~転生したら人格が1つ増えた件について~
本作品は二人三脚で執筆していく。
つまり作者は2人いるのである!
我々は執筆前に6面ダイスを2つ振り、合計の目が12になったときこの物語は幕を閉じる。
その日、私はガーデニングに精を出していた。
庭師の高木じいさんと一緒に鎌で根っこから雑草をむしっていたのだ。
高木じいさんも頑張っているし、私も頑張って草むしりをした。
ガーデニングって花に水をやったりするだけの、簡単なものと思っていたが大間違いだった。
ボケ始めた高木じいさんは私を孫かなにかと勘違いして盛大にコキつかった。その結果が雑草むしりである。
雇われている家の令嬢に鎌を使って雑草をむしらせる使用人はそういないだろう。
ボケ始めた高木じいさんならではの愚挙であった。
なんの変哲もない日常。
額ににじむ汗を裾で拭い、ふと空を仰ぐ。
うーんいい天気だなあなんて思って座ったまま背伸びをしたら、バランスを崩してそのまま後ろに倒れ込んでしまった。うん、ここまでは良かった。
ダメだったのは、倒れ込んだその先にあったベンチに頭を打ったこと。
いやいや、ここまではまだ「いたっ」ってくらいでまだよかった。
本当に駄目だったのは、ベンチが揺れたことで上に置かれていた鉢植えが倒れ、私の顔面に落下したことである。
◇◇◇
私は花鳥 風月、12歳。
中学入学前の春休みを満喫するありふれた名家の令嬢だ。
名前は酔っぱらった祖父が勢いでつけた。
祖父はアンティーク家具の輸入事業で花鳥家を一気に盛り上げた猛者であり、その命名に反論を唱える者などいなかったんだとか。
ちなみに祖父とこの日晩酌をしていた相手は庭師の高木じいさんである。
私の名を見た者は誰もが「あ、かちょうふうげつ!」なんて言って指をさす。
早くも中学の入学式が憂鬱であった。
だから、現実逃避というか、暇つぶしというか、そういう軽い気持ちでガーデニングを手伝っていたのだ。
それが、新たな憂鬱を増やすとは知らずに。
その日、私の顔面に鉢植えが落っこちた。