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知る

作者: あか

色と美音に会いに来てくれてありがとうございます!実は最初に書いたこの作品…ぜひ楽しんでください!

昔から、雨の音が好きでした。あの音が僕の欠点を消してくれる気がしたのです。


昔から、暖かい陽の光が好きだった。あの光が、俺の欠点を受け止めてくれる気がしたから。


「色!起きなさい!もう朝ですよ!」その日は、母の声で目が覚めました。目を開けている筈なのに、目の前は真っ暗なまま。それはそうでしょう。私は目が見えないのですから。いつものように、母に手を引かれて一階に降りました。ザーザー…。(!雨が降っている)今日は雨が降っているようです。この音は、昔から私の心を安らかにしてくれます。きっと「綺麗な色」というものをしているのでしょう。私は、いつかその色を目にすることを祈って、今日を生きます。

「行ってきます。お母さん」母に声をかけて家を出ます。「気をつけて行ってらっしゃい」いつもの返事です。その声に少し安心するのも、またいつもことなのです。…私はこう見えても高校生なのですから、母に構ってもらえて嬉しいのは当たり前でしょう。さて、今日は学校へ行くのに歩いて行こうと思っているのですが、少々気になることが…。ぽんぽん。来ました、彼ですね。この方、美音は声が聞こえません。ですので、毎朝会っても会話出来ないのですが…。それでも毎日こちらに来てくれます。『来てくれてくれて嬉しい』と素直に思うことができる相手です。…美音は、雨の色を見たことがあるのでしょうか。羨ましい限りです。いつか、雨の色というものを美音の声で聞くことができたら…。私に夢がひとつ増えました。


ぱちっ…。もう、朝か。まだ眠いが起きなきゃ今日は始まらん。…しょうがねぇ、起きるか。台所へ降りると母さんが朝飯を作ってた。その後ろでは、雨が降っているのが見えた。(ゲッ…雨かよ。テンション下がんじゃん)雨は嫌いだ。色が冷たいから。雨を見ていると、空に突き放されてるようで怖くなる。その点晴れの日のあの光。あれは好きだ。ずっと昔から。そして、ずっと昔からあの暖かい陽の光がどんな音を出すのか聴いてみたかった。…朝飯が出来たようだ。口に頬張ったトーストは、蜂蜜の甘い香りに包まれていた。トントン。ドアを叩いた。これは「行ってきます」を意味する、俺と母さんの間だけで使う暗号だ。母さんが手話を覚え切れてないので、これを使うのが主流になっていた。母さんがこっちを向いてほほ笑んだ。これは「行ってらっしゃい」を意味していた。高校へ向かう途中、いつものあの人を見つけた。思わず肩を叩いてしまった。この人…色さんは目が見えないのだ。俺たちの間に会話はない。でも、なぜかこの時間がたまらなく好きだった。それは、障害を持つ仲間と一緒にいることに安心しているのかもしれないし。あるいは…。いや、考えなくていい。そんなことは今考えることじゃない。…そういえば、色さんは陽の音を聴いたことがあるんだろうか。もし聴いたことがあるなら、色さんの表現で、陽の音を感じてみたい。なんて、わがままだろうか。


その時、2人の前に異質な雰囲気を持った人が現れました。


ー「神様、どうかあの2人に美薬を!」まぶしい光に包まれる天の上、白いワンピースを着た“天使”が声を張り上げています。「…だめだよ。人の人生に僕たちが手を出したらだめなんだ。」神様と呼ばれた幼い子供が優しく返しました。「ですが神様!あの子達は今までどれほどの苦労を味わったか…貴方は知っているでしょう…?」「だめだと、言っているじゃないか。たしかに2人とも辛い人生を送ってきたかも知れないよ。でも、それは2人だけじゃない。それにあの子達は優しさに包まれている。幸せなんだよ。」天使は神様の正論に返すことができません。「…お願いします。あの子たちは私を救ってくれた…恩人なのです。美薬があれば、私はあの子に恩返しができます…。」かすれた声が天の上に静かに響きました。「たしかに美薬は人の欠点を一瞬で治す素晴らしい薬だ。でも、それは人間にとっては良いこととは言えない。あの子達を見守るだけでも充分な恩返しだよ。」『美薬』それは人の悪いところをなんでも治してくれます。自己中な性格を直したり、それこそ耳や目を良くすることも…。「…分かりました。」天使の声が、今度ははっきりと響き渡りました。「分かってくれるか。」続いて神様の安心した声が優しく空気を走りました。「ええ、無理を言って申し訳ありませんでした。…もう神様の手は借りません。ここにある美薬、これを使って彼らを救います。」天使の手には薄く綺麗な水色をした星の形…美薬があります。「…!やめるんだ!それを使えば彼らが自分で成長することが出来なくなる!」神様が声を張りました。「神様、そんな嘘を…つかないでください。あなたを嫌いになってしまいます。」寂しそうな声が神様の耳に、頭に、体全体にこだましました。「…違うんだ。嘘じゃあない…本当なんだ。信じてくれないか。」神様の目から大粒の涙が静かに流れ落ちました。「…残念です。さようなら神様。またいつか。」天使はそう言い放ち、“下”の世界へ降りていきました。後に残された神様は、今まで自分のそばにいてくれたあの天使を思って涙を流し続けました。「止めてくれなかった…信じてくれなかった…なんで…」


私が学校に向かい歩こうとすると、美音に止められました。何かが動く音がします。何があったのでしょう。分かりませんが、ただただ嫌な予感がしました。「色様、どうぞこちらをお飲みください。これはあなたの目を治してくれます!」…何を言っているんだ、この声の持ち主は。そんなことで私の目が治るなら、今頃雨の色を楽しめているだろう。(!)私の口に何かが突っ込まれました。小さくて星の形をした何かが…その何かは口の中に入った瞬間、雪のようにゆっくりほどけ、私の口の中に浸透してしまいました。ぱぁぁ…辺りが一面に白く輝いたとき、俺の目に信じられないものが“見えた”ザーザー…あの音がするのは、この不気味な…これは紫色?なのだろうか。何にせよ汚いものからだった。(…は?なんだこれ!どうなってんだよ!?なんで…俺の目にはこんな明るく汚いものが写ってんだよ!?)私の目には見えるはずのない世界が広がっていました。そして、その美しい世界は私の希望を奪っていきました。(…もしかして…あの俺を今まで励ましてくれた音は…この不気味な世界の音なのか…?)そう思った瞬間、崖から足を踏み外したような、あるいは大金を無くしたような…言葉に表せないほどの絶望を味わいました。「…これが…雨?」のどから微かに漏れた声は聞こえるはずのない兎の声のように小さなものでした。「?ええ、そうですよ。」先程の意味の分からないことを言った声が…いえ、独特な雰囲気をまとった男がそう答えました。(そ…んな…まさか…)私はにわかに信じることが出来ませんでした。だって、あの音が。希望が。こんなに汚いものだと思いたくなかったのです。「…本当に?」「本当ですよ。それがどうかしましたか?」(!…こんな…こんなに怖いものが!俺の心の支えだったなんて…そんなこと!…知りたくなかった)


色さんと歩いていると、目の前に本で読んだ天使のような男が立ちはだかった。瞬間的に色さんを守る体制を作った。(なんだ…この男は。色さんに何か話してる…?)男が何かを告げたその時、色さんの表情が険しくなった。瞬間、その男は色さんの口に何かを突っ込んだ。次にこちらを振り返って…俺の口にも同じものを突っ込んだ。(なんだこいつ!)その何かは綿飴のように溶けて消えてしまった。(しまった!食べてしまった!)ぱぁぁ…そう思った時、俺と色さんを眩しい光が照らした。(?…!痛い)ザーッ…俺の耳に“聞こえた”音は俺の耳を突き刺した。それがあまりに痛く、耳をふさいでよろめいてしまった。(どうなってるんだ…これは…音…なのか?…雨の?)そんなことをぐるぐると考えていると、次第に耳がその音に慣れてきて耳をふさがなくても平気になった。(…ああ、慣れてみたらいい音じゃないか。…凄いな!)初めて音を知った日、ただただ無邪気に喜んでいた(あの雨がこんなにいい音をしているなら…陽の音は…!)そう期待を持ったりもした。翌日、その期待が甚だしく散ることも知らずに。(そうだ!色さん!色さんはどんな表情をしている?)気になって隣を見てみた。(…え?)そこには今まで見た中で一番悲しそうな、苦しそうな、それでいて綺麗な顔があった。予想外だった。俺と同じように喜んでいるかと思っていた。(何があったんだ…色さんにこんな顔をさせやがったものは何なんだ…)そう思った瞬間、さっきまでの楽しさや無邪気さは…怒りにすっかり変換されていた。(こんなことなら…俺も、色さんも、あの星を食べなければ良かったのかもしれない)色さんが食べなければ良かったのはたしかで、俺は色さんのこんな顔を見たくなかった。だから“俺も色さんも食べなければ良かった”と、そう思った。



(ああ、こうなるから。人の希望を…色と美音の希望を奪うから。美薬など使ってはいけなかったのに。)そう思った神様は、上の世界でまた少し涙を流しました。

その涙が、雨となり…“汚い”雨となり、三人の下へ降りていきました。

3500文字ほどあるこの作品…読むのに疲れたでしょう。ここまで読んでくれてありがとうございました!ぜひ、他の作品の子達にも会いにいってやってください!あなたが来てくれたら…すんご~く喜ぶと思います!

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