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氷上の決戦

お待たせしました。

『さあ、実況。皆が待ってるわよ。可愛い可愛い女の子たちしかいない決勝戦を』


 常に声を張り上げている実況に、トモエは頬に手を当てながらうっとりと告げる。


 正体は何千年も生きているであろう死にかけのドラゴンのはずなのだが、人間や亜人や魔族やエルフに欲情できるものなのだろうか。ユメにはまず性別が雄だということもよく分からない。


『あっ、そうでした! 決勝戦を開始いたしまーーーす! チーム・女子力バスターズVSソロの冒険者、エルフのアストリット選手です! なんと全員女! 両者前へっ!!』


 ついに、泣いても笑っても最後。


 アストリットとの戦いが始まってしまう。


 だが、ユメたちは今までの相手のようにあっさり負けてやるわけにはいかない。そのために、考えうる限りの作戦を立てたのだから。


 六人は威風堂々と試合会場に立つ――。


 目の前には相変わらず素顔を隠すようにフードとマントで身を包んだアストリットがいる。


『もう何も語ることはありません! 試合開――――――――――――――始!!』


「レビテーション!」


 試合が始まると同時、ユメは自分を含めたチームメンバー六人に風の浮遊魔法をかけた!


 ふわり、と六人は一メートルほど宙に浮かぶ。


「スイちゃん!」


「了解! 全力全開! A級宝石でクリエイトウォーター!」


 スイが魔法を唱えると、その掌から大量のただの水がザブン!と溢れんばかりに出てきて試合会場を水浸しにする。


 そのときにはすでにアストリットは地面に十粒ほどの種を蒔き、ウッドフォークを召喚しようとしていた。


 「間に合え! フリージング!」


 スイが生み出した大量の水がユメの放った凍結魔法でものすごい勢いで凍っていく。


 魔法の同時行使の限界が来て、ユメが使ったレビテーションの効果が切れ、六人は氷の上に着地した。


 さすがにアストリットがウッドフォークを召喚しきる前に会場全体を凍らせることはできなかったようで、二体のウッドフォークが氷の床を破ってこちらに迫る。


 だが、そいつらの一体がハジキがライフル銃から連射された銃弾でまさしく木っ端みじんになる。


「……切り札」


 この散弾を一か所に連発するのはハジキにとって本人が言うように切り札だったらしく、一回使っただけで銃身が焼け付いて使い物にならなくなってしまった。


 足場が悪いので、ヨルが迫りくるもう一体のウッドフォークの伸びる枝を避けそこなった。


 バチン!と激しい音が響き、吹き飛ぶ。


 しかし、オトメがその場でヒールレーザーを飛ばし、その傷を癒す。


 本来回復魔法というものは対象に接触し効果を発揮するものだが、レーザーよろしく遠くの相手に光を飛ばして癒すことも技量によっては可能だ。これもオトメが厳しい修行の中で身に着けたものだろう。


 ヨルも、ただではやられず、短刀の一本をウッドフォークの幹に突き立て、氷の上でも引き剥がされないように食いついた。


 そして、ウッドフォークを組み伏せたそのままの姿勢ですいーっ、と氷の上をアストリットのいるところまで滑っていく。


 アストリットは氷の上にはさすがにウッドフォークを生やすことはできないらしく、歯噛みしている様子が見て取れる。


 ユメやスイならこの程度の厚さの氷なら即座に炎の魔法で溶かし、石畳ごと破壊し、土を剥き出しにし、そこに種を植え、ウッドフォークの量産化を図るのだろうが、やはり彼女は宝石を使った普通の魔法は使えない様だ。


 ヨルは滑走しながら、自由な方の手に持った短刀でウッドフォークを切り刻む!


 木は炎を使えば燃やせるかもしれないが、ここで炎の魔法を使う訳にはいかない。

 氷が解けて、アストリットにウッドフォークを召喚させる隙を与えてしまうからだ。


 試合会場はこのまま氷漬けにしておかねばならない。

世界観補足説明


魔法の説明

レビテーション:FFやスレイヤーズでもお馴染みの浮遊の魔法。

フリージング:冷気を発して凍らせる魔法。正確を記せば分子の動きを止めて温度を下げる魔法。

ヒールレーザー:癒しの光を飛ばす回復魔法。光の属性だが、キュアライトと違い遠く離れた相手にも使えるのが利点。

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