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次なる冒険への道

時代設定ごちゃごちゃなのであまり現実の日本と比較して考えないでください。

 ナパジェイ帝国。なにもそこは暴力のみが支配しているわけではない。

 しかし、どのような者でもある程度の暴力を持たねば生き抜いていけないのも事実だ。



「女子力バスターズ」として正式にパーティ名を名乗り一か月、「魅惑の乾酪亭」に張り出される程度の依頼なら楽勝でこなせるようになってき、指名での依頼も時折入るようになってきた頃、それでも、「女子力バスターズ」はウラカサ一味打倒以降、天上帝のお眼鏡に適うほどの大きな依頼を達成できずにいた。


 あと三つ、大きな依頼をこなすこと。


 いや、トータル・モータル・エルダードラゴンを倒すことが一つと考えれば今の実力ではどう考えても不足であった。


 いっそ大陸の大国との戦争でも起こってくれれば、傭兵として戦争に参加し、大きな戦果を挙げる機会もあろうというものだが、ナパジェイという国は他国に対して、「決して攻め込まない」と憲法で定めている。


 また、モンスターやアンデッドを配下にしたナパジェイの軍事力を知っていてわざわざ攻め込んでくる国もない。


 結論として、少なくとも近い将来では他国との戦争など起こりようもないのである。


 よって、国是に反発する勢力を潰すのが冒険者の主な仕事なわけだが、こないだのウラカサでも比較的大物の部類に入る。


 それ以外となると、未開地帯になっている北のコンサド島を主としたゾーエ地域の開拓にでも参加しない限り大きな功績を立てられそうにない。


 しかし、ゾーエ地区は屈強なナパジェイの冒険者たちが開拓に向かい、多数返り討ちにあっている危険極まりない地方である。


 北伐しながら開拓するには今のユメたちではまだ実力が足りなさそうのである。


 そんなことに悩みながら、ユメは冒険の合間に仕上げたトモエから依頼された写本を閉じたのだった。


 彼女、いや彼は、暇つぶしのように女子力バスターズに小さな依頼を持ってくる。


 いい小遣い稼ぎになるのでユメたちも無碍にはできないでいるのだがこんな依頼ばかりをこなしていては当の本人が言っていたあと三の大きな依頼をこなして天上帝に謁見することなど、いつになるやら想像もつかない。


「やっぱり、北伐しかないか!」


 これまで、どんな冒険者が向かっても現地住民や土着モンスターにやられて帰ってきてしまったというゾーエへの開拓事業。


 そもそもゾーエのほとんどを占めるコンサド島はナパジェイ列島にありながらその実態がよく分かっていない。


 シコク島のようにナパジェイの管理下にあり、モンスターの居住区になっているわけでもなく、そこに住んでいる住人たちにナパジェイ国民という自覚があるかどうか定かではないという。


 彼らを味方につけられれば皇帝も満足のいく戦果を挙げられたということになるだろう。


 こんなことを考えていることを母に手紙で相談したらきっと反対されるだろう。


『ママ、わたし達これからナパジェイで一番危険でよく分かってない島に行ってくるね』


 なんて書いたら母は帝都へすっ飛んできて止めかねない。


 だからこそ、そんな危険な地帯へ行っても簡単に殺されないだけの実力を身に着ける必要があるのだ。


 そこで、ユメはナパジェイの魔法顧問であるスイの母親に魔法の稽古をつけてもらう話を現実的に考え始めた。


 これまで、なんとなく相手の立場の大きさもあって後回しにしてしまっていたのだ。


 魔法を習うのであれば、スイは勿論のこと、オトメも連れて行った方がいいだろうか。


 そういえば、話は変わるが、オトメの説法の件であるが。


 オトメは冒険の合間を縫って、今も唯一神教の教会で説法を続けている。


 人間とは現金なもので、オトメが冒険者として有名になると、割と真面目に説法を聞く信者も現れ始めたという。


 さておき、まずはスイから彼女の母に話をつけてもらうのがいいだろう。


「うん、いいよー」


 別室で冒険譚を読んでいたスイに話を持って行くと、二つ返事だった。


 ちなみに、オトメはアシズリ司祭からより高等な回復魔法や神聖魔法を習うそうで、スイの母親に師事してもらう件に関しては断られた。


 ☆


 さて、スイの母こと、クリス・ショウ女史に魔法を習いに行く当日はほどなく訪れた。


 場所は、なんと巨塔の中に呼ばれた。なんでも、直接教えはしなくてもスイの父、クォーツ・ショウが修行の様子を見ていたいからだそうで、ユメは緊張したが、こちらには断る権利もない。


 これだけでも結構修行になるんじゃないだろうかと言いたくなるほどの長い螺旋階段を上っていき、とうとうユメとスイはクォーツ・クリス夫妻が待ち受けるであろう巨塔内の部屋の扉の前まで辿り着いた。


すると、ノブに手をかける前にドアの方が勝手に開いた。


「やーん、ユメちゃんオヒサシブリ~!」


 そんなことを言って抱き着こうとしてくる人物がいきなり現れたのでユメは反射的にかわした。


「はい、頼まれてた写本ですよ。トモエ魔法顧問長」


 写本をついでに持って来いと言われていた時点で何となく予想がついていたので、ユメはなるべく感情を出さずに写本と原本を差し出した。


「もう、お偉いさんの暇つぶしに少しくらい付き合ってくれてもいいのにぃ」


「お偉いさんならもう少しそれらしい態度を取ってください」


 二冊の本を受け取るとトモエは本当にそれだけの用事だったらしく、素直に立ち去った。

世界観補足


地名の由来

ゾーエ地区:蝦夷の逆さ読みから。

コンサド島:道産子の逆さ読みから。

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