伝説の日本兵
例えばそうだ…無人航空機を使って遠隔操作でお前は人を殺す。
その時どんな感想を抱く?あまりいいものじゃないだろう。
だがその時どうだろう。恐らくお前は何かしらのアレルギー反応を出して泣き叫んだりすることもあるかもしれない。
何故こんなことをやらされる?
敵か味方かもわからない存在を殺すなんて間違ってるって。
ああ、そうとも。
間違ってるさ。間違ってる。
じゃあお前は間違ってないか?
いいや。
お前も間違ってる。
綺麗事なんかいくらでも抜かせるのさ。そんなことは赤ん坊でも考えれば分かる。
祖国のために尽くすなんてそういうことだ。お前たちのよく言う…伝説の日本兵の機械のような人生っていうのはその果てにある。
間違いかどうかじゃなかっただと?自分の選択にいつまでもセーフティネットを張っているあたり、それは兵隊の意見じゃない。
俺はいつも、一人だった。孤独に戦い、正義を信じろを教え込まれそれを信じてきた。だがどうだ?戦争が終わればどいつもこいつもやれ反戦だ、赤ん坊殺しだのと喚き、俺たちを否定するあいつらは?
いいか、お前らは正義を気取って自分は関係ない、自分は違うと現実から目を逸らす愚か者だ。
ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。
否定され、それでも最後に生き残った伝説の日本兵は国の選択に絶望したんだ。
何人の敵兵を殺そうとも俺は後悔などしなかった。
間違ってない。
間違えない。
間違うわけがない。
そうじゃなけりゃ、死んでいったみんなになんて言えばいい。
誰を信じていけばよかった。
ああ、実に寂しいもんだ。