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〈第九話〉我が剣

 頭がしっかりしていき体の感覚が戻ってくる。

すると腕の中に暖かいものがあることを覚える。

たしか昨日はカナデが部屋に来て、

決闘を申し込みに来て、どうにか抑えたのか。

あー、つまりは・・・


 「むっ?ラート、起きたでござるか?

起きたのであればどうにか

この腕を解いて欲しいでござる。」


 「あ、すまない。」


 つまりは、寝てる間に僕はカナデに

抱きついていたということか。


 「・・・っ!///」


 な、なんだ。顔が熱い。

これが羞恥心というものなのだろうか。

僕はこんなに顔が熱いというのに

こいつはなんでこんな平然としているんだ。


 「ラート?大丈夫でござるか?

顔が赤いでござるよ?」


 額を僕にくっつけてくる。近いっ!


 「あっ、なんでそらすでござるか!」


 「う、うるさい!教室にいくぞ!」


 「ま、待つでござる!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 走っている間に風が顔にあたり

冷やしてくれたためか顔の火照りは収まった。


 「はぁはぁ・・・やって追いついたでござる。」


 続けてカナデもやってくる。


 「なんで逃げるでござるか!

もし病にかかっておるとすれば

大変でござるぞっ!」


 「そういうわけじゃないから大丈夫だ。」


 カナデはふくれっ面をしながら

そう言ってきた。僕の気持ちを考えてくれ。


 そう思いながら扉を開けた。

するとそこには数人のクラスメイトと

先生がいた。

その中のクラスメイトが話しかけてくる。


 「きっ、君は確か、灰色の魔術師。

僕の名前は、ふ、フォーセ=サザバトラ。

魔術書の色は、黒だよ、よ、よろしく。」


 そういうと少し大きな制服を纏う少年は

にへらっと柔らかい笑顔を見せた。


 「おいおい!フォーセ!

そいつに話しかけるのはやめよけよ!

魔術書の色が移るぜ!ギャハハハハ!」


 「アルベル、そ、そんなことないよ。

実験の結果に魔術書の色は移らないって、

か、書いてたでしょ、だから」


 「フォーセ、俺の言うこと信じられないのか?」


 こいつ、またやってる。

本の身分がいいからって調子に乗ってるんだ。

やっぱり、変わらないな。


 「アルベル、やめろよ。

フォーセの言ってる通り、魔術書の色は移らない。勉強ができるお前なら知ってるはずだか?」


 「あ?劣等書がイキんなよ。

知ってるぜ?お前、攻撃できないんだろ?

攻撃の出来ねぇ魔術師なんていらねぇよ!

出来損ないめ!ハハハハハハ!」


 「はい、そこまで。喧嘩すんなよ。」


 その声と同時に場の空気が凍った。

大きな気配、教師だ。


 「その元気はこれからやるイベントで

発散して貰おうか?というわけでこれから

魔術師の決闘を始める。

やりてぇやつは手を挙げな。」


 すると全員手を挙げる。

ここが自分の強さを刻みつける

決め所と感じたのだろう。


 「はぁ?全員あげんのかよ。

まぁいいや、カナデ、決闘をやりたいやつ選べ。」


 「む?拙者にござるか?

拙者はラートとやりたいでござる!」


 「OK、ラート、前に出ろ。」


 「はい。」


 カナデの指名が入り先生の前に出る。


 「よーし、移動するぞ。

場所は中庭な?LET'S GO。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「じゃあこれから

カナデとラートの決闘を始める。

それじゃあ両者構えろ。」


 僕は蒼天の剣を抜刀する。

カナデはまだ鞘に納めたまま塚を握っている。


 先生の始めの合図で僕は一気に踏み込んだ。

一気に接近すると同時にカナデが抜刀し

凄い速さで刀を斜めに切りあげる。

それを地面を蹴り、カナデの上を通ることで

どうにか躱した。


 会場からおぉという声が漏れる。


 「やはり拙者が見込んだことはあるでござる。

お主と出会った時のこの胸の高鳴り、

やはり間違いではなかったでござるな。」


 それと同時にカナデの魔力循環が早くなる。

身体強化魔術だ。昨日より精度が上がっている。


 カナデの踏み込みで地が割れた。

ダンという音とともにギラリと煌めく

刃が迫っていた。


 その刀の腹を自分の剣の腹と擦り合わせ

攻撃を逸らした。そして追撃を入れる。


 しかし弾かれる。今のところ勝ち筋が

見つからない。


 「カナデ、魔術をそろそろ使うぞ。」


 「うむ、拙者もそろそろこの状態に

慣れてきたでござる!」


 僕はまず自分の魔力を制御し、中庭に広げた。

そしてカナデに突っ込んでいく。

空中の魔力を凝固させ、即席の足場を作り

カナデの後ろをとった。

剣を振るがそれを防がれる。

するとカナデの刀がとんでもないスピードで

振り下ろされた。

こんなに強く振ったのだ、と反撃。

すると下からの斬撃が飛んできて、

腕にかすり傷を負った。


 「燕返し、決まったり。」


 カナデがニヤッと口角を上げる。

それにつられて僕も口角を上げた。


 あぁ、楽しい。この時間が続けばいいのに。


 僕はまた剣を構え直した。

僕の考えた、新しい型に。



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