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〈第七話〉友との出会い

入学式当日、上級生の魔術のプレゼンで

出迎えられて始まった。


 水魚や炎魚がそれぞれの属性の尾を引き、

植物がうねりそれぞれの魚の道を作る。

水魚が弾けたかと思うと氷の結晶ができ、

炎魚がそれにぶつかり爆散、キラキラと宙に舞った。周りから拍手が送られる。


 そうして先生の話が始まる。


 「あー、お前ら、この名門校カルトルミア学園に入学おめでとう。

しかしこの学校に入ったからって傲慢になっちゃならねぇ、特に特待生、毎年言ってるが上級生に喧嘩売るなよ、絶対負けるからな。

そのせいでこちとらお前らの保護者に

いちいちペコペコしなきゃなんねぇんだよ、めんどくせぇ。わかったな?それじゃあ会場に。」


 そう言うと床に魔法陣が出現し

料理の並ぶ会場へと案内された。


 「さて、そんなことはさておきだ!

入学祝いに食え!騒げ!以上だ!

食いすぎて明日授業に出られませんは勘弁な!

それじゃあ先生、席外すわ。喧嘩すんなよー!」


 そんな先生の冗談交じりの話が終わり、

僕はさっきの魔術の解析を始めた。


 さっきの魔術は、誰かの魔術だろうか?

いや、あの規模の転移魔術を使うとなると

そうとうな魔力と魔術の技量が必要になる。

しかも丁度席の上となると・・・

少しでも狂えば腕や足がちぎれるというのに。

いやまさか書いたのか、あの大規模の術式を。

しかしそれは会場の魔力を使うことになるし

僕の魔力もひとつも減っていない、となると


 「おーい、ラート?何ブツブツ言ってるの?」


 その声で意識を戻される、シャープだ。

いつの間にか同じ席に座っている。


 「あぁ・・・さっきの転移魔術の解析をだな。」


 「いや!生真面目すぎ!騒ごうよ!

ほら、君の分も持ってきたし!」


 シャープは2皿持っていて

どちらも肉ばっかりをトッピングしていた。


 「おい、バランスが悪いぞ、野菜も入れろ。

あと炭水化物もだ。確かに肉も栄養があるかも

しれないが、タンパク質を基礎代謝量として

使うのはとてつもなく勿体ない。」


 「なっ、またそういうこと言う・・・」


 「そーだぞ、好きなもん食えよ。

パーッと騒ごうぜ。先生もそう言ってたし。」


 そう言いながら同じ席に座っている体格のいい

男がいた。いや、普通断ってから座るだろ?

何勝手に座ってるんだか。


 「すまん、自己紹介が遅れた。

俺の名はラバー=サラレベル。お前らと同じ

一般特待生だ。ちなみに本の色は緑と青の混交。

よろしくな。」


 こいつも特待生か。知っている中で今のところ

僕を入れて5人か。あと知らない奴が5人。どこだろうか。


 「私の名前はシャープ=アルカナル!

本の色は水色よ!よろしくね!

彼はラート=ホーバル!

なんと本の色は灰色!すごくない?」


 「おい、シャープ。個人情報を流すな。」


 マズイな、本の色が灰色と知れ渡れば

流石に襲撃に会いかねない。

返り討ちにすればいいだけの話なのだが。


 「ほう、灰色で入学したのか、凄いなそれは!

魔術書は何ページ埋まってるんだ?

内容は?どんな戦闘形式だ?

ちなみにウチの父ちゃん母ちゃんも灰色なんだけどよ!全部畑仕事に極振りだぜ?面白いだろ!」


 「なんだそれは、いや確かに灰色の本は

そういう事に特化すると聞いたことがある。

情報ありがとう、その道を考えておく。」


 「いや、真似しなくていいから!」


 シャープとラバーか、覚えておいていいかもしれない。

もしこいつらの魔術を模倣できたとすれば、

もしかしたら僕は出来損ないなんて言われない

かもしれないし、何故か一緒にいると楽しい。


 「失礼いたす!」


 声が響いた、僕と対象の席に座る。

女の子だ。髪を後ろに束ねている。

制服を着ているが、少し違う。

あれは確か袴だ。本で読んだことはあるが

実物を見たのは初めてだ。

あの細長い剣は刀というらしい。

あんなもので打ち合ってよく折れないものだ。


 「拙者、鈴乃奏でござる!お主らの名は

なんと申すか。」


 「ラート=ホーバル、よろしく。」


 「シャープ=アルカナル、よろしくね!」


 「ラバー=サラレベルだ!よろしくな!」


 「うむ!ラート、シャープ、ラバーと申すのか!宜しくお願いいたす!」


 この喋り方とその剣は東方の出身か。

剣豪なことで有名な地域だが何故魔術学園に、

東方の剣士がいるのだろうか。


 「拙者、推薦特待生でござるが、お主らも

特待生と聞き申した。あまりこちらのマヤカシのことは分からぬゆえ。色々と学ばせて貰うでござる!」


 こいつも特待生、しかも推薦。

本の色は何色だろうか。


 「カナデ!本の色は何色?」


 シャープが一気に踏み込んだ。

正直こんなことは出来ないので羨ましい。


 「本にござるか?拙者の本はこれにござる。」


 そういうとカナデは本を差し出してきた。

どこまでも白い、真っ白な白い本。

白の本は、確か身体強化に特化した魔術。

面白い。身体能力が元々高い東方の剣士に

この魔術書の身体強化を使えば遥かに強い攻撃を

繰り出すことが出来るだろう。


 「真っ白!凄い!珍しい本じゃない!」


 「そうでござろうか?

拙者そういう事は分からぬゆえ。

この部分習っておらぬでござる。

如何様な意味なのか。教えてはくださらぬか?」


 「え、何それ。意味分からない文章って

魔術書にはないんじゃないの。

なになに、魔力の循環により心身の力が強まる。

これが強化魔術の基本である。なるほど?」


 おい、その内容は確か1年の終わりで習う

ものじゃないか。それは分からないわけだ。

これは実践してみた方が早いが、理解出来ないとなると体感するしかないか。


 「カナデ、触るぞ。」


 カナデの背中に触り魔力の流れを促す。


 「ん、なんでござろうか。

心臓の鼓動が強くなっているでござる。」


 やはり感がいい。身体で覚えるタイプだ。


 「そう、これが魔力の呼吸。

体内での循環を加速させるんだ。やってみろ。」


 「こうでござるか?」


 そういうとカナデが目を閉じると同時に

魔力に流れが生まれる。


 「そうだ、それを続ける。」


 「なるほど、これが魔力の循環でござるな。

かたじけない、ラート殿。」


 「ラートでいいよ、面白いもの見せてもらったしね。」


 




 

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