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急展開

 アストリットと初めて長く話し込み、時に笑い、時に後悔し、ロケウやツーコン、フジさんとの出会い、カムイの民たちとのやり取り……長い開拓の日々を話し思い返しながら、ハジキも銃の整備の手を止め会話に加わり、数日の馬車の行軍はあっという間に過ぎていった。


「英雄の皆さん、もうそろそろキョトーに着きますよ」


 寂しくも、御者から嬉しそうにそんな声がかかった。


「ユメ、最初に顔を出すのはやっぱり軍か?」

「できればとっつぁんの店に寄っていきたいんだけどな」

「……ウェッソン、元気かな」


 ハジキも珍しく感傷的につぶやく。


 そんな話をしていると御者から直接軍の敷地内に案内するように指示を受けている旨が告げられた。


 魅惑の乾酪亭。

 ジャンク屋・スミス。

 唯一神教の小さな神殿。

 孤児院……。


 行きたいところ、行くべきところは山ほどあったが、自分たちが公務で動いている以上、軍、つまり政府の意向は無碍にできない。


「皆への挨拶は後よ。残念だけど、まずは義務を果たさなきゃ」

「ちぇっ」


 ヒロイが舌打ちする。


 そう言えば、彼女には帰る家があるそうだが、自由時間がもらえたら帰るつもりだったのだろうか?


 考えている間に軍、つまり巨塔の根本まで馬車は辿り着いていた。


「着きましたよ、皆さん。まずは魔法顧問長にご挨拶して下さい」

「げっ、アイツかよ。できれば一番会いたくない奴に最初に会うのかよ」


 これはヨルの文句だ。


 正直、ユメも同じ気持ちだった。


「さあ、降りてください。足元に気を付けて」

「送ってくれてありがとうございました」


 御者に礼を言いながら降りようとすると、その御者が自分の顔を突如べりっとめくった。


 剝がされた顔の下から出てきた顔はユメたちもよく知った顔であった。


 魔法顧問長・トータル・モータル・エルダードラゴン、通称トモエ。


 ……の仮の顔、整った女性の顔がそこにはあった。


 ル〇ン三世かなにかかこいつは。


「あーん、やっと言えるワネお久シブリ~! 馬車での会話、ずっと聞かせてもらってたけど、楽しかったわよ~」

「ちょっと、あなたが御者だったならわたしたちテレポートでも何でも使ってキョトーに帰れたんじゃないの?」

「あたし、リモーアにもゾーエにも行ったことなかったのよ。だから迎えに行ったわけ。それにこれでテレポートでいつでもゾーエまでは行けるようになったしね」


 テレポートやワープの魔法は自分が一度そこに行ったことがある必要がある。つまりトモエは帰りはキョトーまでユメたちを連れてテレポートできたくせに、わざわざ馬車を使ったのだ。


 気になることが増えた。


「てめえ、まさかあたしらの北伐の成果を見にゾーエに来たんじゃないだろうな?」

「それもあるけど、一番の目的は旅行ね。リモーアのスガーユ温泉にも、スターホールの、今はホクトだったかしら、のワカノユ温泉にも一度入ってみたかったのよ。温泉に浸かりながらユメちゃんたちがキョトーに帰る気になるのを待ってた訳」

「けっ、相変わらずふざけた野郎だ」


 トモエはヨルの文句をいなすと、そこでおちゃらけた態度を正し、こっちをまっすぐ見据えて、ユメたちに告げる。


「で、天上帝からもう四つ目の功績としてゾーエの北伐は成ったとお言葉を賜ったわ。希望するなら今からでも謁見するために巨塔を登っていいわよ」

「ざけんな、それってテメエと戦うってことじゃねえか」

「そうよ~。天上帝の寝所への扉の門番はあたしだもの」

「ちょっと状況を整理させてください」


 ユメはトモエとヨルの言い合いに割り込んで落ち着こうとした。

世界観補足説明


地名説明:

スガーユ温泉…青森の酸ヶ湯温泉から

ワカノユ温泉…函館の湯の川温泉から


魔法説明:

テレポート:生物をいったん粒子に分解してから移動先で再構築する光の最上級魔法。ようするにドラクエのルーラ。

ワープ:行ったことがある場所同士をつなぐ扉を作り出す闇の魔法。難易度はテレポートと同程度で魔王のような最上位魔族が使う。

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