叫ぶ祭
「埒が明かないね。お互いが邪魔しあったらお互いにとって不利益だと思うからこういうことにしない?」
いつの間に用意してたのか一枚の紙を内田さんが差し出す。紙にはこのように書いてあった。
・一、内田翠、高垣桜の両名は以下に同意し破った場合は各々思う制裁を一回加えていいものとする。
・二、内田翠、高垣桜で担当の日を交互に替えその担当の日はお互い邪魔をしないものとする
・三、文化祭の叫ぶ祭でどちらと付き合いたいか健太に告白してもらい、選んでもらえなかった側はそれ以降のアプローチを禁止する。
「いいじゃないの。一応聞くけどこれは契約書よね?」
「うん、契約書だよ。」
いそいそとペンを取り出しサインしていく。え、俺がなんか景品みたいな扱いになってるけど俺の同意は求められないの?さ、叫ぶ祭か……
叫ぶ祭とは某ほにゃららの主張に影響を受けたであろう過去の文化祭実行委員が作り出したそこそこ歴史のある自分の言いたいことを叫ぶ祭りである。そして、叫ぶ祭は告白の成功率が高いため構成される叫びは告白が中心である。そのため告白祭と呼ぶ人も存在する。よく転校してきた割には知ってたな。まさか一生縁がないと思っていたお祭りに参加することになるとは思わなかった。
別に本当に好きな人なら叫ぶのもやぶさかではないがこいつらあと一カ月間かそこらで好きになるか?まあ、死にたくないので二人が納得している以上俺は付き従うしかない。世知辛すぎだろ!ていうかこいつら俺のこと好きなの?何の取り柄もなくパッとしない容姿の俺が。こんなに奇麗な二人に好かれる理由がマジでわからない。
めっちゃじゃんけんしてる。どうやら今日が担当になる方を両方を狙っているらしい。運を競うっていうか反射神経と動体視力で戦っているように見える。バケモンかよあいつら。
「いや~じゃんけんでも負けるんだね。高垣さん。」
「く~~~」
どうやら今日の担当は内田さんになったらしい。内田さんは先ほどのスキンシップを見るに激しい攻勢に出てきそうだから、好みなこともあり誘惑に耐えられるか心配である。マジで今後どうなっちまうんだ俺は。