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幼馴染との出会い

「はぁ~~~」

 俺は長い溜息を吐く。世の中はゴールデンウイーク、皆が皆家族で楽しそうにイト〇ヨ〇カド〇でショッピングを満喫したり、カップルが街中で楽しそうに闊歩している。家族を事故で亡くした俺は家族でショッピングしたりとか恋人と楽しそうにデートをすることはない。

 最近楽しいこととかないな~半ば厄介払いのように親戚の家から一人暮らしが出来る分のお金は貰っているのでお金で苦労しているとかはないが、孤独で家に居ても楽しくはない。強いて上げるとするなら最近、友達に連れられて適当に名前がカッコイイ『ワールドプレミア』という馬に賭けたら勝ったぐらいである。


「まあ、何はともあれ食材を買わないとな」

 俺は次々に一日分のご飯の食材を籠に放り込み、イト〇ヨ〇カド〇のレジに行く。やはりというかなんというかやったら混んでいてる。しかも、ゴールデンウイーク分の食材を買おうとしているのかまるで芋虫のようなスピードでしかレジの列が進まない。まるで俺が付けている眼鏡が曇っているんじゃないかという錯覚を覚えるほど鬱々とした気持ちでレジに並んでいると、やっと俺の番が来た。珍しく若い人だな。


「お願いします。」

 サービスが良くなる魔法の言葉を口にして‥‥‥

「あれ、健ちゃん‥‥‥?」

「え?」

「ごめんなさい、人違いかもしれないです。」

 え、なんで俺の名前知ってるの!?クラスメートだとしてもこんな美人絶対覚えているはずだし‥‥‥そうだ!偶々けんという所が共通で顔が似ている別人が居たに違いない。

「すいません、あんまり覚えがないんですけど俺のフルネームを言ってもらうことできますか?」

「杉山健太、杉山健太君だよね!本当に覚えてないの?」

 女性はそう問いかけてくる。黒髪が躍動し白い泣きそうな顔を向けてくる。その一連の動作はとても綺麗だなと思った。綺麗に悲しみで歪んだその顔はどこか懐かしいような...気がしたが全く覚えがない。むしろこんなに綺麗な女の子と俺が親しげになる状況が想像出来ない。俺は高校デビューで眼鏡を外し、コンタクトに付け替えたものの結局陰気臭いオーラは変わらず、数人の友人しかいない冴えない高校生だぞ。

「すいません、合っているんですけど覚えてなくて‥‥‥」

「客も押しているので、一つだけ聞かせて下さい。高校はどこですか?」

「都立杉並第三高校だけど?」

「ありがとうございます。またどうぞお越しくださいませ」


 滅茶苦茶真剣に聞いてくるからびっくりしたけど高校聴いてきただけか。正直、連絡先の交換とかかと思ったわ。我ながら突如美少女に自発的に連絡先交換を提案してくる妄想とかキモイ。

 御太郎とゲームをしたりしたが、それ以外は相変わらずのボッチで何事もなくゴールデンウイークは過ぎていき、学校に登校しなければいけない日が来た。


「はぁ~~めんど」

 こういう時に家族が居れば尻をひっ叩いてでも学校に行かせて貰えるのにな。別に登校しなくても怒られるわけではないので更に登校する気が無くなっててしまう。独り身で五月病は死活問題だな。ベットとアロ〇アルファでくっつけられたのかと錯覚するほど重い腰を上げ、学校へ行く準備をする。

「まあ、御太郎と陰夢が待ってるだろうしな!頑張るぞ!!」

 もう大声で気合を入れないとやってられん。何とか遅刻しないかするかの境目の時間に家を出ることに成功すると、家の前に女の子が立っていた。え、御太郎女体化した?それとも、御太郎が陰夢に俺の家を教えて陰夢が女体化したとか?

「おはよう、健ちゃん!遅刻しちゃうから行くよ」

 いや、明らかにこの黒髪ロングでまるで絹のような肌の持ち主は知っている。

「イト〇ヨ〇カド〇の子だ」

「私、イト〇ヨ〇カド〇の娘じゃないよ!私は高垣桜!またよろしくね、健ちゃん」


 これが全く覚えがない幼馴染との再会で、俺の学園生活が大きく変わる瞬間だった。

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