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立ちふさがる壁

やっと改稿時点に追いつきました。

 チーム・イニティウムは女子力バスターズにろくな反撃をすることもできず、さらに前に出たヒロイとヨルに後衛をざく切りにされ、スイのエクスプロージョンの魔法をまともに浴びた。


 ドッカーーーーーン!


 哀れチーム・イニティウムは四方へ散り散りになる。


 そして、これは自分も攻撃に回ったほうがいいと判断したユメは赤の宝石を取り出した。


 その頃にはハジキがサンダーエンチャントをかけた弾丸を敵全員の足に当てていて起き上がれなくなっていたし、オトメさえ光魔法のレイを詠唱していた。彼女もメイスを構えての突貫癖はなりを潜め、遠距離から魔法で攻撃するつもりだろう。


 それはユメとて同じ。


「ファイアーボール!」


「まっ、待ってくれ! 降参だ! 降参する!!」


 リーダーと思しき男が慌てて両手を上げながらそう言う。


 だが、ユメの放った火球は降参を告げた相手を含め全員に直撃し、あっという間に火だるまにしてしまった。


(師匠……、わたし、最初の教えを速攻で破ってしまったんですけど……)


 この試合でどこで仲間のために魔法を使えたのか非常に疑問だ。最初に補助のバフをかけたくらいではないか。


『決着うううう! 勝者は女子力バスターズ、女子力バスターズです! 準々決勝にコマを進めました! いやー、あっという間の勝負でしたねえ!! 今担架を抱えた救護班が黒焦げのチーム・イニティウムの選手を運んでいきます』


 実況が高らかにそう宣言する。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 沸き立つ歓声。


『解説のトモエさんの言う通りの試合運びとなってしまいましたねえ!! まさに機先を制した女子力が勝ちをもぎ取りました! 果たして女子力バスターズ、このままの勢いで優勝まで突っ走ってしまうのか!?』


 しかし、解説のトモエはハイテンションなハーピー亜人の実況を制して付け加えた。


『でも、次はそう簡単にはいかないと思うわよ、なにせ相手が軍所属の冒険者集団だからねえ』


『へっ? でもこれってトーナメント戦なんじゃ?』


『本戦参加チームは実は十五チームなの』


『おおっと、これは実況席まで伝わっていなかった情報! それだと、トーナメントにチーム数が足りなくないですか!?』


『次に出てくるチームは一回戦もシードで勝ち扱い、優勝候補の一角、ヘル・ウォールズよ。おそらく女子力バスターズの次なる試練は、かの軍最硬を誇るあのチームでしょうね』


「おめでとー! 結婚してくれー!」


「次の試合も楽しみにしてるぜー」


「スイちゃん俺も爆発させてくれー。そうすりゃ俺もリア充だー!」


 相変わらずのふざけた歓声を浴びながら控え室へ戻っていく女子力バスターズ一行。しかし、控え室には先客がいた。


 甲冑に身を包んだいかつい六人組だ。


「ま、まずはおめでとさん、あんたらみたいなキレイどころを潰すと俺たちの株もまた上がりそうだぜ」


「酒場所属の冒険者なんてやってないで、お酌でもしててくれよ。その方が国のためになるぜ、きっと」


「薄着でダンスでも披露しててくれてもいいかもな! それにしては全員ガキ過ぎるか」


 真っ黒な鎧に身を包んだ甲冑姿の、男――だろう、声からして――が歩いてきた女子力バスターズにそう言ったあと、全員で「がはははは」と笑った。


 なんという下卑た連中だろう。ナパジェイの軍人は皆こんな感じなのだろうか。


 ナパジェイは人材登用に「力」を重視し過ぎるがゆえに、「人格」を軽視しているのではないだろうか。


 実は、ユメは彼ら――ヘル・ウォールズの噂は聞いたことがあった。


 屈強な男たちが分厚い金属製の鎧に身を包んで盾となり、しかも盾で攻撃も弾きつつ、格好に似合わない俊敏な動きで回避もするため、ほとんどの冒険を無傷で帰ってくるという、猛者中の猛者だ。

 本戦までシードにされるというのも納得だ。


 軍人でありながら、冒険者としての仕事もこなす異色の連中で、攻撃を担うのは甲冑の後ろに控えた魔法戦士たち。魔法戦士は前には出ず、常に盾役に守られながら強力な魔法で攻めるという。


 攻撃を受け止める役の連中も腰に剣をさしている。腕前もそれなりにあるはずだ。


 たしかに、一回戦のように簡単には勝たせてもらえない相手のようだった。

世界観補足


チーム名由来

ヘル・ウォールズ:ゲーム、フロントミッション及びロマサガ3に出てくる「じごくの壁」の英訳。戦術はまるで違います。

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