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道すがらの障害

戦闘シーンを書くのは、実は苦手です……

 ユメたちはいかにも怪しい、猫だか人だか、とにかく探し屋から情報を買うことにした。


 単純に、冒険がしたかったし、新メンバーオトメの実力も確かめたかったからだ。


「分かった。情報を買うわ。いくら?」


「D級宝石五つ。初心者価格、初めて価格でまけておくにゃ。木刀級まで混ざってそうな初心者から巻き上げたなんて評判が立ったらあたしも商売あがったりにゃ」


「ねえ、こういう場合ってパーティで割り勘が基本よね?」


「この機会にパーティの共有財産でも作ったらどうだ?」


「そうね。それは後ほど考えるとして、まず一人一つ出して、残りはわたしが出して、あとで皆で割りましょう」


 そう言って、この場は丸く収めるべくユメが一個多めに出した。


 元々、使用頻度から言って一番宝石を持っているのはユメなのだ。


 普段は口うるさいオトメも冒険者の流儀に関しては一切口を出さなかった。言ってみれば、これが彼女の冒険者としての初仕事になるわけだから。


「たしかに。じゃあ情報を売るにゃ」


 宝石を受け取り、首から提げていた袋に収めたサガは語りだした。


「ここから帝都キョトーを出て北。街道を徒歩二日くらいのところの方角看板を東に曲がって三日くらいの場所に滅ぼされた……洞窟? 遺跡……? があったにゃ。たぶん、滅ぼされたときのまま。もちろんあたしは一切手をつけてないにゃ」


 どうやら滅んでしまっているのでそもそも何なのかは、実物を見てきたサガにも測りかねるようだ。


「人を襲いそうな迷惑なモンスターが根城にしてたら退治するもよし、交渉か探索して換金できそうなアイテムがあったら持って帰ってくるもよし」


「せっかく行くならそれ全部やるだな」


「『戦利品』も全部持ち帰るつもりなら馬車を借りて行くことをオススメするにゃ」


 そこでヒロイが目をギラリと光らせる。


「もし、嘘だった場合の落とし前は?」


「もちろん、先取りされてたり、あんたらが見つけられなかったら、話はそれまでにゃ。あたしはなーんにも責任持たないにゃ♪」


「てめっ」


 ヒロイは腰の刀に手をかけかけたが、ヨルが制した。


「やめとけ。こいつには、あたしら四人がかりでもかすりもしねーよ」


「にゃはははは、謙遜しなくてもいいにゃ。あたしが油断しまくってる今なら全員が命がけで来るなら一発くらい当たるかもしれないよ?」


「ほらな。こいつは探し屋なんて危ない橋を独りで渡ってるんだ。それより、話によれば見つけられてから五日は経ってる。早く出発しようぜ」


 理性より野性の勘で判断するヨルらしい意見だった。


 この間にも日光を嫌うモンスターが巣窟にしてるかもしれない。


「じゃ、貸し馬車屋に行ってから北門へ行こうか」


 ユメがそう話をまとめると他の三人も頷いた。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 馬車を借りて出発して丸一日。


 話を聞いたその日は脅威らしい脅威に遭わなかった。


 馬車なのでサガが言っていた行程より早く着きそうだったので、夜は交代で見張りを立てながら荷台の中で寝泊りした。


 オトメあたりがまた文句を言い出すかと思ったが、別に冒険に関しては口を出すつもりもないし、ほぼ野宿なこの状況でも何を言うでもなかった。


 ただ、出発する前にアシズリ司祭に頼んでおいた神殿の花壇にあげる水の心配だけはしていた。


 本当に名前の通り、乙女チックな娘である。


 そんな事を考えながらユメが見張りを終え荷台に戻りうとうとしていると、次に見張りに立ったヒロイの声が聞こえた。


「起きろお前ら、ドヴェルグの群れだ」


 ドヴェルグとはダークドワーフとも呼ばれる、ある程度知能を持った、かつ人間に敵対するモンスターである。


 普通のドワーフであれば人間とは話は通じるが、ドヴェルグだとユメたちを見つけたら見逃すとは思いにくい。


「馬車だ、馬車があるぞ」


「居るのは人間か?」


「どういうわけだか、竜人が見える」


「なんだそりゃ、どういうことだ」


 ユメたち四人は荷台から飛び出して、眠い頭を無理やり起こして迎え撃つ準備をした。


 数は五人ほど。全員が斧で武装している。


 おそらくこの辺に集落でもあり、その見張りだろう。


「先手必勝! フレア・ボム!」


 ユメはためらわず、魔法を叩き込んだ。その隙にヒロイとヨルは距離を詰め、斬りかかっている。


「いちにの、さん!」


「仕留めきってねえよ! トドメだ!」


 ヨルの先制攻撃では新品の剣とはいえ、ドヴェルグの厚い甲冑を切り裂ききれず、ヒロイの刀が描いた円弧の斬撃で敵は二体倒れた。


 敵の動きが鈍いと見たオトメも飛び出し、メイスの一撃で兜の上から脳天割りで一体を仕留める。


 しかし、もう一体の斧の攻撃がオトメに届いてしまった――


 ザグッと肩口を切り裂かれても、オトメは気丈だった。


「ユメさん! 攻撃を!」

「あいよ! ウインド・カッター!」


 炎の爆撃に続き、風の刃が残り二体になったドヴェルグを襲う。その傷口にヨルは短刀を差し込んだ。


「グエエエエエ!」


 右手の攻撃は見事に敵を切り裂いたが、返す刀での左手での攻撃は最後の一体に避けられた。しかし、次の瞬間にはヒロイが翼で飛び上がり、残ったドヴェルグの喉元を刀で一突きしていた。

 ドヴェルグ五体、退治完了である。

世界観補足


モンスター情報

ドヴェルグ:闇に堕ちたドワーフ、ダークドワーフ。人間を敵視している。動きは鈍いが鍛冶技術が高く、いい装備しているため、手強い部類に入る……はずだったんですがあっさりやられちゃいましたね。

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