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凱旋 ~様々な思いを乗せて~

これにて第二章完です。

次は間が空くと思いますが気長にお待ちください。

「……私、ユメが早く死ぬのは嫌だもの。ただでさえ私より寿命が短いのに」


 そう言ってハジキはユメを抱きしめた。ユメはいつかハジキがそうしてくれたように自分も背に手を回して抱きしめ返す。


「大丈夫、自分から命を投げ捨てるようなことはしないよ。ただ、今回はああでもしないと殺されちゃいそうだったから」


「……もし、次に竜の力が必要になったら、私が宝石を飲む。まだ寿命は四百年くらい残ってるもの」


 抱きしめる力を強め、ハジキが魔族ならではのことを言う。


 ユメはハジキを離して優しく銀の髪を撫でてから告げた。


「ありがとう。でもなるべくそんな日が来ないといいね」


 そこで、オトメもユメを抱きしめる。


「いや、ですよ。わたくし、ユメさんが皆を置いて先に死んでしまわれるなんて」


「大丈夫だって。先に死なないためにこんな最後の手段を使ってるんだもの。それにわたしの目標は両親に恥じない冒険者になること!」


「そういえばユメさんの故郷は港町ガサキでしたわね」


 オトメはユメを離し、頬を伝っていた涙をぬぐい、そう言った。


「南のシューキュ島にあるナパジェイで唯一外交を行っている街でしたわね。これでコンサド島のカムイの民はナパジェイの民になったわけですけど、この成果をもって一度帝都へ帰りませんこと? もうこちらからお願いしなくてもどんどんリモーアからホクトへ人は渡ってきて開拓としてはひと段落していますわ」


 オトメの言うことももっともだった。


 ゾーエにどれくらいカムイの民がいるのかは知らないが、ほどなくカムイの民たちには情報が行き渡るはずだ。一度経過報告に戻ったほうがいいかもしれない。


 現状の事実上ゾーエの領都はホクトだ。しかし、カムイの民が味方に付いた以上、カムイコタンを中心地とした方が政治的にはうまくいくかもしれない。


 その辺を政治家連中と一度深く詰め直した方がいいだろう。


 その前にスターホールの城に帰って自分たちが一度本島に帰る旨を各村の村長に伝えておいた方がいい。ちなみに、スターホールの城には月に一回各村……いやもう町と言った方がいい規模かもしれない、の長が集まって合議制でホクト地方の政治は決められているのだ。


 冒険者としての自分たちの仕事はここまでだろう。


 帰ろう、もう何年も帰っていない気がする懐かしい帝都へ。



 ユメたちはスターホールの城主に再度任命したブヨーに後のことをくれぐれ頼むと言い置いてゾーエの地を発つことにした。


 ブヨーも雑用をこなすうちにかなり謙虚になってきて、ユメたちにも従順になっている。


 基本的な方針はカムイの民と揉め事を起こさないことだ。


 本当ならカムイの巫女になったユメが残り、カムイの民をまとめ上げればいいのだが、それはまだ存命の先代の老巫女に任せた。


 そんな風にカムイの現地民とナパジェイからの移民の折衝をユメたち抜きでもうまく回るようになるまでにまた一年ほどかかった。


 ホクト地方で採れた米とカムイの民たちが作った干し鮭を交換したり、争いが起きそうになったら止めたり。


 やらねばならないことは山積みだった。


 その全てを文章に起こしていたら本が一冊出来上がってしまいそうなので、実はユメはここゾーエに来てから手記を書き溜めていた。


 トモエ辺りに読ませたらさぞ喜ぶだろう。


 さておき、ゾーエでの二年の体験はユメたちを一皮も二皮も剥けさせた。


 戦闘スキルはさることながら、生活力がグンと向上した。


 戦いの訓練の相手になってくれたのは主にロケウだ。


 彼の強さは創造主であるツーコンの想定をはるかに超えており、女子力バスターズにアストリットを加えた七人を相手にしても引けを取らなかった。


 そういえば、ずっとナパジェイのゾーエ北伐を妨げていたツーコンであるが。


 彼の作った薬は開拓民にもカムイの民にも非常に好評で、ツーコン自身も非常に満足していた。とてもナパジェイからの冒険者の頭蓋骨を手当たり次第にくり抜いてモンスターの脳として移植していた人物とは思えない。


 さて、全ての問題は片付いた。


 スターホールの城で組み立てた七人乗りの馬車に、ゾーエ産の名馬二頭に引かせることにして、それがまるまる載る船を組み立てて。


 漕ぎ出す。


 リモーアへ、ナパジェイ本島へ、キョトーへ。


「ある魔法少女が、差別なきセカイではみ出し者だらけのPTを集めて冒険者として生き抜く物語」

第二章 完

裏設定ではハジキはユメに恋心に近い感情を抱いています。

ただ、あからさまに百合ものっぽい小説にするのも嫌だったので「ガールズラブ要素」に留めました。

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