へと向かい、ようやく捕らえられた人達が
びっしりと缶詰状態にされ詰め込まれた檻が幾つも並ぶ場へ出たのだ、
そこで、閉じ込められていた者達は皆、一糸まとわぬ姿にされ、背中に
黒いマジックで番号が書かれ、まるでモルモットの様に扱われて居たのだ。
「これは酷い匂いだ、良くこんな所に人間を閉じ込めて置ける、
日本人を人間と見なして無いのが良く分る。」
三上はそんな事を言いつつ、良く観察する事にした、
以前に、こう言う檻に入れられた中途半端な被験者と
戦ったことがあり、檻の中の者でも既に薬を打たれた者も居ると
知って居たので用心したのだ。
すると、この区間に丸朝薬品の研究者だろう二人がやって来た、
三上は腰を低くして、何をするのか見てみる事にした。
「5778番 5779番 5780番 さあ出て来るんだ、お前たちの番だ。」
そんな声で、檻の中に居る者に声を掛けている、
その声に答える様に、自分に充てられた番号だと気づいた者が
中から手を挙げ、進み出て来たのだ、何をされるか分からないのに
何故奴らの言う事を素直に聞くのか? 三上には分からなかったのだが、
突然大きな爆発音が聞こえて来ると、状況が一変する事に!
「何事だ?」
「分からん、管理室へ連絡してこよう。」
そう言うと、二人の研究員達は、被験者を元の檻に戻らせ
自分たちは慌てて元の扉へと向かい走り去ってしまった、
もう一度大きな爆発音が鳴り響くと、これはもう何かが起こったのだと
三上も今度は、このチャンスに檻に閉じ込められた人達を助けようと試みる。
檻の前まで来ると、鉄格子に手を掛け引きちぎって見せたのだ、
バキンッ。
その様子を見ていた檻に閉じ込められていた人達は、
三上が鉄格子を折り曲げ、引き千切る様子を見て、驚きの声を発する。
「えっ! 」 どよめき・・・
「何だ? なんだ。」
「この人、鉄格子を手で壊したよ。」
そんな声が聞こえて来る。
鉄の格子は、三上の左腕の力にあえなく負け、クニャリと折れ曲がると
造作も無く取り外されたのだ、それを二度繰り返すと、どんなデブな者でも
抜けられるだけの隙間が出来た、三上は。
「よし、あんたらの中で逃げたければ俺に付いて来い、
ここに残りたければ、それでも良い、自分で決めるんだ。」
三上は強制はしなかった、ここで怖い目に遭った者の中には
逃げる事を選択しない者もやはり居たのだ、三上は大勢の人達を
全員守り切って外へ逃がす事は出来ないと思っていた、犠牲者が
大勢出る事を予想し、出来るだけ人は減らしておきたいと言う
思いもあった為、逃げたくない奴まで無理に
連れ出す必要性を感じてなかったのだ、
それでも三上は並んでいた檻の格子を次々に破壊し、
逃げ出そうと思った者達を連れ
元の道を出口へと向かおうとしたのだが、
様子を見ると、
先程は微動だにしなかったsuper兵士達が動き出し、
外へと出ようとしていたのだ、三上はあの数ではとてもこの者達を
連れ出すのは困難だと判断、あの研究員達が戻った方向へ行った方が
まだましだと思い、そちらへと向かう事にした。
最後まで読まれた方、ありがとう。




